「仕事に必要な通信速度の基準がわからない」という人も多いのではないでしょうか。
「ダウンロードが遅い」「なかなか画像が表示されない」という感覚は、人によって異なります。
通信速度の目安を知っておくことで、自分の通信速度が速いか、遅いかの基準を客観的に判断することができます。
通信速度の上り下りの目安や、基準以下の場合の影響や原因、通信速度を調べる方法について、詳しく解説していきます。
そもそも通信速度とは
通信速度は、bpsという単位で表されます。
これは、1秒間に何bitのデータを送受信できるかを示しており、値が大きくなるほど、送受信できるデータ量が多くなり、比例して通信速度も速くなります。
1000bpsなら1Kbps、1000Kbpsなら1Mbpsのように単位換算されます。
データ量を表す単位である1byteは8bitであり、仮に1秒間に5MBのデータが送られる際の通信速度は40Mbpsとなります。
スマートフォンやインターネットの契約時に、「下り最大110Mbps」と表記されているのは、この通信速度を表しているのです。
ただし、スマートフォンやインターネットのサービスに「最大」と表示されているのは、「ベストエフォート値」と呼ばれる「最大通信速度」であり、あくまでも理論上の数値です。
実際にインターネットを使う際には、常にこの通信速度が保たれるわけではないことを認識しておきましょう。
通信速度の上り下りの目安とは?
通信速度には、上りと下りがあります。
上りは、端末からインターネット上へデータを送信、またはアップロードする際の通信を表します。
上りの具体例としては、メールを送信する、クラウド上にデータをアップロードするなどです。
下りは、インターネット上からのデータを端末で受信、またはダウンロードする際の通信です。
下りの具体例は、メールを受信する、クラウド上の画像や音楽などのデータをダウンロードするなどが挙げられます。
ビジネス利用であれば、通信速度の上り下りの目安として、10Mbps~30Mbpsぐらいあれば、スムーズに通信できるでしょう。
しかし、扱うデータ量が大きい場合や、ビデオ通話による会議、オンラインセミナーの受講などを考慮すると、通信速度が速いに越したことはありません。
仕事で頻繁に大容量のデータをアップロードする、オンライン会議など動画を閲覧する機会が多い場合は、100Mbps以上の通信速度を確保できると、スムーズなデータ通信が可能になるでしょう。
通信速度が基準以下の場合の影響とは?
通信速度が基準以下の場合、業務にどのような影響があるのか具体的な事例を挙げて説明していきます。
ファイルの扱いに時間がかかる
メールやオンラインストレージに関わらず、通信速度が基準以下の場合、アップロード、ダウンロードの双方において、長い待ち時間が発生してしまいます。
通信速度によってどれぐらいの差が出るかを、伝送効率(データ通信の効率のよさ)を100%と仮定して計算し考えていきましょう。
仮に通信速度が1.3Mbpsだった場合、1GBのデータを転送するには約53分かかります。
一方で、通信速度が50Mbpsの場合、同じく1GBのデータの転送は約1分で済んでしまいます。
実際に転送にかかる時間を知ると、通信速度がファイルの転送時間に大きく影響していることがわかります。
オンライン会議で回線が途切れる
テレワークが普及したことで、オンライン会議をする機会も増えてきています。
オンライン会議は、音声と画像のデータを同時に転送するため、1秒間に多くのデータ処理を必要とします。
そのため、オンライン会議に必要な通信速度の基準を満たしていない場合、画像が固まる、音声が途切れるなどの悪影響を及ぼします。
また、オンライン会議に参加する人数が増えるほど、必要な通信量も増えるため、通信速度が基準以下であれば、回線が途切れる頻度も高くなります。
コミュニケーションがとりにくい
インターネットを利用したコミュニケーションツールを利用しているのであれば、通信速度は見逃せません。
通信速度が基準以下の場合、サービスが利用できない、通話の最中に声が途切れる、または通話が途切れるなど、スムーズなコミュニケーションがとりにくくなります。
スムーズなコミュニケーションがとれないことで、必要な情報を共有できなかった、トラブルを未然に防げなかった、ビジネスチャンスを逃したなど、業務に支障が出てしまう可能性もあります。
通信速度が基準以下の場合は原因がある
通信速度が基準以下の場合は快適にインターネットを利用できていません。
通信速度が基準を下回っている場合の原因を考えていきましょう。
アクセスが集中している
インターネットに大量のアクセスが集中している場合、通信速度が基準を下回ることがあります。
自宅内やオフィスで、1つの回線に複数の端末を接続している場合も同様です。
これらは、通信ネットワークに混雑が発生していることが原因です。
集合住宅などでは、基本的に1本の光ファイバーケーブルを、32世帯の住戸に分けてつないでいます。
インターネット回線を使う住戸が多くなれば、確保できる通信速度の数値も小さくなっていきます。
仮に、1Gbpsの回線が提供されていたとして、10世帯でシェアして使うのと、32世帯でシェアして使うのでは、通信速度に大きな差が出ます。
光ファイバーケーブルを1本の道路に例えると、道路が空いていれば、車はスピードを出してスムーズに進むことができますが、車が多いと渋滞が発生し、スピードが出せず、なかなか進むことができないという状態です。
ある一定の時間で通信速度が遅くなる場合には、インターネットを使う人が多いことで、アクセスが集中していることが原因として考えられます。
端末のスペックの問題
使っている端末のOSが古いバージョンである、または、アップデートがおこなわれていない場合、通信速度が基準を満たさない場合があります。
また、メモリやCPU(処理装置、人間でいうところの脳にあたる部分)、HDD(データを保存する場所)が不足していることも原因として考えられます。
ルーターから端末の間に距離や弊害がある
無線LANの環境下において、ルーターと端末の距離が離れている場合、電波が届かないことが原因で、通信速度が基準以下になることもあります。
また、頑丈なつくりの建物の奥や、電波干渉の原因となる電子レンジの近くなども、電波が端末に届くまでに、壁やほかの電磁波などの弊害があるため、通信速度が遅くなる場合もあります。
通信速度を調べる方法
通信速度の基準や上り下りの目安を知ったとしても現状の通信速度がわからなければ判断がつきません。
通信速度を調べる方法を確認していきましょう。
アプリを使用する
「RBB SPEED TEST」や「Speed Test Master」など、アプリを使って、通信速度を調べる方法です。
アプリは、履歴を記録する機能があり、計測場所や過去の値との比較がしやすいという特徴があります。
スマートフォンのアプリでは、通信状態のよい場所を地図上で表示するといった、携帯することを前提とした機能がついているものもあり、オフィス外で仕事をする人には便利です。
サイトを使用する
「Fast.com」や「Speedtest by Ookla」など、ブラウザ上でwebサイトにアクセスして、通信速度を調べます。
サイトにアクセスするだけで、すぐに通信速度の測定がスタートするため、アプリをインストールしなくてもよいという利点があります。
サイトによっては、プロバイダ名やIPアドレスを表示させたり、サーバーを切り替えて測定したりできるなど、現在のインターネット環境をより細かく知ることができます。
Google検索を使用する
OSやデバイスを問わず、最も簡単に通信速度を調べる方法が、Google検索によるスピードテストです。
方法はいたって簡単で、Googleの検索窓に「スピードテスト」と入れて検索し、「検索実行」をクリックするだけで、測定が始まります。
測定の結果は、「良好です」「複数デバイスで動画を再生すると、速度が遅くなる可能性があります」など、テキストでわかりやすく教えてくれます。
Google検索によるスピードテストは、細かい測定数値がわからないという人でも調べやすい方法です。
スムーズに業務がこなせる通信速度の目安は?
スムーズに業務をこなすためには、通信速度の目安があります。
目的別の通信速度の目安について見ていきましょう。
テキストだけのメール
テキストだけのやりとりであれば、下り128Kbps〜1Mbpsを目安にしましょう。なお、128Kbpsは通信制限がかかったときの最大の通信速度です。
テキストだけの場合は、データサイズが小さいため、通信速度が1Mbpsという基準を満たしていればスムーズな送受信が可能でしょう。
しかし、メールに画像や動画を添付している場合、1Mbpsではダウンロードに待ち時間が発生します。
Webサイトを閲覧
Webサイトの閲覧には、下り1Mbps〜10Mbpsが通信速度の目安です。
画像の少ない簡易的なページを表示するのであれば、1Mbpsあれば問題はありません。
しかし、高画質の画像を表示するページが多い場合は、10Mbpsの通信速度は確保したいところです。
動画視聴
研修や勉強会などで、セミナー動画を見る機会が多いのであれば、下り5〜25Mbpsを目安にしましょう。
しかし、複数人で音声、画質共にクリアに視聴したいのであれば、50Mbpsを基準と考えてもよいでしょう。
スムーズな業務遂行のために通信速度の目安を知ろう
仕事では、高画質な画像や動画に触れる機会も多いため、相手との情報共有で、大容量のファイルを扱う機会も多いです。
そのため、仕事に必要な通信速度の目安として、50〜100Mbps程度を確保しておけば、スムーズに業務に取り組めるでしょう。
必要な通信速度が確保できていれば、相手との情報共有やコミュニケーションがスムーズにおこなえるでしょう。
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