様々な働き方が取り入れられ始めている近年、フリーアドレスが見直され、様々な企業で導入が試みられています。4月に働き方改革関連法案が施行され、オフィス環境を変えることにより、社内全体で効率を上げコストを軽減し、利益向上を目指す動きが社会全体で高まっています。フリーアドレスの概要やメリット・デメリット、実際の導入事例をご紹介しましょう。
フリーアドレスとは?
フリーアドレスとは、社内に固定席を設けず、毎日自由に席が選べる新しいワークスタイルです。企業によっては、ソファやハンモックなどが設置されているフリースペースがあり、環境を変えることにより、生産性をあげるという狙いがあります。
また、フリーアドレスを採用している企業では、タブレット端末や、ノートパソコン、スマートフォンなどがどこでも使えるWi-Fi環境が整っています。また、毎日出社時に、システムが自動的に席を割り当ててくれる仕組みを導入している企業もあります。
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メリット・デメリット
フリーアドレス導入には、多くのメリットと共に、デメリットがあります。
■メリット
スペースの効率化
フリーアドレスにした場合、本当に必要な数だけ必要なものを用意すればいいので、電気代の節約ができ経費が削減できます。
他部署とのコミュニケーションがふえる
毎日違う部署の人とコミュニケーションをとることにより新しいアイデアが生まれ、新しいプロジェクトにつながることもあります。
ペーパーレスになる
だれでもどこからでも資料にアクセスできるように、資料のペーパーレス化を進めることができます。
■デメリット
導入するのにコストがかかる
導入するためには、ノートパソコンや、スマートフォン、クラウドシステムなどの設備を整える必要があります。
来客や外線などの取り次ぎが困難
毎日席が変わる為、誰がどこに座っているのかが把握しきれず、外線の取り次ぎや来客時、対応に時間がかかる。
社内で浸透させるための労力が必要
社内でフリーアドレスを導入するための目的とどのように実践していくかをきちんと説明し浸透させなければ、以前と変わらず、同じ場所に同じ部署同士が座り導入に費やしたコストや試みが無駄になる。
フリーアドレス導入事例①
元々赤羽にオフィスを構えていたカルビー株式会社は、丸の内オフィスへの移転を期にフリーアドレスを導入。赤羽オフィスは、数階にまたがっていましたが、丸の内オフィスでは本社機能をワンフロアに集めたため、自然に社員一人一人の業務スペースを削減しなくてはならないという課題に直面。一番の問題は、資料などの紙の量でした。全体的なスペースが限られているため、ひとつひとつの机やロッカーのサイズも小さくなったため強制的に資料の半分ぐらいは廃棄しなくてはならなくなりました。
また、席を固定しないことで、コミュニケーションが疎遠になるのではないかという懸念がありました。しかし、コミュニケーションをとることが流動的になり、人間関係が広がることでコミュニケーション力が必然的に高まるという効果をもたらしました。
フリーアドレス導入事例②
コクヨ株式会社では、1997年からフリーアドレスが導入されています。
新しいことを導入するにあたり“運用マニュアル”を作成、“クリアデスク”といって机を綺麗にしてから席を移動させるなど、ルールを作り意識的に浸透させました。
また初めからフリーアドレスにするのではなく、チーム内で移動する“チームアドレス”、グループ内で移動する“グループアドレス”などを取り入れることにより、ゆっくりと社内で浸透させることができます。
成功の秘訣
フリーアドレス制度導入の成功基準は、社員全員が違和感なく社内で業務を進めることができ、新鮮な気持ちで過ごせているかどうかです。そのため、いきなり制度を導入するのではなく、まずはフリーアドレス制度が自社にとって適しているのかどうかを、じっくり調査することが大切です。今まで定位置に席を持つことが当たり前だったのに、急に環境が変わることに抵抗がある社員もいます。一人一人の不安や意見にじっくりと耳を傾けることが大切です。じっくり時間をかけながら、小規模で実践して、従業員から意見を得て、効率よく進めていきましょう。
まとめ
ITを使った業務が当たり前となり、目まぐるしい速さで働き方が変わっています。従業員一人一人の労働環境を見直す会社が増えています。社会的にも、在宅ワークなどが、働き方改革の施行により取り入れられるようになっています。フリーアドレス制度は、今までとは違うコミュニケーションを活性化させ、社内の経費削減や効率化が実現できます。しかしながら、デメリットもあります。自社の適性をじっくりと調査し、長期的にじっくり従業員になじんでいくように取り組みましょう。
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