ペーパーレス化や電子帳簿保存法により、紙だけでなく電子媒体で書類を保存することもできるようになりました。
しかし、紙書類と電子書類が混在する中で、書類の取り扱いに困ることはないでしょうか。
また、「大事な書類だから」とむやみに保存することは、オフィススペースや端末のストレージを圧迫してしまう要因になります。
適切に書類を保存し管理するためには、紙媒体、電子媒体、それぞれの書類の適切な保存方法を知っておかなければなりません。
書類の保存方法について、改めて確認していきましょう。
適切な書類保存の方法のポイントとは
はじめに、どのような目的や意識を持って書類保存を行うべきかについて解説します。
法令を遵守したスマートな書類保存をおこなう
事業を継続させるにつれ、どうしても書類は増えてしまいがちです。
書類を保存できるスペースや容量には限界があるため、いかにスマートに書類を保存できるかを考えなければいけません。
スマートな書類保存は、書類の作成に始まり、共有→保管→保存→廃棄のサイクルがうまく回っている状態をいいます。
しかし、企業によっては、保管や保存まではスムーズであっても、廃棄のタイミングを逃してしまうことで、書類が増え続けてしまうという状況に陥ってしまうことも考えられます。
ただし、古い書類だからといって、むやみに廃棄することはできません。
書類によっては、法令で保存期間が決められている法定文書があり、違反した場合には厳しい罰則が設けられている場合もあります。
適切な書類保存の方法では、法令を遵守しつつ、スマートに書類を保存するという目的があるかを意識しなければいけません。
書類保存の効率化を意識する
書類保存の法令を遵守していたとしても、共有のために書類を郵送したことで時間がかかったり、1枚ずつ目視しながら廃棄したりしていては、書類保存に対する手間が多くかかり、決して効率的とはいえません。
また、書類保存に対する作業に多くのリソースを割くことは、労働力の無駄使いにつながります。
したがって、適切な書類保存の方法を考えるときには、いかに書類の保存作業を効率化できるかを意識しましょう。
コスト削減を意識する
書類が増えれば、その分書類の保存スペースを確保する必要があります。
そこで、紙で保存していた書類を電子化するという方法を、視野に入れて考えてみましょう。紙の書類が電子化できれば、保存スペースの削減にもつながります。
電子化された書類は検索がしやすいことから、書類を探すための時間というコストを削減することもできます。
ただし、電子化された書類においても、ストレージの限界を超えてしまった場合には、容量の大きいプランへと変更したり、外部ストレージを購入したりしなければいけません。
コストを削減しようと、すべての書類を電子化しても、かえって新たなコストがかかってしまいかねません。
自社の規模や保存する書類の量に合わせ、適切な書類の保存ができる方法を選ぶことも重要です。
書類紛失のリスクを防ぐ
書類を紛失してしまった原因には、USBメモリや書類ケースなどを、社外へと持ち出したことで起こってしまったという事例が見られます。
書類紛失の例として、「書類の入った鞄をどこかに置き忘れてしまった」「ポケットに入れておいたUSBメモリをどこかに落としてしまった」のようなケースがあります。
これらは、容易に書類を持ち出せる方法で保存していたことが原因であるため、適切な書類保存方法とはいえません。
書類の保存方法が適切であるかどうかは、書類紛失のリスクを防げる方法であるかを意識することが大切です。
書類の保存方法:紙媒体
紙媒体の書類を保存する場合は、どのような書類を保存する方法があるかを見ていきましょう。
ファイルやフォルダに保存する
ケースファイルやインデックスフォルダに保存する方法は、紙の書類を保存する際の、最も一般的な保存方法です。
書類保存の際は、書類を分類してから、ケースファイルやインデックスフォルダに保存すると、保存作業を効率化できるでしょう。
保存時のコツとして、「背表紙が見えるようにキャビネットや書類棚に立てて保存する」「ラベルを貼る」などが挙げられます。
ケースファイルやインデックスフォルダを選ぶ際は、耐久性やサイズを意識して、本棚やキャビネットに収まりやすいものを選びましょう。
トランクルームをレンタルする
オフィスで扱う書類は、年を追うごとに増えていく傾向にありますが、一方でオフィススペースには限界があります。
保存するスペースが手狭になってきたのであれば、レンタル型のトランクルームに書類を保存するという方法があります。
なお、トランクルームを選ぶ際には、屋内型のものを選びましょう。
屋内型のトランクルームは、直接日光が差し込まず、温度や湿度の変化が少ないため、書類の劣化を防ぐことができます。
書類保管サービスを利用する
書類保管サービスは、書類の管理・保存に関する業務をおこなってくれるサービスです。
「保存しておくべき書類がわからない」「書類の管理台帳を作成していない」というユーザーの課題に対し、書類保存に関するコンサルティングや、管理台帳を代わりに作成してくれるものもあります。
書類保管サービスを選ぶ際は、建物への入室制限や警備機能などのセキュリティ面以外にも、建物が浸水や液状化の被害に対するリスクが低い立地であるかなども意識しましょう。
書類の保存方法:電子媒体
ペーパーレス化によって、PDF化やスキャニングによる電子媒体での保存が多く普及しています。
電子媒体の書類の保存方法にはどのようなものがあるかを見ていきましょう。
オンラインストレージに保存する
オンラインストレージは、電子化した書類をクラウド上に保存するサービスです。
オンラインストレージであれば、書類を作成した日時などの履歴が残るため、法定保存期間を過ぎた文書を、検索機能で速やかに検索して廃棄することができます。
オンラインストレージサービスによっては、万が一、電子化した書類を削除してしまった場合でも、一定期間はごみ箱の中にキープされ、復元が可能な場合もあります。
法人向けのオンラインストレージサービスであれば、セキュリティ性の高いサーバー上に保存されるので、情報漏えいのリスクはもちろん、自然災害や書類そのものを紛失してしまうというリスクを防ぐこともできます。
端末のストレージに保存する
パソコンやスマートフォンの端末に保存する方法は、自分で作成した書類やメールに添付された書類を、そのまま端末に保存することができます。
オフラインでも保存が可能なので、オンライン環境にない場合で、書類を一旦保存したい際には、利便性の高い保存方法です。
しかし、保存された書類は端末に依存するため、端末が故障した際には、書類にアクセスすることができなくなってしまいます。
端末のストレージに書類を保存することは、長期保存が必要になる書類の保存方法としては、不向きであると認識しておきましょう。
書類保存のクラウドサービスを利用する
書類保存に特化したクラウドサービスも多く普及しています。
書類保存のクラウドサービスは、契約書や請求書などあらゆる書類をクラウド上で一元管理してくれるサービスです。
設定した保存期間を過ぎたものをリマインドしてくれる機能や、充実したキーワード検索により、書類保存にかかる手間を大幅に省くことが可能です。
電子帳簿保存法やインボイス制度などに対応しているサービスもあり、書類保存に関する管理を、一括で任せられる点が大きな特徴です。
書類の保存方法で注意すべき点
書類の保存方法で、どのような点に注意すべきかを見ていきましょう。
文書保存期間を守る
企業で扱う書類には、法律で保存期間が決められています。
法定保存期間が決められている理由は、電子帳簿保存法において、証憑書類や帳票書類は、あらゆる取引において、双方の合意にもとづき、正しく取引がおこなわれたことを証拠づけるためです。
保存期間を守らなかった場合、特に電子帳簿保存法や会社法に違反した場合は、青色申告の承認取り消しや追徴課税、厳しい罰則として100万円以下の過料を収めなければいけないというケースもあります。
書類の保存方法を選ぶ際には、法律に違反しないしっかりとした管理ができる方法を選ぶことを意識しましょう。
USBメモリはNG
書類の保存方法として、USBメモリを使用するのは避けましょう。
USBメモリは、パソコンに差し込むだけで、インターネット環境に依存せずに、書類の保存ができるという利便性があります。
しかし、USBメモリは持ち運びしやすいサイズであることから、紛失のリスクが高い保存方法です。
重要な書類を保存したUSBメモリを紛失した場合、企業に与える損失は大きく、管理能力の甘さから、社会的信用を失いかねません。
書類の保存方法が多様化した昨今では、セキュリティリスクの高いUSBメモリ以外の方法を用いることをおすすめします。
書類保存の履歴を残す
書類を保存する際には、必ず「誰が」「いつ」「どの書類を」「どうしたのか」といった履歴を残しておきましょう。
保存期間を過ぎた書類を破棄する際や、法改正により書類の電子化が必要となった場合に、履歴からスピーディーに目的の書類を探し出すことができます。
オンラインストレージや書類保存のクラウドサービスでは、履歴が自動的に保存されるため、書類保存の管理を効率化できる書類保存方法です。
社内で書類の保存ルールを徹底する
どの書類の保存方法を選んだとしても、社内に書類保存のルールを周知させ、徹底して守らなければ、最適な書類の保存方法とはいえません。
中には、書類に法定保存期間が決められていることや、守るべき保存期間を知らないという社員がいるかもしれません。
各々の裁量で、書類を紙や電子媒体で保存したり、破棄したりすると、税務署から書類の提出を求められた際に、対処できず、指導や罰則を受ける可能性もあります。
そもそも書類の保存方法に関するマニュアルやルールが作られていなければ、まずはそれらを作成することが、適切な書類の保存方法としての第1歩になります。
自社で書類保存の管理が困難である場合には、外部のサービスを利用するという方法もあります。
いずれにしても、社内で書類の保存方法に関する規程をしっかりと策定し、全社員が守れるように徹底しましょう。
電子書類の保存方法にはオンラインストレージ
2022年より電子帳簿保存法が改正されたことで、電子化された書類が大幅に増えています。
コストをおさえつつ、安全に電子化した書類を保存するのであれば、オンラインストレージがおすすめです。
オンラインストレージのセキュアSAMBAでは、安全かつ効率的に書類のデータを保存することが可能です。
また、セキュアSAMBAは、改正電子帳簿保存法に対応しているため、今後電子化が進む書類の保存方法としては最適なサービスです。
ぜひこの機会に、無料から使えるセキュアSAMBAの導入をご検討ください。