ビジネスの現場で増えていく書類を保管する手段として、オンラインストレージを探している方も多いでしょう。実際にAmazonやソフトバンク、KDDIといった大企業が法人向けのオンラインストレージを提供しており、導入する企業も増えています。2019年の国内の法人向けオンラインストレージの売上高は総額700億円を超えました。
容量無制限で使えるオンラインストレージは安心して使い続けられることから、ビジネスの現場で根強いニーズがあります。容量無制限のオンラインストレージを探して、このページにたどり着いた方もいるのではないでしょうか?
容量無制限のオンラインストレージは便利ですが、料金やセキュリティなど、気を付けるべきポイントは多くあります。
そこで、今回は容量無制限のオンラインストレージの比較ポイントや注意点、おすすめのサービス6選を紹介します。
具体的な話の前に、クラウドストレージ、オンラインストレージ、共有ストレージなど似たような名称を見てどう違うのかと疑問を持った方のために、違いを解説します。
クラウドとは、インターネット経由でサービスを提供することを指します。そして、そのサービスの分類としてオンラインストレージ、共有ストレージなどがあります。簡単にいえば、クラウドサービスの種類としてそれぞれのサービスが存在するということです。
オンラインストレージの比較ポイントと注意点
複数のオンラインストレージ間で比較すべきポイントと注意点をお伝えします。
オンラインストレージの比較ポイント
まずは、複数のオンラインストレージを比較する際に検討するべきポイントを紹介します。
データ容量とファイルサイズ
データ容量とは1ファイルあたりの最大容量、つまり1回につきどれくらいの容量のファイルをアップロードできるかを指します。決められた容量までしかファイルを保管できないサービスやプランでは、継続して利用することは難しいです。
また、ファイルサイズも注目すべきポイントです。オンライストレージでは、ファイルをアップロード・ダウンロードする際のファイルサイズの上限が設けられていることがあります。動画や音声、画像などを多く取り扱う場合、アップロードできないということがないように必ず確認しましょう。
セキュリティ
ビジネスで取り扱う書類には、取引先や顧客の個人情報などの重要な情報も含まれます。その一方で、ハッキングやサイバー攻撃により企業から情報が流出する事件は毎年のように発生しています。このような事件が起こると、顧客からの信用低下や損害賠償に発展することすらあります。そのため、ビジネスでオンラインストレージを利用する際、セキュリティは最も重視すべきポイントの一つです。
ビジネス向けのオンラインストレージはセキュリティに力を入れているサービスが多く、説明文の中でどの項目を見ればよいか分からない方もいるでしょう。確認すべき点は数多くありますが、外部からのアクセスに対する項目や、データのバックアップ体制、データが削除されるまでの期間(無期限で利用したい場合もこの項目を確認)などを重点的に確認しましょう。
料金
オンラインストレージには、無料のものと有料のものがあります。有料サービスの中には買い切り型もありますが、多くは月額(年額)料金を支払うサブスクリプション型です。無理なく支払い続けられるものを選びましょう。
比較する際の注意点
複数のオンラインストレージを比較する際に大切なことは、料金だけを見て判断しないことです。料金を見て「高いから(有料だから)使わない」「安いから(無料だから)使う」と判断するのではなく、利用容量と料金、セキュリティ面などから総合的に検討しましょう。
また、オンラインストレージの中には個人の利用を想定したサービス(プラン)、ビジネスでの利用を想定したサービス(プラン)があります。そのため、個人利用と法人利用ではおすすめするサービスが違うことが考えられます。個人で利用しているものをビジネスで使っても有効活用できないことも考えられますので、注意してください。
おすすめの容量無制限オンラインストレージ6選
当ページがおすすめする容量無制限で利用できるオンラインストレージを、それぞれの特長や料金などの情報とともに6つご紹介します。
box(ボックス)
boxはアメリカのBox社が提供するオンラインストレージです。さまざまなプランが用意されていますが、ビジネスプランの「Business」「Business Plus」「Enterprise」の3つのプランが容量無制限で利用できます。
それぞれのプランの詳細は以下の通りです。
Business
料金:1ユーザーあたり1,710円
ファイルサイズの上限:5GB
セキュリティ:二要素認証、暗号キーなど
利用可能人数:3人〜無制限
Business Plus
料金:1ユーザーあたり2,850円
ファイルサイズの上限:5GB
セキュリティ:パスワードポリシーの施策、電子透かし及び埋め込みなど高度なセキュリティに対応
利用可能人数:3人〜無制限
Enterprise
料金:1ユーザーあたり4,200円
ファイルサイズの上限:5GB
セキュリティ:パスワードポリシーの施策、電子透かし及び埋め込みなど高度なセキュリティに対応
利用可能人数:3人〜無制限
Dropbox Business(ドロップボックス ビジネス)
アメリカのDropbox社が提供するサービス・Dropboxをビジネス向けにアップグレードしたものです。設計段階からセキュリティ機能を組み込むことにより、重要なファイルも安心して保管できます。「Advanced」「Enterprise」の2つのプランでは、必要に応じて容量を追加でき、無制限で利用できます。
それぞれのプランの詳細は以下の通りです。
Advanced
料金:1ユーザーあたり2,400円
ファイルサイズの上限:50GB(アプリを利用するとファイルを制限なくアップロード可能)
セキュリティ:二段階認証、透かし、セキュリティプラットフォームへの無制限のアクセスなど
利用可能人数:3人〜無制限
Enterprise
要問い合わせ(カスタムソリューションにより利用可能)
fileforce(ファイルフォース)
日本企業のファイルフォース株式会社が提供するサービスです。高いセキュリティを実現し、幅広い規模や業種の会社に利用されています。3つのプランのうち「Professional」はユーザーが増えるごとに容量を追加でき、「Exclusive」カスタムによって容量無制限で利用できます。
それぞれのプランの詳細は以下の通りです。
Professional
料金:1ユーザーあたり900円
ファイルサイズの上限:10GB
セキュリティ:シングルサインオン連携など
利用可能人数:50人〜無制限
Exclusive
要問い合わせ
Fleekdrive(フリークドライブ)
株式会社Fleekdriveが提供する、日本製のオンラインストレージです。共同作業のしやすさに重点をおいており、作業の効率化も期待できます。「Enterprise」プランは容量無制限で利用可能です。
プランの詳細は以下の通りです。
料金:1ユーザーあたり4,000円
ファイルサイズの上限:無制限
セキュリティ:高度なIPアドレス接続管理、ウイルスチェック、権限のカスタマイズなど
利用可能人数:10人〜無制限
Google Drive(グーグルドライブ)
Googleが提供するGoogle Driveには、ビジネスで利用可能なプランがあります。4種類のプランのうち「Enterprise」プランは必要に応じて容量を増やす形で無制限で利用できます。
プランの詳細はGoogle Driveへお問い合わせください。
ownCloud(オウンクラウド)
ownCloudは企業のサーバーにオンラインストレージを構築し、セキュアにファイルを共有できるソフトウェアです。既存のサーバーを利用できるため、料金プランに関係なく容量無制限を実現できますが、保守サポートの充実度等によって4つのプランがあります。詳細はownCloudへお問い合わせください。
容量無制限は必要ない?失敗しない容量の選び方
容量無制限にするほどデータを扱っていない、料金面の制約などから容量制限のあるプランを使いたい方向けに、気をつけたいポイントを紹介します。
データ容量の利用目安
写真や動画を多く取り扱う場合、どれくらい保存できるかは特に気になるところです。しかし、それぞれのサービスの容量の項目を見ても、どれほどの量を保存できるのかピンとこない方も多いでしょう。
例えば1TBのオンラインストレージでは、おおよそ以下の量のデータを保存できますので、目安にしてください。
1,200 万画素のデジカメで撮影した写真 25 万枚
映画 250 本または HD 画質の動画 500 時間分
Office ファイル、PDF、プレゼンテーション形式で保存されたドキュメント 650 万ページ分(物理的なファイル キャビネット 1,300 台分に相当)
個人でオンラインストレージを利用をする場合、最近では写真や動画を保管したり他人に送ったりする際に利用することが多いので、上に挙げたうち上2つの項目を確認します。ビジネスで利用する場合は、書類をメインで保存するのであれば「●GB」と記載されているものでも問題ないでしょう。しかし、画像や動画、音声などを保存する場合は数十GB〜数TBの大容量、あるいは容量無制限のサービスを利用することを検討してください。
個人におすすめのオンラインストレージ
個人利用におすすめのオンラインストレージを紹介します。無料(あるいは安価)で利用でき、気軽に使えてセキュリティも保証されていることを基準に選定しました。以下に挙げる3つのサービスは全てビジネスプランでの利用も可能ですが、ここでは個人利用を想定したプランを紹介します。
・Dropbox
世界中で5億人超のユーザー数を誇る、オンラインストレージを代表するサービスです。
容量・料金:2TB、無料
ファイルサイズの上限:50GB
セキュリティ:256 ビットの AES 暗号化と SSL/TLS 暗号化、30日間のファイルの復元とバージョン履歴の保持、2 段階認証(2FA)の有効化
・FireStorage(ファイヤーストレージ)
株式会社ロジックファクトリーが提供するFireStorageは、無料で容量無制限のオンラインストレージを利用できる人気サービスです。flashを使用しないクラシックバージョンは、通信速度のストレスを気にすることなく利用できます。
容量・料金:2GB、無料
ファイルサイズの上限:無制限
セキュリティ:ダウンロードパスワードの設定可能、ダウンロードした人を特定可能
・GoogleDrive
Googleアカウントを持っていれば利用可能なため、気軽に利用できます。
容量・料金:15GB、無料
ファイルサイズの上限:5TB
セキュリティ:安全なデータセンターに保管、他ユーザーのアクセスを制限可能
法人におすすめのオンラインストレージ
法人で利用するオンラインストレージは、使いやすさと高度なセキュリティを両立し、価格面で無理なく利用できるサービスがおすすめです。
・セキュアSAMBA(セキュアサンバ)
Chatworkストレージテクノロジーズが提供する中小企業向けの法人専用オンラインストレージです。
3年連続シェアNo.1※を獲得しています。
だれでも簡単に使える操作性とセキュリティ面の安全性を兼ね備え、有料サービスへのプランアップも可能です。ビジネスでまずは無料からオンラインストレージを導入したいという企業におすすめです。
容量・料金:100GB〜無制限、15,000円〜/月
ファイルサイズの上限:-
セキュリティ:ファイル暗号化・アクセス経路暗号化・端末認証・グローバルIPアドレスによる制限等
※出展:ITR「ITR Market View:コラボレーション市場2020」SaaS型コンテンツ・コラボレーション市場-従業員100人未満:ベンダー別売上金額推移およびシェア(2018~2020年度予測)
・BizStorage FileShare(ビズストレージ ファイルシェア)
NTTコミュニケーションズが提供するオンラインストレージです。セキュリティに定評があり、大企業を中心に利用されています。
容量・料金:1GB〜1TB、15,000円〜200,000円/月
ファイルサイズの上限:2GB
セキュリティ:ウイルスチェック・暗号化・不正アクセスに対応、IPアドレスによるログイン制限など
・Dropbox Business
2013年からスタートしたDropboxのビジネス版は特にアメリカで人気を集め、この年だけで400万人のユーザーを獲得した実績があります。
容量・料金:5TB〜無制限、1,500円〜2,400円/月
ファイルサイズの上限:50GB( アプリを利用するとファイルを制限なくアップロード可能)
セキュリティ:管理コンソールと監査ログ、256 ビットの AES 暗号化と SSL/TLS 暗号化、きめ細やかな共有権限設定など
・Fileforce
多くの企業に導入時実績がある日本製オンラインストレージです。
容量・料金:無制限、1ユーザーにつき1,500円/月
ファイルサイズの上限:10GB
セキュリティ:通信経路及びデータの暗号化、権限設定可能、シングルサインオン標準対応、全てのログを記録など
まとめ
今回はオンラインストレージの概念や仕組み、容量無制限で利用する場合の比較ポイントやおすすめのサービスをご紹介しました。
オンラインストレージをビジネスに導入することは、大量のファイルを保管できること以外にもメリットがあります。今回紹介したサービスの多くは無料クラウドアプリをリリースしていますので、これらをインストールした、PCやスマートフォン・タブレットがあればどんな場所からでもファイルにアクセスできます。このことは柔軟な働き方を押し進める一助にもなるでしょう。
今回挙げたサービス以外にも、複数のオンラインストレージを総合的に比較したい場合は、以下のページも参考にしてください。