BCP対策は、災害などの緊急時にいち早く事業を再開し、会社経営を持続していくために取り組むべきものです。
BCP対策として企業はいろいろなことをしなければいけませんが、BCP対策にクラウドシステムを活用する会社が増えています。
BCP対策におけるクラウドの活用方法や効果を知った上で、BCP対策に効果的なクラウドサービスの選び方を理解していきましょう。
そもそもBCP対策とは?
BCPとは「Business Continuity Plan」の頭文字を取ったもので、日本語では「事業継続計画」と呼ばれています。
BCP対策は、自然災害やテロ、感染症の流行などの緊急事態において、重要業務をいち早く再開し、経営への影響を最小限に抑えるための計画や取り組みのことです。
BCP対策はさまざまな用意や準備が必要になり、例としては以下になります。
- マニュアルの策定
- バックアップ環境の構築
- テレワーク・時差出勤など、分散した働き方の確立
- 本社機能の分散化
- 取引先が被災した場合における、別の取引先の確保
業種によっても必要なBCP対策は異なりますが、これらはあくまでBCP対策の一例です。
この中でも、バックアップ環境の構築や、分散した働き方の確立、本社機能の分散化においては、インターネットを介して利用するクラウドが適しています。
クラウドを上手く取り入れることで、導入・運用コストを抑えたBCP対策が可能になります。
自然災害などの緊急事態は、いつ発生するか誰にもわかりません。
BCP対策が練られていない企業では、不測の事態に陥ったときに事業復旧が遅れ、事業縮小や倒産の可能性があります。
一方、平常時からBCP対策を万全にしておけば、緊急時でも早期の事業継続・回復が可能になるほか、取引先や顧客からの信頼も高まり、企業イメージの向上にもつながります。
しかし、BCP対策は起こるかわからない緊急事態に備えるものですので、できればコストを最小限におさえて効果を得たいと考える人も多いでしょう。
そこで、コストパフォーマンスのよいBCP対策として活躍するのがクラウドシステムです。
クラウドをBCP対策に取り入れる効果について確認していきましょう。
BCP対策にクラウドを活用する効果
BCP対策にクラウドを活用することで得られる効果やメリットはどのようなものなのでしょうか。
BCP対策のひとつとしてクラウドの特性を活かした効果を確認していきましょう。
重要なデータを遠隔地保管できる
事業の早期回復を図るためには、会社の重要データを消失・漏えいのリスクから守ることが大切です。
社内サーバーにデータが保存されている場合、自然災害などで会社がダメージを受ければ、サーバー自体もダメージを受ける可能性があります。
一方、クラウドサービスのデータセンターは、災害が少ない地域や強固な建物に設置されており、会社がダメージを受けてもデータセンターに保存されたデータの安全性を確保できるので、リスク回避として有効です。
バックアップ環境が構築できる
クラウドシステムはインターネットに接続されているため、自動でバックアップデータを取得します。
自動的・定期的にバックアップを取っていれば、緊急事態やトラブルでのデータの紛失の備えとして効果的です。
また、バックアップデータの保存先がオフィスとは異なる遠隔地であれば、BCP対策としてさらに効果的でしょう。
リモートワークに対応できる
クラウド環境が整備されていれば、リモートワークに対応できます。
これは働き方の多様性という面でも価値がありますが、BCP対策においては、被災したオフィス以外でも仕事ができ、事業継続・早期回復に貢献するという面で有用です。
また、日ごろからリモートワークでも働ける環境の整備やリモートワークで各社員が働いている会社であれば、その時点でBCP対策としてもリモートワークを取り入れられているとも考えられます。
導入しやすい
クラウドシステムは、オンプレミス型と比較してコストが低く導入しやすい点もメリットです。
BCP対策はいつ起こるかわからない緊急事態に備えておくものです。
緊急性が不透明なため、導入コストやハードルが高いとBCPの策定が進まない企業もあるでしょう。
その点、クラウドサービスの利用はコストが低く、テレワークの推進や業務効率化などのBCP対策以外の面でも活用できるため、導入のハードルは低くなります。
万が一の備えとしても、日常業務のサポートとしてもクラウドの利用は有効であるといえるでしょう。
BCP対策にクラウドを利用する際の懸念点
BCP対策に効果的なクラウドですが、利用にあたって注意すべき点もあります。
BCP対策にクラウドを利用する際の懸念点を2つご紹介します。
ネット環境に左右される
クラウドシステムは、基本的にインターネットに接続して利用します。
そのため、自然災害やテロなどで停電や大規模なネットワーク障害が発生すれば、クラウドシステムが利用できない可能性もあるのです。
この懸念点を解消するには、データの保存先を分散する、重要なデータに関しては社内でもバックアップを取っておくといった対策が考えられます。
クラウドに限らず、一つのツールだけに頼ることは危険です。
クラウドをベースにしつつ、ネットワーク環境が不安定になったときの対策も用意しておきましょう。
データセンターが被災する可能性がある
クラウドのデータセンターが被災した場合、データの安全性が脅かされる可能性があります。
基本的にクラウドシステムのデータセンターは災害が少ない地域や強固な建物内に設置されています。
しかし、緊急事態はいつどこで起こるかわかりません。
万が一、データセンターが被災した場合に備えて、「データ保存先の分散」や「重要データの複数バックアップ」といった対策を心がけましょう。
BCP対策に活用するクラウドサービスの選び方
実際にBCP対策に使うクラウドサービスを選ぶときの基準を5つご紹介します。
これらのポイントを抑えることで、緊急時でも平常時でも活躍するクラウドサービスを選ぶことが可能です。
セキュリティが強固である
クラウドサービスのセキュリティレベルは必ず確認しましょう。
クラウドサービスは、インターネットを介して利用します。セキュリティが甘いサービスは、不正アクセスやハッキングを許してしまい危険です。
総務省の「クラウドサービスを利用する際の情報セキュリティ対策」によると、クラウドサービス事業者がおこなうべき主要な情報セキュリティ対策は以下のとおりです。
- 災害対策や侵入対策など、データセンターの物理的な情報セキュリティ対策
- データのバックアップ
- ハードウェア機器の障害対策
- 仮想サーバーなどのホスト側のOS、ソフトウェア、アプローチにおける脆弱性の判定と対策
- 不正アクセスの防止
- アクセスログの管理
- 通信暗号化の有無
上記の基準をもとにクラウドサービスを選定するとよいでしょう。
また、クラウドサービスに保存するデータによっても要求されるセキュリティレベルが変わってきます。
保存するデータの性質にも着目してクラウドサービスを比較しましょう。
データセンターを複数保有している
クラウドサービスのデータセンターが被災した場合に備えて、複数のデータセンターを保有しているサービスを選ぶと安心です。
データセンターには、UPS(無停電電源装置)や非常用発電設備などが備わっていますが、停電などにより電力供給が止まった場合、数日間しか電力が持たない可能性があります。
データセンターの拠点が東京と大阪など、異なる電力会社になっているクラウドサービスを選ぶとよりデータの安全性を確保できるでしょう。
BCP対策以外にも有効である
クラウドサービスを選ぶ際には、平常時にも使えるサービスであるとよりよいでしょう。
普段の業務にも有効的なサービスであれば、導入に関する心理的ハードルも下がります。
また、従業員にとっても、普段から使い慣れているサービスであれば、緊急時でもスムーズに使いこなせるというメリットがあります。
使いやすい設計である
クラウドサービスの選定にあたっては、機能面だけでなく使い勝手も重要視すべき点です。
例えば、セキュリティが強固なクラウドサービスであっても、利用するたびにワンタイムパスワードが必要になるなど、使い勝手が悪ければ業務効率が低下してしまいます。
また、多機能が搭載されていても、分かりづらいユーザーインターフェース(UI)であれば十分に使いこなすことはできないでしょう。
BCP対策においては、平常時とは違う状況下での利用も考えられます。
誰もが使いやすい設計となっているかどうかも重視してクラウドサービスを選びましょう。
BCP対策にクラウドを活用しよう
インターネット環境があれば、時間や場所を問わずに利用できるクラウドシステムはBCP対策と非常に相性がよいものです。
クラウドシステムを上手くBCP対策に活用しましょう。
クラウドサービスを選ぶときには、セキュリティ対策やデータセンターの拠点、使いやすさなどを総合的に考慮することが大切です。
中小企業に最も選ばれているオンラインストレージ「セキュアSAMBA」は、データセンターに、NASAや600の米政府機関でも使われているAmazonWebService(アマゾンウェブサービス)を利用しており、緊急事態に備えています。
また、アクセス制限や通信の暗号化などのセキュリティ対策も万全です。直感的にわかる操作性でいつでも誰でも利用しやすいサービスとなっています。
BCP対策の一環として、オンラインストレージ「セキュアSAMBA」を導入しお役立てください。