せっかく導入したテレワークでも、知識不足や準備不足によって失敗してしまう可能性もあります。
テレワークが失敗すると導入コストが無駄になり、社員のモチベーションも低下し、企業の利益を生み出せなくなるでしょう。
テレワークの失敗事例や失敗しないためのポイントを解説します。
テレワークが失敗と考えられる状態とは
「テレワークの失敗」とは、テレワークを導入や実施をしたにもかかわらず企業が設定した目標を達成できないことや効果的なテレワーク運用ができなかった状態を指します。
ゴールにたどり着き利益を生み出せないばかりか、かえって足を引っ張り、生産性が落ちてしまったというケースなどです。
また、大企業ほどテレワークが進み、中小企業は横ばいという結果が出ています。
このことから、中小企業ほどテレワークの失敗という局面に立たされている可能性があるといえるでしょう。
テレワークが失敗する理由
テレワークが失敗してしまう理由には、ツールだけが先行してしまうことや、ついていけない人のフォローができていないことなどが挙げられます。
ICTツールのみの先行
パソコンやタブレット、ヘッドセットなどを貸与し、クラウドツールの提供だけしたまま、テレワークを開始すると失敗しやすくなります。
テレワークの環境だけ整えても、テレワークを行う理由やどのようにすれば効率よく働けるのかなど、適切な指導や支援がなければ活用することはできないでしょう。
計画性のないテレワークの実施
計画性がないテレワークの導入は、現場で問題点が発生しても解決の道筋を示すことができず、ゴールも明確ではないため迷走してしまいがちです。
「時代の流れに乗ってとりあえずテレワークを始めてみた」というだけでは、ランニングコストはただ無駄になってしまいます。
一時的な導入で考えている
新型コロナウイルスの影響で、一時的にテレワークを導入したというケースも少なからずあり、この場合はテレワークの定着に課題があります。
テレワークが定着しないのは、そもそも長期的に活用する予定ではない、導入したもののメリットを得られないまま運用して廃止に至ってしまう、という理由もあるのです。
また、一時的に考えてテレワークを実施した場合は長期化することでより多くの課題が生じることになり、予想していない失敗やトラブルに見舞われてしまう可能性もあるでしょう。
チームワークの欠如
テレワークは個人戦のような働き方になってしまったり、一人で働いていると思い込みやすくなる環境下にあります。
プロジェクトの遂行はチーム内での互いのサポートが必要不可欠です。
テレワークを効率的に行えていない場合、チームワークが乱れてストレスの原因となることもあるでしょう。
アナログ世代の上司の無理解
ICTツールに理解を示さない上司により、テレワークでもできるような仕事にもかかわらず、オフィス出社を余儀なくされることがあります。
上司の無理解によって、テレワークの利点をうまく活用できず、効率を下げて失敗に導いてしまう可能性が上がります。
テレワークについていけない人のフォローがない
テレワークについていけない人に対するフォローがないことで、社員のメンタルヘルスに問題が生じたり、有益な人材の流出を引き起こしたりする可能性があります。
全ての社員がすぐにテレワークに適応できるわけではありません。できない人のフォローをし、より働きやすい環境へ高めていくシステムを作る必要があります。
コミュニケーション不足で信頼関係が築きにくい
テレワークに不都合を感じている多くの人が挙げている理由が「コミュニケーション不足」です。
ちょっとした相談事や情報共有をしたくとも、その都度オンラインでつながらなければならないため、伝えるべきことを抱え込んでしまうかもしれません。
コミュニケーションが不足した結果、重要な情報を共有できなかったり、精神的に落ち込んでしまったりする可能性があります。
テレワークの失敗事例
テレワークの失敗事例として、ハンコの文化がネックになること、テレワーク環境に適していない状況のままでいることなどが挙げられます。
出社しないといけないアナログのタスクがある
日本企業の場合、なかなかテレワークが進まない背景に、ハンコの文化や書類の確認といったアナログな作業が多く残されていることがあります。
2020年にはハンコ議連が、記名と押印は署名と同等であり、紙書類の決裁のために出勤するべきと指摘しました。
ペーパーレス化が進まないため、テレワークを始めても結局出社を余儀なくされてしまうのです。
テレワーク環境の準備が不足している
テレワークを実施しようにも、テレワーク環境がほとんど整っていないケースもあります。
プリンターやスキャナーがないことによりペーパーレス化ができず、紙の書類を確認するために出社しなければならない状況で、テレワークを推進するのは難しいでしょう。
テレワークやってみたものの適さない仕事だった
テレワークを始めてみたものの、テレワークに適さない仕事である場合も失敗します。
接客・販売業、生産・製造業、医療関係はどうしても対面での作業や機械の作業が必要となり、企業全体でテレワークに取り組むことは難しいのです。
セキュリティの確保ができない
セキュリティ対策ができていないテレワークによって、個人情報やパスワードの流出を許してしまうという失敗事例もあります。
社内ネットワークを利用しないインターネット接続や、VPN機器のアップデートが不十分であるために重要情報が流失したり、信頼を失墜させる事例もありました。
テレワークで失敗しないためのポイント
テレワークで失敗しないためにはきちんと環境を整備し、問題が起こってもすみやかに解決できる土台を整えておく必要があります。
どのようなポイントを意識してテレワークを進めるべきかを確認していきましょう。
現状の問題点の把握
テレワークで失敗しないためにも、テレワークを開始する前に「現状の把握」をするべきです。
どの業務はテレワークで対応でき、どの業務は現状を継続するのか、テレワークに移行したら何が必要で何を優先するのか、といったプランニングが求められます。
この過程を飛ばしてテレワークを導入してしまうと、トラブルの連鎖に対応できなかったり、無駄なコストの消費につながったりします。
目的を明確にする
テレワークの導入を検討する段階で、テレワークの目的を明確にしておきます。テレワークの目的とは、柔軟な働き方の実現と生産性の向上です。
これまでの働き方を比べ、最終的にどのくらい生産性を上げられるようにするのかを数値化すれば、達成までの進捗を確認しながらテレワークを進められます。
テレワークの環境を整える
テレワークを効率的に進めるためには、きちんとしたテレワーク環境を整えなければいけません。
インターネット環境、セキュリティ対策、各社員のパソコン端末の確保、パソコン周辺機器の充実、デスクやチェアの整備、勤怠ツールの導入、評価制度の見直しなど、やることはたくさんあります。
環境が不十分なままだと、中途半端に出社しなくてはいけなくなる可能性もあるため、事前に必要なものを洗い出しましょう。
導入コストを把握する
テレワークの導入にはそれなりのコストがかかります。削る部分や惜しまずに投入すべき部分を分けて、いくらの予算を充てるか把握しましょう。
自宅のネット回線工事費用、Wi-Fiルーターの費用、端末代、クラウドツールの年間費用など、導入コストのほかランニングコストもかかります。
また、テレワークを開始するとオフィスでの光熱費がかからなくなり、電気代の使用量が14%も削減できているという結果が出ています。
浮いた予算をテレワークの効率化に充てることも可能です。テレワークのためにどのように予算配分をするのか、全体像をつかんでおきましょう。
マニュアル化
テレワーク中にトラブルが生じた場合、どのように対処するかをケース別にまとめ、マニュアル化します。
マニュアルはクラウド上に配置し、いつでも確認できることが望ましいです。しかし、ネットワークの接続に問題が発生すると、マニュアルの確認ができなくなります。
あらかじめ緊急連絡先の電話番号を携帯電話に入れておくなど、インターネットを経由しないで済む通信手段の確保をしておきましょう。
テレワークは失敗しない準備と運用が重要
テレワークは正しく行えば作業効率も上がり、公私ともに充実した生活を送ることが可能となる働き方です。
しかし、テレワークを導入する目的が不明瞭で準備が不足していると、コストばかりがかさんでしまいます。
成果を残せないどころか、セキュリティ上の問題に対応できず、社会的信頼を失墜させる恐れもあります。
テレワークで失敗しないためにも、ゴールを定め、トラブルにも対応できるよう入念な準備を整えましょう。
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