DXに対する迅速な対応は日を増すごとに強く求められるようになっています。
しかし、経済産業省発表の「DXレポート2(中間取りまとめ)」により企業の約9割がDX未着手、または散発的な実施という状況が公表されました。
DXが進まない理由を考えていくと、DX促進を阻むいくつかの課題が明らかになってきています。
DXが進まない理由につながるDX促進を阻む課題やDX促進のために企業が取り組むべきことを解説していきます。
DXが進まないといえる状態とは?
そもそもDXはデジタルトランスフォーメーションの略語となっており、ビジネスシーンではデジタル技術を利用した経営改革を指す言葉として使用されます。
DXが進まない状態とは、この「デジタル技術を利用した経営改革」が進んでいない、またはおこなわれていない状態であるということです。
DX=デジタル技術を利用した経営改革は、単純に「デジタル化・IT化」という意味ではなく、以下の手順でおこなわれた経営改革のことです。
- 【Step1】データなどを電子化する
- 【Step2】そこから業務をデジタル化する
- 【Step3】ビジネスモデルの変革で競争上の優位性を確立する
経済産業省の「DXにおける指標とそのガイダンス」のなかの「DX 推進指標におけるDXの定義」では、DXの定義からは以下のように説明されています。
「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や 社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」
まず「単純にプロセスを電子化する」「古いシステム刷新する」「人間をAIに置き換える」などはDXとして誤った認識です。
経営戦略とデジタル戦略は一体であると認識し、ユーザー視点で新たな価値提供ができるか否かが、DXかどうかの分岐点だといえます。
そのためDX(デジタル技術を利用した経営改革)の正しい考え方としては「デジタル技術を利用して、データや仕事・人と人の繋がり方を変化させて、本当にやりたかったことや、やるべきことを実行する」状態であるといえるのです。
あらためてDXが進まない理由や状態とは「DXの定義を理解せず、DXとしての正しい経営改革がおこなわれていない状態」であるといえるでしょう。
DXが進まない理由を放置したままだとどうなる?
DXが進まない理由を放置したままだと、経済産業省が発表した「DXレポート〜ITシステム 2025年の崖」で紹介されたリスクに直面する可能性が出てきます。
2025年の崖として公表された、DXが進まないリスクは以下のとおりです。
- ビジネスモデルを柔軟・迅速に変更できず、デジタル競争の敗者になる可能性がある
- システム維持費が高額化する可能性がある
- サイバーセキュリティや事故・災害によるシステムトラブルやデータ滅失などの可能性がある
これらの課題を克服できない場合は、日本全体で2025年以降に最大で年12兆円の損失が生じる可能性があるともいわれています。
DXが進まない理由を放置したままだと、デジタル社会に乗り遅れ、時代に沿った顧客のニーズに応えられず、企業の存続が危ぶまれる可能性があるといえるでしょう。
DXが進まない理由はDX促進に課題があるから
DXが進まない理由は、DX促進をするうえでの課題が克服できないからであると考えられます。
DXが進まない課題を考えていきましょう。
DXの不明確なビジョンと戦略が不足している
DXが進まない大きな要因として考えられるのが、DXのビジョンが不明確で、DXに対する戦略が不足していることです。
当たり前ではありますが、DXをする先に目標とするものが定まっていないと、DXを進めるため何をすべきか不明瞭となります。
DXは顧客にニーズに応える状態を求められるので、企業ごとに目標が異なると考えられます。
- 企業ごとのDXの先に求めるビジョンが定まっていない状態
- ビジョンの不明瞭さがゆえに適切な戦略が練られていない状態
以上2点とは、DXが進まない大きな課題であるといえるのです。
DX促進のための人材が不足している
「DX白書2021第3部_デジタル時代の人材」の調査結果で、日本はDXに関する人材について、量・質ともに「不足している」という状態が明らかになりました。
人材の量確保の観点からは、米国企業ではデジタル事業に対応する「エンジニア/プログラマー」を除くすべての職種で「過不足はない」が日本企業より20%以上高い結果となっています。
そして人材の質確保の観点からは、デジタル事業に対応する人材の「質」の確保について、日本企業が不足していると回答した割合が70%前後になっているのです。
DXを進められる人材がいなければ、促進につながらないのは周知の事実です。
データからもわかるとおり、日本におけるDXのための人材不足は深刻で、DXが進まない課題だといえるでしょう。
日本企業は攻めのデジタル投資が少ない
DXが進まない理由として、日本企業は攻めのデジタル投資が少ないという課題が挙げられます。
一般社団法人電子情報技術産業協会/IDC Japan「2020年日米企業DXに関する調査」によると、アメリカと日本でデジタル投資している分野の違いという観点から、以下が明らかになりました。
- 米国企業…顧客・市場の分析などの攻めのデジタル投資が中心
- 日本企業…セキュリティ対策・働き方改革実践のため・コスト削減のためなどの守りの投資が中心
日本は紙文化などを筆頭に、業務に対して老朽システムを抱えている事業が多く、守りのデジタル投資にお金や時間を注ぎ込んできたと考えられます。
その結果として、新規ビジネスの創出につながる部分への投資が少なくなり、DX定義とされる「顧客や社会のニーズを基とした、経営改革」が進まないのだといえるでしょう。
DXが進まない理由の改善に企業が取り組むべきこと
DXが進まない理由を改善するために、企業が取り組むべきこととは、どのような活動なのでしょうか。
DX促進につながる企業の活動について、考えていきましょう。
老朽化したIT・デジタル文化からの脱却
DXを進めるうえで必要不可欠であるデジタル・IT化は、DX促進のために企業が取り組むべき課題であるといえます。
さらに先に進み、現在使用している老朽化したIT・デジタル文化からの脱却に取り組むことも、DXが進まない理由の改善に必要です。
また、経済産業省がDXレポート2で強く訴えたことの中に「レガシー企業文化から脱却し、本質的なDXの推進へ」というものがあります。
単に老朽化したIT・デジタルシステムを刷新するだけではなく、時代遅れの文化そのものや、老朽化し時代遅れになった文化からの脱却が重要になるということです。
DXに向けてデジタル変革の行程を歩むためには、老朽化したIT・デジタル文化からの脱却に取り組み、その先にレガシー文化からの脱却を目指すのが望ましいでしょう。
DXのための人材育成や確保
DXが進まない理由の改善として、DXのための人材育成や確保に資金や時間を投資できる環境を整えることが大切です。
人材育成には時間や人手が必要になることから、バックオフィスのアウトソーシングをして効率化を図るなどが、具体的に人材のリソースを確保できる方法でしょう。
また、DXの重要性を理解して適切な待遇で人材を確保するべきともいえます。
DXの下準備としてIT・デジタル化を進める際に、コスト削減などを大きな目標として掲げてしまうと、DXに精通する質のよい人材確保ができなくなる可能性が高まります。
DXをおこなう目的を忘れることなく、DX促進のための人材育成や確保を適切におこなえるとよいでしょう。
業務環境のオンライン化
業務環境のオンライン化は、DXが進まない理由の改善として大きな役割を果たします。
利用ツールのデジタル化が進んでいる状態は、DXを進めていくうえで必要不可欠です。
しかし、デジタル化した資料の保管や、他者との共有までデジタル化されていないことは、遠隔地でも他者と情報の共有ができていない状態では、本当の意味でのデジタル化とは言えません。
また、DX人材の確保などを考慮したときに、遠隔地とのやりとりがスムーズにできることは必須条件になり得ます。
業務環境のオンライン化として、リモートワーク対応・オンライン会議システムの導入、業務プロセスのデジタル化として、営業活動のデジタル化・クラウドでのペーパーレス化などの取り組みを進めるのが望ましいでしょう。
DXが進まない理由から適切な対応を考えよう
DXが進まない理由には、DXに対する不明瞭なビジョンや、DX促進のための人手不足などが課題に挙げられます。
そもそも利用ツールのデジタル化が進んでいないと、DXを進めていくことは難しいと考えられます。
課題をもとに企業が取り組むべきこととして考えられる事例の中でも「老朽化したデジタル文化の脱却」や「業務環境のオンライン化」は、DXの基盤になる部分だといえるためです。
オンラインストレージ「セキュアSAMBA」では、DXの基盤といえる業務のデジタル化・オンライン化が叶えられます。
迅速で安全にインターネット上で資料を管理できることから、DXが進まなかったときのリスクとして挙げられたサイバー攻撃から企業の大切な資産を守り、遠隔地とのやりとりが必要な場合でも、スムーズな情報共有が可能になります。
DXが進まない理由としてデジタル化・オンライン化にお悩みの際には、無料から使えるセキュアSAMBAの導入をご検討ください。