デジタル化の必要性からFAXや押印の廃止など、政府を中心にペーパーレス化は推進されています。
しかし、過去の慣習を変えられない、通常の業務に追われているなどの理由でペーパーレス化が進まない課題を抱える企業が多いのも事実です。
ペーパーレス化が進まない企業が抱える課題や、ペーパーレス化が進まないこと自体の課題を理解した上で、正しいペーパーレス化の進め方を学んでいきましょう。
ペーパーレス化の課題:推進を阻む課題になるもの
ペーパーレス化の課題はさまざまなものが考えられますが、ペーパーレス化推進の段階における課題から確認していきましょう。
まずは、ペーパーレス化の推進を阻む課題、つまりペーパーレス化を実施しようと計画する際に課題となるものたちです。
この段階におけるペーパーレス化の課題には、主に意識的なものも多くあります。
ペーパーレス化のメリットを理解していない
ペーパーレス化の推進を阻む大きな課題として、ペーパーレス化のメリットを理解していないというものがあります。
これには、経営層が理解していないパターンと、経営層がペーパーレス化のメリットを理解しているものの従業員に伝わっていないパターンの2種類が考えられます。
経営層が理解していない場合と従業員が理解していない場合です。
経営層がペーパーレス化のメリットを理解していない場合、ペーパーレス化の導入はほぼ不可能でしょう。
なぜなら、ペーパーレス化には新たな設備への投資や人員配置に関する決定など、経営層の判断が欠かせないからです。
現場の社員がいくらペーパーレス化を推進したいと思っても、経営層の理解がなければ到底叶わないのです。
経営層は「会社の業績」や「残業時間の削減」など数字を見ています。ペーパーレス化を実施することで、数字がどう変化するのかを伝えると経営層にも理解してもらいやすいでしょう。
反対に従業員が理解していない場合は経営層がペーパーレス化のメリットを理解していたとしても、現場で働く従業員にまで伝わらないのでペーパーレス化の推進は難しくなります。
なぜならペーパーレス化の推進においては、業務フローの変更など現場の理解が欠かせないからです。
「テレワークに対応できる」「業務効率が上がり残業時間が減る」など、ペーパーレス化を推進することで、従業員が得られるメリットを伝えなければ、現場の反発にあい、ペーパーレス化を推進することが困難になります。
紙文化が定着している
紙文化の定着もペーパーレス化の推進を阻む課題のひとつです。
ハンコ文化が根強い日本では、多くの企業で書類の原本性を確保するために紙に署名・押印するというスタイルが主流となっています。
そのため、ペーパーレス化を推進しようと思っても「契約書類には署名・押印が必要」「データの内容を確認するために印刷してチェックする」など紙文化に基づいたルールが邪魔をします。
紙文化から脱却するには、新しいデジタルツールの導入や意識改革など、コスト・時間の観点から大きな労力が必要です。ペーパーレス化の導入において必ず乗り越えなければならない課題のひとつといえるでしょう。
ペーパーレス化の課題:推進する中で課題になるもの
ペーパーレス化を推進していく中で課題として出てくるものについて解説していきます。
この段階では、より実践的な課題に変わっていくのが特徴です。
業務フロー変更に順応するまで時間がかかる
ペーパーレス化には、業務フローの変更が必要不可欠です。
ペーパーレス化による業務フローの変更の例
変更前 | 変更後 |
書類を回覧することで決裁を得る | 電子決裁システムを利用する |
月末にタイムカードを集計し、表計算ソフトに入力する | 勤怠管理システムを利用し、自動で集計する |
契約書などは手書きで署名・押印をおこなう | 電子契約システムを利用し、web上で契約締結をおこなう |
上記の例は、いずれも変更後のほうが便利になり業務効率も向上するはずですが、移行当初はシステムの使い方がわからなかったりエラーが発生したりと、変更前よりも時間がかかってしまうことも考えられます。
いくら便利になるといっても、慣れているやり方から変更されることに不安を覚える従業員も多いでしょう。
また、通常業務をストップせずに業務フローの変更に対応するのは時間的に困難なこともあります。
ペーパーレス化の移行当初においては避けられない課題のひとつでしょう。
セキュリティに不安を感じている
デジタルツールやWeb上のサービスを検討する際に、セキュリティに不安を感じてペーパーレス化の推進に疑問を呈する従業員もいるでしょう。
特に、経営層や年配の従業員の中には「デジタルツールやインターネット上のサービスは危ないのでは?」と旧世代的感覚が抜けない人もいます。
また、なぜか紙であれば安全であるという思い込みが強いこともあります。
しかし、近年のデジタルツールでは、通信の暗号化やアクセス制限などセキュリティが強固なものも多数存在しています。
実際にどのようなセキュリティ機能があるのか、自社に合ったセキュリティ対策なのかという観点でサービスを検討することで解消できる課題です。
導入時のコストがネックになっている
ペーパーレス化においては、導入時のコストがネックになることもあります。
デジタルツールの導入など、ペーパーレス化の推進には設備投資が必要です。
ペーパーレス化の長期的な効果やメリットが理解できていない場合、導入段階のコスト増をマイナスに感じてしまいます。
ペーパーレス化を推進することでどのような効果が生まれるのか、長期的な視点を持つことが大切です。
ペーパーレス化が進まない企業が抱える課題
ペーパーレス化が進まない企業は今後どのような課題を抱えることになるのでしょうか。
ペーパーレス化が進まない企業に起こりうる課題や問題点を詳しく見ていきましょう。
デジタル社会で生き残れない
ペーパーレス化が推進されない場合、紙ベースでの業務から脱却できず、デジタル社会から取り残されてしまいます。
企業のデジタル化やDX(デジタルトランスフォーメーション)が求められる中、ペーパーレス化が進まないことで、競合他社から遅れを取ったり、新たな価値を世の中に提供できなかったりして、業界における企業の価値が下がっていくのです。
その結果、業績悪化や倒産のリスクを抱えることになります。
テレワークなど新しい働き方に対応できない
ペーパーレス化が進まない企業では、決裁や書類の受け取りなどのために出社しなければならないというように、テレワークなど新しい働き方に対応できません。
さまざまな働き方が登場している現代では、ペーパーレス化が進まずオフィス内でしか仕事が完結しない企業は、離職者の増加や求職者の減少といったデメリットにつながります。
また、取引先がテレワークなどを実施している場合、取引先とのやりとりでペーパーレス化を求められることもあるでしょう。
ペーパーレス化が進んでいなければ、取引先とのやりとりが不便になったり、デジタル化が遅れている会社という印象を与えてしまったりします。
環境に配慮していない企業という印象がつく
ペーパーレス化が求められている背景には、環境問題への注目の高まりも関係しています。
「企業がどれだけ環境問題に配慮しているか」というのは、顧客が企業やサービスを選ぶ際の基準のひとつです。
ペーパーレス化が進んでいない企業は、紙をはじめたとした資源を大切にしていないという印象を与えることもあるでしょう。
このような好ましくない印象は、顧客離れや業績悪化につながります。
ペーパーレス化が進まない企業がとるべき対策
ペーパーレス化を一気に進めることはできません。
ペーパーレス化を阻むさまざまな課題を少しずつ解消しながら推進していくことが大切です。ペーパーレス化が進まない企業が取るべきプロセスを解説します。
経営層がペーパーレス化について理解する
まずは、経営層がペーパーレス化を理解しなければいけません。
ペーパーレス化には、ペーパーレス化の方針や設備投資、人員配置など経営層が判断しなければ進まない事項がたくさんあります。
長期的な視点でペーパーレス化のメリットや効果を理解し、経営層がリードしてペーパーレス化を進めていきましょう。
従業員にペーパーレス化のメリットを周知する
経営層だけでなく、従業員にもペーパーレス化のメリットを理解してもらうことは非常に大切です。
なぜなら、実際にペーパーレス化の影響を大きく受けるのは現場の従業員であり、従業員の協力なしではペーパーレス化を推進することはできないからです。
ペーパーレス化によってどのように業務が効率化されるのか、数字を使うなどして具体的に周知しましょう。
必要に応じて研修などをおこない従業員の理解を得るとともに、従業員のITリテラシーを高める工夫も大切です。
小さなことから始める
ペーパーレス化のステップは小さなことから始めましょう。
普段の業務の中で不便な点を洗い出し、すぐに取り組めそうなものからペーパーレス化を進めていくのです。
例えば、
- 会議の資料は事前にメールなどで共有し、必要なものだけを各自で印刷する
- 日報の提出を手書きからメールやチャット提出に変更する
といったことが考えられます。
これらは新たなツールを導入せずとも始められるペーパーレス化の例です。
身近なことからペーパーレス化をスタートすれば、経営層・従業員両方がペーパーレス化の利点を感じやすいというメリットもあります。
プロの手を借りる
ペーパーレス化の推進に時間や人員を割けない場合は、プロの手を借りるのもひとつの手です。
例えば、
- 書類の電子化などの代行サービスを利用する
- デジタルツール導入時の有料サポートを利用する
- コンサルティングを受ける
など、プロの手を借りれば短期間でペーパーレス化を進めることも可能です。
自社でおこなうよりも当然コストはかかりますが、長期的な視点で考えれば必要な投資となることもあるでしょう。
デジタルツールを活用する
ペーパーレス化には、デジタルツールが欠かせません。
導入しやすいデジタルツールの例として、
- インターネットFAX
- ビジネスチャット
- オンラインストレージ
上記のデジタルツールは、コストを抑えてペーパーレス化を進めたい場合におすすめのデジタルツールです。
インターネットFAX
インターネットFAXとは、名前のとおりインターネット回線を使ったFAXのことです。
PCで作ったファイルをそのままFAXできたり、受信したFAXを印刷せずにPCなどで確認できたりできます。
取引先との関係でFAXを廃止できない企業におすすめのツールです。
ビジネスチャット
ビジネスチャットとは、ビジネス用に設計されたチャットツールのことです。
メールよりも早いコミュニケーションを可能にし、業務効率アップに大きく貢献します。
大容量ファイルも共有できるため、メールでのコミュニケーションに不便を感じている人におすすめです。
オンラインストレージ
オンラインストレージとは、インターネット上でファイルを共有・保存・編集できるサービスのことです。
インターネット環境があれば、どこからでもアクセスできるためテレワークなどの働き方にも対応できます。
また、取引先とのファイル共有にも役立つツールです。
アクセス制限や通信を暗号化できるセキュリティが強固なサービスを選べば、安心して利用できます。
ペーパーレス化が進まない課題をひとつずつ解消しよう
ペーパーレス化を推進するには、意識的な課題・実践的な課題の両方を乗り越える必要があります。
ペーパーレス化が進まないのであれば、経営層・従業員の両方がペーパーレス化の必要性を認識し、少しずつペーパーレス化を進めていくことが大切です。
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