DXの進め方についてどのようなイメージを持っているでしょうか。
DXを単に「AIやパソコンで業務を行うこと」ととらえるのは問題があります。
部分的なデジタル化でステップが止まってしまえば、DXを成し遂げたとは言えないでしょう。
しかし、アナログな作業を中心としている職場にとって、身近な業務のデジタル化からDXをスタートさせるのは決して間違いではありません。
大事なのはDXの進め方のステップを知り、それに沿って実践を積み重ねていくことです。
具体的なDXの進め方とDXのステップを確認していきましょう。
DXは目的ではなく手段
まず、DXの意味を確認しておきましょう。
DXとはDigital Transformation(デジタルトランスフォーメーション)の略称です。
DXとは「データを扱うITシステムをもとに、各市場の変化に柔軟かつ迅速に対応して成長していく会社になるためのプロセス」のことです。
あらゆるものがデータ化される現代のデジタル社会では、各市場は急激な変化にさらされています。
変化に対応し、顧客に新しい価値を提供できる会社こそが生き残っていくでしょう。
このような会社になるためには、デジタル技術を使ってビジネス全体の変革を進めていく必要があります。
そのプロセスをDXと呼んでいるのです。
DXは目的ではなく、あくまで価値のある会社になるための手段と捉えてください。
DXは進め方が重要になる理由
DXの進め方が間違っていると、思ったような効果が得られない危険性があります。
DXの進め方を確認し、ステップ通りに実行する必要があるのはなぜなのか解説します。
ビジョンのないデジタル化は中途半端になる危険があるから
DXが会社にとって有益になりうるのは、何か達成すべき将来のビジョンがあることを前提した場合です。
あくまでビジョンが先で、DXは後に来ます。
「なんでもいいからデジタル化しよう」という考え方では、必要がない部分さえもデジタル化してしまいかねません。
DXを計画的に進めるためにも、まず未来のビジョンを明確にするステップが必要なのです。
中長期的な視点で取り組む必要があるから
DXを成功させるためには中長期的な視点で計画を練り、じっくり取り組むことが重要です。
ただ一部業務をデジタル化すればDXが終わるわけではありません。
5年、10年後を見据えた計画を立て、着実に実行していく必要があるでしょう。
その過程では相当のコストが必要になりますし、専門人材の育成なども課題となってきます。
行き当たりばったりのデジタル化で時間やコストを無駄にしないためにも、DXの目標に向けて着実にステップを進めるべきです。
社内全体でDXのノウハウを蓄積させていく必要があるから
DXの一般的な進め方では、まず身近な所からデジタル化を行っていきます。
小さなステップを積み重ねることで、社内に成功体験とITに関するノウハウが蓄積されていきます。
DXは、既存の社内システムや社内文化を変革させるため大変労力がかかります。
無理をすると現場の反発を招いたり、デジタル化についていけない社員が出てきてしまうかもしれません。
そこで狭い範囲からDXのスタートを切り、社内全体で徐々にITスキルが成長していくようなステップが重要になるのです。
DXの進め方・DXのステップの概要
DXの進め方とステップを具体的に紹介していきます。
DXの進め方に、決まった形はありません。
会社によって事業の内容も目指すべきビジョンも違うので、DXの進め方も千差万別です。
しかし、まったく何もない状態からDXをスタートさせるのは難しいでしょうから、一般的なDXのステップ例を紹介します。
基本的には、「目標設定」→「専門家チームの結成」→「身近な業務のデジタル化」→「業務フロー全体のデジタル化」→DX→「計画の評価と改善」という流れです。
この例を参考に、自社にあったDXの進め方を考えてみてください。
会社が目指すべきビジョンの作成と現状の比較
DXの目標は、顧客に対して新しい価値を提供する会社になることです。
実現可能性のある「新しい価値」とは具体的にどのようなものなのでしょうか。
まずは経営者や経営陣が中長期的なスパンでどのような未来のビジョンを持ち、どの方向を目指すべきかを決定する必要があります。
このビジョンこそがDXの目指すところであり、出発点となります。
将来のビジョンがあれば、現状は何が足りず、これから何が必要なのかを洗い出して行くことが可能です。
ここで決定するビジョンは会社全体が目指すべきものなので、トップダウン式の意思決定プロセスを踏みます。
DX推進チームの結成と現状の課題整理
次にすべきは、DX推進チームを結成することです。
中小会社の場合、ふさわしい人材が社内にいない場合もあるでしょう。
そんなときは、ITコーディネーターのような外部人材を利用する方法も検討してください。
DX推進チームができたら、現状とビジョンを比較します。
どのようにビジネスモデルを変革すれば、現状とビジョン間のギャップが埋まるのかを考えましょう。
その中で今足りないもの、これから何をすべきかという課題を洗い出して、整理していきます。
課題を洗い出す過程では、現場の意見を聞くことも重要になります。
デジタル化する優先順位を決める
デジタル化する優先順位を決めていきます。
デジタル化の優先順位を決める際は、難易度やコストなどを総合して判断していきます。
1つの要素でも、デジタル化が成功すれば、それが良い経験となり自信につながります。
現場でのITスキルも高まり、より大きなデジタル化に進めるでしょう。
業務の一部をデジタル化
いよいよ、現場でのデジタル化を進めていくステップに入ります。
まずはアナログな業務の一部からデジタル化していくのが一般的です。
このような業務の一部をデジタル化するステップは、デジタイゼーションと呼ばれることもあります。
例えば、「いままで手書きで記帳していた帳簿をパソコンの表計算ソフトに入力にする」というのもデジタイゼーションの一種です。
また、「紙の営業資料をPDF化してタブレットに入れ持ち歩く」という例も考えられます。
紙媒体の書類をデジタル化すると持ち運びや保管に便利ですし、データの修正や更新、分析も容易になります。
業務プロセス・ワークフローをデジタル化
業務プロセスやワークフローといった業務の流れを丸ごとデジタル化するステップに入ります。
このようなステップは、デジタライゼーションと呼ばれることもあります。
電子承認のシステムを導入し、書類の承認プロセスをデジタル化するという例を見てみましょう。
電子承認のシステムでは、電子署名の仕組みを使うためハンコを使う必要が無くなります。
こうすればテレワークにもかかわらずハンコを押すためだけに出社する、という無駄を削減できます。
他にも「書類承認の進捗状況が確認できる」、「書類ごとに違う承認経路を設定できる」といったメリットがあります。
紙の書類をパソコンで作る、という前ステップからより広範囲をデジタル化したことで、業務全体が効率化されました。
蓄積されたデータを分析・活用
様々なプロセスをデジタル化することにより、業務の中で顧客情報や取引情報等のデータが蓄積されていきます。
次のステップでは、これらのデータを分析し、業務の中で活用することを考えていきます。
例えばデジタル化された顧客データの分析を行えば、営業戦略のブラッシュアップに役立つでしょう。
また、小売店の場合は店舗の来客データを分析し、客が来やすい日時、人気のある商品などを予想できます。
このデータを活かせば、売れ残りを極力減らすための仕入れ戦略が取れるはずです。
新しい価値の創出(DXのゴール)
最後のステップは「新しい価値の創出」、つまりDXのゴールになります。
DXの成功例として、Uberのサービスが既存の価値観をどう変化させたかを見てみましょう。
Uberが登場するまでは、行きたい場所に行くにはタクシー会社のタクシーを使うのが当たり前でした。
しかし、Uberはその考え方をがらりと変えてしまいました。
個人がUberのアプリを通じて車を提供できるようになり、個人対個人での配車サービスが可能になったのです。
決済のシステムはアプリの中にあるので、個人間では金銭のやり取りが発生せず、ユーザーは安心して取引ができます。
また、利用者ドライバー双方に評価システムがあるので、マナーの悪い人間は自然と取引ができなくなっていきます。
UberはアプリというITツールを利用し、今までの配車サービスとは全く違う価値観を作り出したのです。
PDCAサイクルで見直す
最後のステップは、PDCAサイクルを利用したDX計画の評価と改善になります。
PDCAサイクルとは、「Plan(計画)→Do(実行)→Check(評価)→Action(改善)→Plan(最初に戻る)」の流れのことです。
市場や顧客は今後とも変化し続けるので、ビジネスもそれに伴って変化し続けなくてはなりません。
DX計画を立てて実行した後は、その評価を行い、改善点を考え、それを次のプランに活かしていきましょう。
DXの進め方・DXのステップの注意点
DXの進め方の注意点をご紹介します。
進め方やステップに決まりはないといいましたが、多くの場合で当てはまる注意点を理解しておくとより効果的にDXを進めることができるでしょう。
ビジョンを社内で共有する
DX計画の意味が分からなければ、社内全体でDXに取り組むことはできません。
現場にとっては今までの業務をデジタル化しろと言われるのは、ただただ「面倒」なだけです。
現場がデジタル化の意味を理解できなければ、経営陣の将来ビジョンは実現しないでしょう。
これを防ぐためには、将来のビジョンを社内全体で共有できるようにする工夫が必要です。
また、経営陣には中長期的なDX計画を最後まで引っ張っていくためのリーダーシップが必要です。
外部のサービスを利用しつつ人材を育成する
リソースが足りない会社は無理に自社で全てを完結させようとせず、外部サービスをうまく利用することも検討しましょう。
外部の支援ツールを利用したり専門家の意見を幅広く取り入れたりすれば、DX計画の効率もよくなるはずです。
一方でいつまでも外部に頼っていると、自社内部の力が弱くなってしまいます。
時間はかかりますが、社内でIT人材の育成を行うことも重要です。
最初のDXのステップにオンラインストレージ
将来に対する大きなビジョンを設定し、身近な所からデジタル化をスタートするのがDXの一般的な進め方です。
最初は小さな業務上の変化でも、積み重ねていくことで社内全体のITスキルが成長していくはずです。
例えばDXの最初のステップとして紙の書類をデジタル化し、オンラインストレージで管理してみてはどうでしょうか。
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また、専任担当者によるサポート付きなので、初めてオンラインストレージを試す場合でも安心です。
身近なところからDXをスタートするきっかけとして、ぜひご検討ください。