デジタル化やIT化、業務効率化の推進などから多くの企業でペーパーレス化の導入が加速しています。
しかし、これまでの業務の進め方が大きく変わる、システムやデジタル機器、サービスの導入の手間も増えるなどの観点からペーパーレス化のメリットを理解できていない方もいるかもしれません。
また、ペーパーレス化を進めることで懸念すべき点やデメリットが生じる可能性を把握しておかなければ適切なペーパーレス化を進めることもできないでしょう。
ペーパーレス化のメリット・デメリットについてより深く知ることで、適切に社内にペーパーレス化を浸透させられるようにしましょう。
ペーパーレス化が求められる理由
ペーパーレス化とは、紙媒体で扱っていたデータを電子化する取り組みをいいます。
ペーパーレス化が求められる理由には、紙の使用量の削減や業務効率化、多様な働き方の推進などが、主な理由として挙げられます。
ペーパーレス化が進む背景には、働き方の変化と共に、ビジネスパーソンの意識が変化したこと、また、改正電子帳簿保存法の施行や多様なクラウドサービスの普及があります。
実際に、ペーパーレス化を実践した企業は、ペーパーレス化導入初期において、オペレーション変更や取引先への対応などの戸惑いを感じつつも、出社する必要がなくなったことや業務効率が上がったなど、ペーパーレス化でさまざまなメリット感じている人は多いです。
また、一層のペーパーレス化に向けて、契約書や稟議書など、電子化しづらい領域に踏み込んでペーパーレス化を進める企業も増えてきており、デジタル化の推進や多様な働き方の実現に向けてペーパーレス化の重要性は増してきています。
ペーパーレス化のメリット
多くの企業でペーパーレス化が進められているのは、ペーパーレス化を導入したことで、実際によい効果を得ることができたからです。
ペーパーレス化のメリットとはどのようなものがあるのか詳しく見ていきましょう。
コスト削減になる
紙媒体で扱っていたデータを電子化することで、紙の使用量が減り、用紙代や印刷代、郵送代など物理的コストを削減できます。
また、書類や資料を保管するためのスペースが不要になり、省スペースオフィスへと移行することで、賃料を抑えることも可能になります。
さらに、出社や取引先に出向く必要がなくなったことによる交通費の削減にもつながります。
業務効率化につながる
情報共有におけるペーパーレス化の一例では、電子化されたデータをクラウド上にアップロードして、相手と共有することで、迅速に情報を伝えることができます。
情報共有のスピードが上がれば、作業が進むスピードも速くなり、業務を効率的に進めることができます。
また、電子化されたデータは、スマートフォンやパソコンがあれば、場所を問わずアクセスできます。
突然何らかの資料が必要になった際に、オフィスに戻らなくても閲覧が可能になり、時間を有効活用して作業をおこなうことができます。
業務品質の改善になる
手作業による書類作成や計算をおこなうと、誤字脱字や計算ミスなどの人為的ミスを引き起こすことがあります。
そのため、ペーパーレス化では、デジタルデータやクラウドサービスの導入は欠かせません。
ペーパーレス化によって、文書作成ソフトや会計ソフトを導入すれば、自動でミスをチェックしてくれるため、人為的ミスが発生しにくいというメリットがあります。
こうしたデジタルツールやクラウドサービスを利用することで、人為的なミスの発生を抑え、業務品質を改善することができます。
セキュリティを強化できる
紙媒体で重要な書類を保管する際、情報が盗まれないように、施錠された場所での保管が必要になります。
ただし、施錠に使う鍵は、何らかの事情で盗難や紛失にあう可能性も捨てきれません。
万が一、重要書類がなくなってしまった場合、鍵の管理責任を問われるほか、情報漏えいにより企業は大きな損失を受けることになります。
また、カバンに書類をいれて持ち運ぶ際も、カバンの盗難や紛失などで、重要なデータが流出してしまう恐れもあります。
しかし、ペーパーレス化によりデータが電子化されていれば、データを格納したフォルダにアクセス制限をかけたり、パスワードを設定したりしておくことで、セキュリティ性を確保できます。
仮に、災害が発生したとしても、クラウド上にデータを保管しておけば、焼失や水害の被害を受けず安全に保管することができます。
したがって、紙媒体の保管と比較した際に、ペーパーレス化のほうがセキュリティ性が高いというメリットがあります。
企業価値が向上する
紙の使用量が減ることで、資源保護につながります。
ペーパーレス化の導入により、資源保護を含め、持続可能な社会への取り組みを、積極的におこなう企業というポジティブなイメージをもたれます。
また、ペーパーレス化によって多様な働き方を推進させる企業、あるいは、ペーパーレス化によって組織改革をおこなうことができるなど、社会に対してよい印象を与えることができます。
常に向上心をもち、変化を受け入れることができると企業であると評価され、企業価値の向上にもつながるでしょう。
データの有効活用ができる
電子化されたデータは、ひとつの業務だけではなく、ほかの業務に活用することもできます。
具体例を挙げると、あるグラフを作成するために入力したエクセルのデータは、選択するデータ範囲を変えれば、別のグラフを作成することができます。
あるいは、PR用の広告であれば、テンプレートを作成しておくことで、文言を書き直したり、画像を変えたりするだけで、新しい広告の作成が可能です。
このような汎用性は、紙媒体にはない、ペーパーレス化だからこそできる大きなメリットです。
キーワード検索ができる
大量の書類の中から、任意のキーワードを含んだ書類を人の手で探しだすことは、大変な作業になります。
ペーパーレス化によってデータが電子化されることで、キーワード検索がしやすくなり、探しているデータに素早くたどり着くことができます。
検索方法として、フォルダにはキーワードとなる文字や日付、属性を付与しておき、条件の組み合わせによる検索をおこなうことで、目的のデータへ迅速にアクセスすることができます。
キーワード検索ができることで、保管されるデータが増えても、効率を下げずデータを探しだすことができることも、ペーパーレス化ならではのメリットです。
ペーパーレス化のデメリット
ペーパーレス化には多くのメリットがある一方で、デメリットを感じてしまう部分があることも事実です。
ペーパーレス化の定着に向けて、解消すべきペーパーレス化のデメリットについて見ていきましょう。
表示できる情報量に限界がある
電子化されたデータを表示するには、ディスプレイ端末が必要です。
しかし、スマートフォンや画面の小さいディスプレイでは、表示できる量に限界があります。
紙の新聞や広告に慣れている人であれば、パッと見たときの視界に入る情報量に物足りなさを感じるかもしれません。
ディスプレイの大きさが原因で資料が見にくいのであれば、適切なディスプレイ端末を用意することで解消できます。
会議の際には画面の大きいディスプレイを用いる、および、個々がパソコンを所有しているのであれば、画面共有で資料を表示させるという方法もあります。
導入コストの負担が必要
ペーパーレス化の導入でかかるコストとして、主に以下のようなコストがかかると考えられます。
- 高速通信が可能なインターネット回線
- 電子化したデータを表示するディスプレイ
- 書類を電子化するスキャナ
- データのバックアップや共有のためのオンラインストレージ
- 勤怠管理や稟議承認など業務を電子化するクラウドサービス
クラウドサービスはサブスクリプの利用が多いため、ペーパーレス化には導入時だけではなく、継続的なコストが発生することも認識しておきましょう。
会社の規模やペーパーレス化を導入する範囲にもよりますが、ペーパーレス化によって、新たなコストが発生することは事実です。
しかし、紙媒体で生じる、用紙やインク、郵送や保管スペースにかかっていたコストが、ペーパーレス化でかかるコストへとシフトしたと考えることもできます。
ペーパーレス化の導入でかかるコストは、業務効率や生産性の向上への投資であり、それによって利益を生み出すこともできると、ポジティブにとらえてみましょう。
ネットワークや障害の影響に左右される
電子化したデータを扱う際は、インターネット環境によって大きく左右されます。
インターネット回線が遅い場合は、データのアップロードやアクセスに時間がかかる、オンライン会議がスムーズに進められないなど、ペーパーレス化以前よりも業務効率の低下を招く可能性もあります。
万が一、利用しているクラウドサービスにシステム障害が発生した場合、業務がストップしてしまうことも予想されます。
これらは、ペーパーレス化の規模が大きくなるほど、業務への影響も大きくなります。
インターネット回線が遅く、業務がスムーズに進められないのであれば、最適な通信速度へのプランへと変えることで、ペーパーレス化の利便性を活かすことができます。
また、ペーパーレス化に欠かせないクラウドサービスを選ぶ際は、障害の際にバックアップ対策がしっかりととられているかを、事前に確認しておきましょう。
デジタルツールに慣れていない人は使いにくい
デジタルツールに不慣れな人にとっては、使い方を学んだり、新たな知識をつけたりする必要があるため、ペーパーレス化に対して、「めんどくさい」「難しい」と、ネガティブにとらえられてしまうことも考えられます。
日々の業務をこなしながら、新たなスキルを身につけたり、オペレーションを変更したりすることは、誰にとってもしんどいと感じるものです。
したがって、ペーパーレス化の担当者は、デジタルツールに不慣れな人に対して、ストレスがかからないよう、配慮が必要になります。
ペーパーレス化の目的を共有し、理解を得ることで、ペーパーレス化に対する意識をポジティブなものへと変化させることができるでしょう。
ペーパーレス化のメリットを最大化するために必要なこと
ペーパーレス化のメリットを活かしつつ、デメリットを解消できれば、ペーパーレス化のメリットを最大化することも期待できるでしょう。
ペーパーレス化のメリットを最大化するための必要なことを具体的に解説します。
組織全体でペーパーレス化の必要性について知る
単に「紙の使用量を減らそう」「資料はPDF化に」と掲示しても、ペーパーレス化を実践する社員が「なぜそれを実践する必要があるのか」を明確にできないと、単なるデジタル技術の導入に過ぎません。
ペーパーレス化のメリットを最大化するためには、社員だけではなく、経営層や工場の作業員にいたるまで、ペーパーレス化の目的や必要性について認識する必要があります。
例えば、ペーパーレス化の目的のひとつが「リモートワークの推進」であれば、決裁文書を電子化することで、決済をもらうためだけの出社は不要になります。
さらに、決裁文書を電子化したことで、総務部門は管理がしやすくなるという、メリットも生まれます。
このようなケースであれば、ペーパーレス化の目的が明確であるため、社員全員がペーパーレス化の必要性を理解することができます。
このように、組織全体がペーパーレス化の必要性や目的を知ることで、具体的な取り組みが明確になり、期待したメリットが得られているかという評価にもつながるのです。
運用ルールを徹底する
ペーパーレス化によって、オペレーションが変更になる、あるいは、不慣れな端末の操作など、これまでとは違う業務の進め方をしなければなりません。
その際に、運用ルールを守らず、個々が無秩序にペーパーレス化を進めてしまうと、混乱を招き、業務効率が一気に下がってしまいます。
例えば、会議資料が必要になった際、「資料はすべてペーパーレス化」というルールを設けなければ、紙の資料が何部必要なのか、共有フォルダから資料を閲覧する人は誰なのかを把握できず、参加者への確認が必要になります。
「資料はすべてペーパーレス化」というルールが徹底されていれば、このような効率の悪い作業は発生することはありません。
ペーパーレス化のメリットを最大化するためには、ペーパーレス化によって混乱や無駄な手間が発生しないよう、運用ルールを徹底して守る必要があるのです。
トータルコストを重視する
ペーパーレス化に必要なツールを導入する際は、一時的に高額なコストが発生します。
金銭面でのコストにくわえて、ツールやサービスを使い慣れるまでの時間というコストもかかります。
しかし、ペーパーレス化によって紙媒体で扱うことのコストが削減されるほか、ペーパーレス化定着後の生産性向上により、これまでよりも効率よく利益を生み出すことにもつながります。
導入時にかかるコストとペーパーレス化によって削減できるコスト、生み出される利益のように、総合的なコストを重視することも必要です。
全員が使いやすいツールやサービスを導入する
ペーパーレス化で一部の人しか使えないツールやサービスを導入しても、ペーパーレス化が社内に浸透しないため、ペーパーレス化のメリットを享受することができません。
また、仕事の情報を確認するために、スマートフォンやタブレット端末を用いる人も多くなってきています。
ペーパーレス化で使うクラウドサービスにおいて、さまざまな端末に対応したサービスを導入すれば、場所を問わずいつでもデータにアクセスできるため、多様な働き方に対応することが可能です。
このように、使う人のスキルや環境を考慮して、全員が使いやすいツールやサービスを導入すれば、多くの人がペーパーレス化を実践するため、ペーパーレス化のメリットを最大化することができます。
ペーパーレス化の実現にはオンラインストレージ
適切にペーパーレス化を進めるためにはメリット・デメリットを把握して、自社の環境や状況に適した進め方をしなければいけません。
また、ペーパーレス化には、クラウドサービスの導入が必要不可欠です。
さまざまなクラウドサービスの中でも、オンラインストレージは電子化したデータを保管しておくことができるサービスです。
すでに多くの企業で、ペーパーレス化を実現しデータ化したデータの共有や保管のためにオンラインストレージが導入されています。
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