テレワークや働き方改革の促進が進むにつれて、ハンコ文化が弊害となり働き方の多様化を促進できない状態が明らかになってきました。
そのため、ハンコ文化はいらないと言われることも多いですが、ハンコ文化をなくす効果が明確にわからない、本当にハンコ文化はいらないのかと疑問に思う方もいるでしょう。
ハンコ文化をなくすことは働き方の多様化だけでなく、コスト削減や生産性向上にもつながる施策となり得ますので、企業の発展に重要であると考えられます。
そもそもハンコ文化とはなんなのか、ハンコ文化をなくす効果と本当にハンコ文化はいらないのかについて、考えていきましょう。
ハンコ文化とは
ハンコ文化とは、日本独自ともいえる文化であり、役所の手続き、企業内や企業間などにおいて書類のやりとりを進めるうえで、ハンコの押印が必要な状態が定着している文化です。
電子化が進む前は紙ベースでのやりとりが主流だったため、ハンコ文化は書類のやりとりの中で当たり前の工程として根付いてきました。
ハンコの意味合いとして、確認や合意、第三者が書類を見たときにもオフィシャルなものだと判断しやすいなどが挙げられます。
しかし、契約書や請求書・納品書などは法律上ではハンコが必須であると明記されてはいません。
要するに、ハンコは別になくてもいいものなのですが「なんとなく安心」のような理由で押されている書類が多く存在していることになります。
長く利用され定着してきたハンコ文化は、明確な理由がなく続けられている書類も多いので、無駄である部分も強いと考えることができるでしょう。
なぜハンコ文化がいらないと言われているのか
ハンコ文化がいらないと言われている背景には、テレワークなど出社しない働き方が推奨されている社会情勢や、働き方の多様化という点が大きく関係しています。
ハンコ文化が根付いている状態だと社員の出社が必須となるため、テレワークの促進や、Web会議などの非対面でやりとりを進めていくことを考えたときに、ハンコ文化が業務促進の妨げになると考えられるのです。
また、ハンコを押印するために割かれる人件費や紙代などのコストもかさむ傾向にあります。
ハンコ文化事態が悪いのではなく、ハンコ文化が続いていると業務が効率化しづらいことやコストがかさむこと、働き方の幅に自由が少なくなるため、形骸化されているだけのハンコ文化はいらないという意見が強まってきています。
ハンコ文化をなくすことで得られる効果
ハンコ文化をなくすと、出社をする必要がなくなることや紙の利用をなくせることによるメリットを感じやすくなります。
ハンコ文化をなくすことで得られる効果を考えてみましょう。
ペーパーレス化・電子化の促進
ハンコ文化をなくすと、紙の書類でやりとりする必要がなくなりやすいため、ペーパーレス化・電子化がしやすいと考えられます。
データ上のみでやりとりを完結させられれば、電子化した書類をPC上やインターネットのシステム上での管理が可能です。
以下に説明する、コスト削減やセキュリティの強化などのペーパーレス化・電子化の恩恵を受けられるようになることは、ハンコ文化をなくす大きなメリットとなるでしょう。
コスト削減
ハンコ文化がなくなると書類の電子化がしやすくなり、ペーパーレスにつながります。
紙の書類にかかっていた印刷費や紙そのもののコスト、書類の郵送にかかっていた送料やその業務に関連する人件費の削減が可能になるのです。
脱ハンコ文化でペーパーレスにつながることは、それに付随していたさまざまな不要コストの削減になると言えるでしょう。
テレワークの促進
ハンコ文化をなくすと、出社することなく自宅などで勤務ができる可能性が高まるため、テレワーク促進がしやすくなると考えられます。
電子化した書類でのやりとりが可能になり、電子化した書類はPC上の操作でやりとりを完了させられます。
わざわざハンコの押印のために出社する必要がなくなるため、どこにいても取引先に書類を送ったり、申請や承認などの作業もおこなえるようになるのです。
ハンコ文化をなくすと出社の必要を限りなく少なくできることから、テレワークの促進につながると考えられるでしょう。
セキュリティ対策の強化
ハンコ文化をなくした書類は電子化する状態が増えると考えられ、社内の移動や外出時に紙の書類を持ち歩く機会が圧倒的に少なくなります。
紙の書類では、個人が紛失や破損などに気を付けるのが主な対策となるためにセキュリティ面で懸念点が多くありました。
一方で脱ハンコし電子化した書類はPC上でデータの管理がしやすいため、ノートPCなどのパスワードや電子化した書類を管理システムにパスワードをかけられる状態となり、セキュリティ対策の強化につながります。
PCにデータとして書類が入っていることで、紛失や破損、さらには盗難などの危険性が極めて少なくなることが考えられるため、セキュリティ対策強化の効果を感じやすいでしょう。
企業全体の生産性の向上
ハンコ文化をなくす効果で企業全体の大きなメリットとなりうるのが、業務の生産性向上です。
ハンコ文化の最大のデメリットは、書類自体を動かさなくてはならなかったり、わざわざ人の手でハンコを押さなければならなかったりなど、とにかく処理に時間がかかる点だと言えます。
ハンコ文化をなくすとデータのやりとりで済むため、迅速に業務が進めやすくなります。
また、電子化した書類をPCやインターネットのシステム上に保管できるので、共有から閲覧までの時間短縮につながる可能性も高まります。
ハンコ文化をなくすと、企業全体の生産性の向上をしやすくなる点は、企業の発展に欠かせない大きな効果であると言えるでしょう。
ハンコ文化をなくすためにはどうすればいいか
ハンコ文化をなくすためには、書類の内容により進め方が異なります。
自社内での取り組みだけでなく、取引先が関わる書類の場合には契約方法に関する方針の確認が必要になるためです。
まずは以下の4つの手順に沿って書類の選定をおこない、その後は各書類の内容により適切な方法でハンコ文化をなくすようにしていきましょう。
- ハンコ不要の書類を選定する
- 自社内で完結できる書類か、取引先の方針確認が必要かを選別する
- 書類内容に沿ったシステムや管理方法を選定する
- ハンコ文化をなくす施策を実行する
項目ごとに詳しく説明いたします。
ハンコ不要書類の選定
会社内でのハンコ押印は、実際に法律で必須だとされていない書類が多いと考えられます。
社内向けの書類は「確認や合意」の意味合いでハンコを押すことが習慣になっている場合が多く、経済産業省の押印に関するQ&Aにあるように、社外向けの請求書・納品書・契約書などの書類は法律上ハンコの押印が必須だと明記していません。
実は今までのやり方に沿ってなんとなくハンコを押しているだけ、法律でハンコ必須とされていないような書類については、ハンコ不要である可能性が高いでしょう。
自社内で完結可能か、取引先の方針確認が必要か
ハンコが不要であると考えられる書類の中で、社内のみで完結させられる書類は脱ハンコ文化が進めやすいと考えられます。
一方で取引先とのやりとりも関わってくる、契約書・請求書・納品書などの取引関連の書類については、取引先の方針を確認する必要があります。
取引先の方針を確認しハンコをなくす状態に消極的な回答があった場合には、取引先がハンコをなくすことでどのような部分に懸念があるのかなどを確認してみることが大切です。
先方の懸念点を解消できるような情報やツールを用意できれば、取引先との書類でも脱ハンコが進めやすくなるでしょう。
システムや管理方法の選定
ハンコ文化をなくす書類が決まったら、書類にそって必要なシステムや管理方法を選定します。
必要になるツールは書類ごとに異なりますが、以下のようなシステム・管理方法が必要になる可能性が考えられます。
- 電子印鑑
- 電子署名
- 電子稟議システム
- 請求書発行の電子化
- オンラインストレージ
ハンコがまったく不要か、ハンコの代わりとなるツールの導入が必要か、ハンコ不要になって電子化した書類の管理はどうするのかなどに焦点をあてて、必要なシステム・ツールの選定をおこなうのが望ましいでしょう。
脱ハンコ文化に向けて施策を実行
ハンコ文化をなくす書類、使用するツールなどが決定したのちには、施策を実行することが大切です。
社外の書類からいきなり始めるのではなく、トラブルなどがあったときでも対処のしやすい社内の書類からハンコ文化をなくしていけると、導入までの道筋や問題点がでたときにも慌てずに済みやすいでしょう。
ハンコ文化をなくした電子書類の管理にはセキュアSAMBA
ハンコ文化をなくすとなると、電子化した書類が増えることが予想されます。
書類を電子化する際に決めておくべきだと考えられるのは、書類の管理方法です。
電子化した書類は、決まった場所に保管しないとどこに管理されているかがまったくわからなくなってしまう可能性が出てきます。
オンラインストレージの「セキュアSAMBA」では、電子化した書類をインターネット上に一括で管理できるため、必要な書類がどこに行ってしまったかと悩む必要がありません。
セキュリティ面も配慮されているうえにフォルダの閲覧制限を設けることも可能で、社内のみならず社外の相手とも資料の共有がしやすいのです。
ハンコ文化をなくし書類の電子化が進んだ際の管理方法には、ぜひセキュアSANBAの導入も一緒に検討してみてください。