経産省は論文で、日本経済にダメージを与える問題として「2025年の崖」を警告しています。政府はクラウド化やDXといった方法で企業の生産性を向上させ、経済を活性化させるとしています。
このような状況のなか、さまざまな分野でクラウドサービスの活用例が見られるようになりました。例えば、グーグルドライブのようなクラウドストレージ、Stagecrowdのような動画配信サービス、AWSのようなクラウドコンピューティングサービス、機械学習のAIを搭載した音声サービスなどがあります。
今回は、クラウドサービスの活用をおすすめする理由、クラウドサービス種類と特徴を解説します。実際のクラウド活用例も紹介しますので、参考にしてみてください。
クラウドサービスの活用がおすすめな3つの理由
クラウドサービスにはさまざまな種類がある一方、クラウドの活用には共通のメリットも。ここでは、クラウドの活用をおすすめしたい、3つの理由を紹介します。
①コスト削減
従来、企業がシステムを導入する場合には、自社サーバにソフトウエアをインストールする方法が一般的でした。しかし、サーバ購入や運用コストがかかるデメリットも。
クラウドを活用すれば、自社サーバが不要になり、システム開発やソフトウエア購入などの初期費用が大幅に削減できます。また、保守を担う技術者の人件費など、運用コストも削減できる点が、クラウドを活用するメリットでしょう。
②業務効率化
クラウドサービスは、インターネット環境で活用ができます。クラウドを活用すると、メール対応のほか、外出先からの資料送付、受発注、勤怠管理、経費精算など、幅広い業務を効率化することが可能です。
近年はテレワークの普及により、タスク共有やコミュニケーションツールといったクラウドを、ビジネスで活用する企業の事例が増えています。
③IoTによる今後の可能性
IoT(Internet of Things)は、「モノのインターネット」のことです。例えば家電など、今までインターネットに繋がっていなかったものを、クラウドを活用して繋ぎます。
IoTでは、データ取得、集約、解析などを行い、それらのデータをクラウドに保管します。IoTは製造や物流、医療、農業など多くの分野で活用され、クラウドやブロックチェーンとの相乗効果で、パワフルに進歩を遂げています。
クラウドサービスの種類と特徴
クラウドサービスは、パブリッククラウド・プライベートクラウド・ハイブリッドクラウドの3種類があります。それぞれのクラウドサービスの特徴を解説します。
①パブリッククラウド
法人や個人を問わず、誰でも利用ができるクラウドサービスです。ユーザーは、サーバや通信回線などを所有せずに、サービスを利用できるので、コストや運用の手間を軽減できます。代表的なサービスは、AWS、Azureです。
IaaS
サーバやソフトウエアなどのインフラを活用するクラウドサービスです。自社でインフラを整備する必要がなく、月額料金のみで利用できる点が特徴です。
SaaS
ソフトウエアの使用権を、インターネット経由で提供するクラウドサービスです。例えば、近年はbox、GoogleDrive、iCloudなど、クラウドストレージを利用する企業が次第に増えています。
PaaS
アプリケーションのプログラムに関する、プラットフォームを提供するクラウドサービスです。必要な機能が搭載されているので、初心者でも比較的活用しやすい点がメリットです。
DaaS
仮想デスクトップを提供するクラウドサービスです。ディスプレイ、キーボード、マウスといった最低限の機材で、インターネットからデスクトップ環境を呼び出して活用できます。
XaaS
SaaS、IaaS、PaaS、DaaSなど、クラウド上で完結するサービスや仕組みの総称で、「X」は未知の値を示します。クラウドコンピューティングと同義で用いられることもあります。
②プライベートクラウド
不特定多数ではなく、特定の企業に向けたクラウドサービスです。自社に合わせてシステムを構築できるのでカスタマイズがしやすく、強固なセキュリティ対策を講じることができる点がメリットです。一方で、コストがかかる点がデメリットでしょう。
③ハイブリッドクラウド
パブリッククラウド、プライベートクラウド、物理サーバなど、複数のサービスを統合して活用するクラウドです。異なるクラウドやサーバを組み合わせることで、それぞれのメリットを活用しながら、デメリットを補うことができるという特徴があります。
クラウドサービスの活用事例
大手や中小企業、自治体など多くの組織では、業務効率化やコスト削減を目的に、クラウドサービスの活用が盛んです。実際のクラウドサービスの活用例、方法として、3社の事例を紹介します。
活用事例1 金融業界(AWS)
銀行をはじめとする金融業界では、テレワークを導入時に、強固なセキュリティ環境を構築することが課題となっていました。
クラウドサービスのAWSでは、仮想デスクトップやVPN接続を活用できます。デバイスからネットワーク環境までを総合的に網羅するAWSは、セキュアな環境を短期間で構築し、金融業界でもテレワークが可能になりました。
活用事例2 製造業界(クラウドストレージ)
紙の資料が多く、データが変更になると手間がかかることや、図解や図面など大容量ファイルのやり取りに時間がかかることが課題でした。
クラウドストレージの導入で、紙からデータへ資料を置き換えたことで、最新の資料に迅速にアクセスができるようになりました。また、送受信に時間がかかっていた大容量データは、クラウド上で場所や時間を問わずに閲覧・共有が実現しました。
活用事例3 物流業界(ビデオ会議)
複数の拠点間での会議が増加したことで、管理がしやすいクラウド型のビデオ会議サービスを探していました。既存システムは、映像や音声の品質が低く、円滑なコミュニケーションが取れないことが課題でした。
URLから会議に参加できるクラウドサービスを導入し、ID管理が不要になったことで手間がなくなり、拠点間会議の利用頻度が6倍に向上しました。
まとめ
2021年になり、業務効率化のテクニックとして、クラウドサービスを活用する会社が一般的になってきました。特にクラウドストレージは、オフィスにいなくてもデータの保存や共有ができるので、テレワークでも通常通りに業務を進める方法として有効でしょう。他にも、クラウドサービスの活用事例を3社紹介しているので、どのような方法で、生産性を向上させているのか、参考にしてみてください。
クラウドストレージの基礎知識については、こちらからご確認ください。