オンラインストレージは、社内での共同作業や社外へのファイル共有など様々な場面で利用できる便利なツールです。
しかし、運用方針を決めずにオンラインストレージを運用していると、保存容量をオーバーしてしまったり、費用が多くかかってしまうといったトラブルが発生しかねません。
また、ルールなくオンラインストレージに保存すると、ディレクトリ構成が煩雑になり、必要なデータが検索しにくくなる可能性もあります。
複数の人間がアクセスするツールだからこそ、オンラインストレージの運用ルールはしっかり決めておきたいものです。
オンラインストレージの運用ポイント、オンラインストレージの運用ルールについて解説してます。
オンラインストレージを運用するメリット
まず、オンラインストレージを運用するメリットを整理しておきましょう。
オンラインストレージサービスを利用することでどのような面に好影響が起きるのでしょうか。
ストレージの運用が容易になる
デジタル化したデータは、自社内のHDDやNAS(ネットワークHDD)、ファイルサーバーにも保存できます。
これらの方法は詳細なカスタマイズが行えるという利点はあるものの、環境構築やセキュリティ対策に手間がかかります。
一方、オンラインストレージを利用すれば、各種設定はサービス提供会社に任せられるので、運用が容易になります。
拡張が簡単
データの保存先がHDDやUSB等の物理メモリの場合、容量が足りなくなれば追加購入しなければなりません。
メモリの数が増えれば、運用や管理の手間も増加します。
オンラインストレージの場合は、データ容量が足りなければプランをアップグレードするだけで済みます。
拡張が簡単なのは、オンラインストレージのメリットのひとつです。
BCP・災害対策になる
オンラインストレージを利用することは、災害への備えになります。
オンラインストレージにアップロードしたデータは、社外のデータセンターに蓄積されていきます。
仮に地震や火事で会社の建物が倒壊してしまっても、社内のパソコンが全て壊れてしまっても、オンラインストレージ上のデータに影響はありません。
ネット環境があればどこからでもアクセスできる
オンラインストレージには、インターネット環境とID・パスワードさえあれば、どこからでもアクセスできます。
営業先で資料をタブレット上に表示したり、リモートワークの社員にファイルを共有したりと場所を選ばず利用できるのが魅力です。
USBメモリやSDカードのように、持ち歩いている最中にどこかで落としてしまうといった危険性もありません。
オンラインストレージの運用を始める前の確認ポイント
オンラインストレージの本格運用を始める前には、いくつか確認すべきポイントがあります。
実際に運用や導入をする前にしっかりと確認しておくことが重要です。
サービス会社の料金設定
オンラインストレージは、サービス提供会社によって料金設定が異なります。
多くの場合「利用できるユーザー数」と「容量」によって料金プランが変わってきます。
しばらく使ってみれば、契約している料金プランが適切かどうかが分かってくるはずです。
もし将来プランをアップグレードする必要があるとすれば、どれだけ料金が上がるのかを確認しておきましょう。
オンラインストレージは使い続ける限り料金が発生していくので、予算内で使えるかどうかを検討することが大事です。
プランの保存容量
オンラインストレージを使い始めると、当初予定していたよりも保存すべきデータ量が多いと感じることもあるかもしれません。
プランの保存容量と空き容量の変化をチェックし、仮に容量が足りないとなれば、契約プランのアップグレードや他社に乗り換えることも考えなくてはなりません。
もし乗り換えを行うなら、早い時期の方がデータ移行の手間が少なくて済みます。
なおオンラインストレージサービス会社によっては、追加購入で容量を増やせるオプションを用意していることがあります。
基本プランと組み合わせて追加購入オプションを利用し、柔軟に保存容量を増やす方法も考えてみてください。
利用目的
オンラインストレージには、ファイル共有が簡単、共同作業しやすい、自動的にバックアップされるなど多くのメリットがあります。
しかし、そもそもオンラインストレージを導入しようとした利用目的を見失ってしまうのは良いことではありません。
例えば、ファイル共有ツールとして使うはずだったオンラインストレージが、いつの間にかバックアップメインに使われるようになれば、サービス選定が適切であったか、利用ルールが適正かどうかも変わってきてしまいます。
また、利用木庭がファイル共有からバックアップに変わってしまうと、社外秘のファイルを共有ファイルに入れてしまったり、導入当初の概算を超えるデータがオンラインストレージ上にアップロードされてしまう可能性も出てきてしまうでしょう。
オンラインストレージを導入したときに決めた利用目的とは違う使い方をするなら、プランや運用ルールの見直しを行う必要性があります。
運用ルール
オンラインストレージの利用目的に沿った運用ルールを策定して、利用者に周知しましょう。
オンラインストレージは、複数の人間が利用することが想定されます。
リモートワーク中の社員や外注先が、オンラインストレージにアクセスし、保存されているファイルの編集を行うこともあります。
個人個人が好き勝手にオンラインストレージを利用すると、様々なトラブルが起きかねません。
オンラインストレージの導入段階で、使い方のルールを決めておき、後々のトラブルを防ぎましょう。
オンラインストレージの運用ルールで決めるべきこと
多くの人間が効率的かつ安全にオンラインストレージを運用するためには、共通のルールが必要です。
オンラインストレージの運用ルールとして決めるべき項目を紹介します。
フォルダの構成
整理されたフォルダ構成は、オンラインストレージ内のファイルを検索しやすくします。
複数のプロジェクトを抱えている企業がオンラインストレージを使う場合を考えてみてください。
プロジェクトAとプロジェクトBにかかわるファイルが同じ場所にバラバラに保存されていると、必要なファイルを見つけるのに時間がかかってしまいます。
ここでプロジェクトごとにフォルダを作成しておけば、プロジェクトメンバーは自分に関係するファイルをすぐに見つけることができます。
また、作業完了済みファイルと作業中ファイルを入れるフォルダを分ければ、確定した内容を誤編集してしまうリスクも避けられます。
ファイル命名規則
ファイル名の命名規則を運用ルールで決めておくことも、ファイルの検索を容易にします。
ファイル名は内容が分かるように付ける場合が多いと思いますが、人によってつけ方は異なってきます。
同じ「プロジェクトA」のファイルでも、ある人は「PJ-A」、ある人は「Aプロジェクト」とつけるかもしれないからです。
ここでファイルの命名規則を「プロジェクト〇」の形に固定しておけば、ファイル検索に用いるキーワードを迷わなくて済みます。
共有・権限付与の範囲と手続き
オンラインストレージ上のファイルは、簡単に第三者と共有できます。
また、各共有者に対して「閲覧のみ」「編集可能」などの権限を付与できます。
このような機能は便利ですが、共有・権限設定を誤れば、思わぬ相手に情報を漏えいさせてしまう可能性があります。
同じオンラインストレージ上のファイルでも、社外の相手に見せてもよいものといけないものがあるはずです。
ファイルの共有、権限設定は誰の管理の下で行うのかや共有承認プロセス等を決めておきましょう。
ファイル削除規則
オンラインストレージ上のいらないファイルは、放置しておけば容量を圧迫します。
外注先とファイル共有している場合、プロジェクトが終われば機密漏洩防止のためにも共有ファイルを削除してしまいたいと思うかもしれません。
しかし、必要なファイルを誤って削除してしまっては大変です。
複数人で利用しているファイルがいつ不要になるのかを、個別に判断するのは難しいものです。
ファイルやフォルダの削除についても、共有設定と同じくどのような承認プロセスを取るべきか決定しておくと良いでしょう。
バックアップについて
オンラインストレージをデータのバックアップ先として利用する場合は、バックアップする範囲や頻度について決定しておくと良いでしょう。
無制限のプランを契約しない限り、オンラインストレージの容量には限りがあります。
また、アップロードできるデータの容量にも制限がある場合があります。
バックアップをしたつもりだったのにアップロードできていなかった、容量オーバーを起こしたといった事態を避けるためにも、バックアップの運用ルールを策定しておきましょう。
オンラインストレージ運用時のポイント
実際にオンラインストレージを運用していく際のポイントについて紹介します。
どのような点を意識することで効率的にオンラインストレージの運用ができるかを確認していきましょう。
ルールを周知徹底する
運用ルールを作成しても、利用者が知らなければ守られることはありません。
運用ルールができたら、社内講習などでオンラインストレージを利用する予定の従業員全員に説明してください。
なお運用ルールは、口で説明するだけではなく文章にしておくようにしましょう。
聞き間違いが起こりにくくなり、また後で見直しやすくなります。
オンラインストレージを使う外注先にもマニュアルとして配布しやすいです。
シンプルで使いやすい運用方法を採用する
オンラインストレージは多機能で、様々な使い方ができます。
しかし、あまりに複雑な運用方法を求めると、ITが苦手な従業員はついていけません。
運用方法に不満を感じる社員が決められたのとは違う方法でオンラインストレージを利用したり、まったく別のツールを使い始めてしまう危険性もあります。
オンラインストレージを運用する際は、シンプルで分かりやすい運用方法を採用しましょう。
運用方法のアップデートをしていく
運用ルールはオンラインストレージの導入期に作成しておいた方が良いですが、だからといってずっと同じものを使い続ける必要はありません。
途中で不備が見つかれば、ルールの変更をしたり、新しいルールを追加したりしてより使いやすい内容にアップデートしていけば良いのです。
また、使い方に無駄がないか、料金やプランを変更すべきか、セキュリティ対策は十分かなども、運用しながら検討していきましょう。
一度IDやパスワードを発行した相手でも、いつまでもオンラインストレージにアクセスしてもらうと困る場合があります。
例えば、一時的に業務委託をした外注先の社員、短期雇用、既に退職している従業員などです。
このような人のIDやパスワードは、速やかに消去していきましょう。
IDやパスワードは発行しっぱなしにせず、状況に応じて適切に追加、削除するようにしてください。
オンラインストレージ運用の際の注意点
オンラインストレージを運用する際の注意点についてご紹介します。
安全にオンラインストレージの運用や利用をするためにも把握しておく必要があります。
危険な通信経路からアクセスしないようにする
オンラインストレージにはネットを介してアクセスするため、通信経路の安全性を確認しておくことが重要です。
暗号化された通信経路を利用していない場合、オンラインストレージにアップロードしようとしたデータを盗み見られる可能性が高くなります。
例えば、フリーWi-Fiの中には暗号化されていないもの、暗号化されていてもパスワードが公開されているものもあるので注意が必要です。
社員の社内情報持ち出しに注意
オンラインストレージは、どこからでもアクセスできるのが魅力です。
しかし、この特徴は社員が情報を持ち出しやすいというデメリットにもなります。
IDやパスワードを持っていれば、社外のタブレットやスマホからでもオンラインストレージにアクセスできてしまうからです。
このような危険を回避するには、端末ごとのアクセス制限ができるオンラインストレージを利用するとよいでしょう。
さらには、「アクセスログを定期的に確認している」と従業員全体に知らせて、情報持ち出ししにくい環境を作り出すという方法もあります。
IDとパスワードが漏洩しないように気を付ける
オンラインストレージにアクセスするためのIDとパスワードは、漏洩しないよう細心の注意を払わなくてはなりません。
IDやパスワードを使いまわしていると、別のサービスから情報が漏れる場合があります。
必ずオンラインストレージ独自のIDやパスワードを設定するようにしましょう。
また、IDとパスワードを設定するときは「誕生日や氏名など憶測しやすいものは設定しない」「1111など単純な形にならないようにする」ようにしてください。
共有先や権限設定を間違えないようにする
オンラインストレージを運用するときは、共有先相手を間違えないようにしましょう。
社外秘の情報が漏れてしまう原因となります。
また、共有先の権限設定についても慎重に行ってください。
「閲覧のみ」とすべきところを「編集可能」にしてしまうと、共有先に悪意がない場合でも誤操作によりデータが消えてしまう場合があります。
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