仕事やプライベートを問わず、IT機器やサービスを使うことが当たり前になった現代において、「身につけていて当然」とされているのがITリテラシーです。
しかし、ITリテラシーのレベルは個人によって異なるため、ITリテラシーが低いことに自分や周囲が気づかないままデバイスやインターネットを使い続け、情報漏えいなどにつながってしまう恐れもあります。
特に企業においては、ITリテラシーが低い社員がそのまま業務をおこなうことは大きなリスクを伴うこともあるでしょう。
重大な事故につながる前に、ITリテラシーが低い人の特徴を理解し、改善策を考えましょう。
企業におけるITリテラシーの必要性
ITリテラシーとは、IT(情報技術)を適切に活用するための知識や能力のことです。
主に、情報の正誤を見極め選びとる「情報リテラシー」、PCや周辺機器などハードの仕組みを理解する「コンピューターリテラシー」、セキュリティ意識によりインターネット上でのトラブルを回避できる「ネットリテラシー」の3つに分けられます。
ITリテラシーを身につけていれば、新たなデジタルデバイスやシステムに触れたときでも、自分の中の知識と経験から予測を立てつつある程度使いこなすことができます。
また、インターネットを活用しながらも情報漏えいなどのリスクを遠ざけ、間違った情報に惑わされず正しい情報を得ることができます。
これらの知識や能力は、日々進化するITに適応し、競争力を高めるために最大限活用することが求められる企業においては、社員の誰もが身につけておくべきものといえます。
デジタルデバイスやインターネット、ITツールは便利なものであると同時に、情報漏えいや間違った情報に惑わされるリスクもあるものです。
ITリテラシーが低く、ITを安全かつ適切に活用できなければ、会社全体の業務が滞ったり信用を損なう可能性もあることを覚えておくべきでしょう。
ITリテラシーが低いと考えられる状態とは
ITリテラシーが低い状態では、個人情報や社外秘情報が漏えいしたり、PCがウイルスに感染したりということが頻繁に起きます。
また、わかりやすく事故といえるレベルの事態が起きていなかったとしても、ITリテラシーの低さは社内を見ていれば、業務中の社員の様子から察することができます。
最低限の知識がない、業務効率化のためのITツールを導入したのに活用できていない、従来の紙をもちいたアナログなやり方を続けている社員がいる、どの情報がどこにあるかを社員全員が明確に理解できていないなどの様子が見受けられる場合は、ITリテラシーが低い状態であるといってよいでしょう。
ITリテラシーが低い人の特徴
ITリテラシーが低い状態を改善するためには、まず社員それぞれのITリテラシーのレベルを見極め、低い人をそのまま取り残さないことが重要です。
ITリテラシーが低い人の特徴にはどのようなものがあるのか見ていきましょう。
デジタルデバイスやシステムに触れたがらない
PCやタブレット、システムなどの利用に苦手意識があり、業務に活用しようとしない人は、ITリテラシーが低い人といえます。
従来のやり方にこだわり新しい知識を仕入れようとしない、使えば慣れるものでも使おうとしないなど、デジタルデバイスやシステムに触れたがらない人は、今後の成長や生産性の向上も見込めません。
自ら検索しない
新しいITツールをうまく使いこなせない、マニュアルに書かれている用語が理解できないなど、わからないことや不具合があったときに、自ら調べて解決しようとせずそのままにしてしまうことも、ITリテラシーが低い人の特徴のひとつです。
ITに関する知識は誰もが初めから持っているものではありませんが、インターネットが発達した現代では、わからないことがあればまず検索してみることで、多くのものごとが解決したり前進したりします。
自分で調べることをせず、ひとまかせにしたりわからないままで終わらせてしまう人は、周囲との知識や技術の差がひらくばかりになってしまうでしょう。
インターネットに潜む危険性を理解していない
ITツールやインターネットを使いこなしているものの、セキュリティに対する意識が低く、リスクをおかすような活用方法をしている人も、ITリテラシーが低い人といえます。
インターネットは利便性が高く、現代の生活や仕事に欠かせないものである一方、事故や犯罪に巻き込まれる危険性も併せ持つものです。
不特定多数の人がアクセスできる環境に重要な情報を載せてしまったり、根拠のはっきりしない情報を信じたりする人には、自分の行動により周囲にも被害が及ぶ恐れがあることを理解してもらう必要があります。
ITリテラシーが低い状態でいるリスク
ITリテラシーが低い社員がいることは理解しているものの、業務に大きく影響しないと考え、そのままにしている会社もあるでしょう。
しかし、社内のITリテラシーが低い状態を放置することにはリスクがあります。
生産性の向上を図れない
ITが発達した現代では、生産性の向上を図るうえで、業務のデジタル化やITツールの活用が不可欠となっています。
しかし、ITリテラシーが低い状態では、ITを活用した改革を進めようとしても社員に浸透せず、人手不足の解消やコスト削減に対応できないままとなってしまいます。
セキュリティリスクに直結する
会社のPCやシステムは常に、サイバー攻撃やマルウェア感染、情報漏洩や不正アクセスなどのリスクにさらされています。
それらから守るためにセキュリティ性の高いシステムやセキュリティソフトを導入したとしても、PCやシステムを扱う人のセキュリティ意識が低いままでは十分な効果を発揮できず、危険性を排除できないままとなってしまいます。
IT知識の格差が広がり続ける
デジタルデバイドと呼ばれるIT知識の格差は、社員間の業務レベルの差に影響します。
ITリテラシーを高めるための取り組みをおこなわず、個人がこれまでに得てきた情報や知識にのみ依存した状態を続けていると、ITを業務に活用できる人とできない人の差は広がり続けてしまいます。
会社の成長や発展を妨げる
変化する社会や顧客のニーズにこたえ、会社の競争力を高めるために、ITの活用は欠かせません。
しかし、社内のITリテラシーが低いと、業務効率化や新たなサービスの開発にITを活かすことができず、会社の成長や発展を妨げてしまいます。
過去のアナログな手法にこだわっている社員は視野が狭まっている状態であり、スマートフォンやPCを当たり前に使っている顧客の目線に寄りそうことはできないでしょう。
ITリテラシーが低い状態を改善する方法
社員のITリテラシーを高めるためには、会社としていくつかの取り組みをおこなう必要があります。
代表的な5つの方法を紹介します。
IT知識に触れる機会を作る
ITリテラシーが低い人は、自らIT知識に触れようとすることがないため、まずは会社がIT知識に触れる機会を作る必要があります。
社内周知に利用しているビジネスチャットやWeb掲示板に会社からの情報発信を載せる、Webマニュアルを作成して検索機会を作るなどの方法があります。
苦手意識を生まないわかりやすい表現や、ITが業務にどのように役立つかの具体的な事例の提示ができるとよいでしょう。
過剰なサポートはやめる
ITツールやシステムがすでに業務に組み込まれているにもかかわらず、ITリテラシーが低い人が対応できている場合は、フォローする人がそばにいてわからないことがあるたびに口頭で説明をしていたり、代わりに業務をおこなっていたりする可能性があります。
社員同士の助け合いは悪いことではありませんが、過剰なサポートはITリテラシーの低い人が自ら学ぶ機会を奪ってしまいます。
ITリテラシーの低い人が助けを求めてきた場合は、ひとまかせにさせず検索などによる自発的な解決をうながす、自分でツールに触らせるなどの対応が必要です。
IT環境を整備しアナログに触れる機会を減らす
ITリテラシーを高めるためには、デジタルデバイスやITツールに触れる機会を増やし、慣れることから始めるのがよいでしょう。
同時に、アナログに触れる機会を減らして、「従来のやり方でもなんとかなる」「アナログで解決できるからデジタルは必要ない」という逃げ道をふさいでしまうことも大切です。
IT環境の整備を進め、あわせて「紙での申請は受け付けない」などのルールを設けましょう。
企業向け研修サービスを利用する
社員のITリテラシーを高めるための教育ができる人材が社内にいない場合は、外部の手を借りて研修をおこなったりeラーニングを利用するという方法もあります。
企業向け研修サービスなら知識の片寄りがなく、基礎からさまざまな事例まで幅広く学ぶことができるでしょう。
IT関連の資格取得を推奨する
業務に関連する資格の取得をサポートしたり、合格した場合に報奨金を支給している会社もあるでしょう。
対象となる資格の中に、ITパスポート、情報セキュリティマネジメント、IC3(Internet And Computing Core Certification)などを含めることで、社員のITに関する知識を学ぶモチベーションを高めることができます。
ITリテラシーが低いままでいるメリットはない
ITリテラシーが低い人には、デジタルデバイスやシステムに触れたがらない、わからないことがあったときに検索しようとしないなどの特徴があります。
これらの特徴がみられる社員がいる状態を放置していると、情報漏えいや不正アクセスのリスクがあるだけでなく、ITを活用した会社の成長や発展を妨げてしまいます。
ITリテラシーが低い状態を改善するために、IT関連の資格取得を推奨する、IT環境を整備するなどの対策をおこなうとよいでしょう。
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