メールの機密情報についての注意書きは、細かな文言は違っても、書かれている構成は同じものがほとんどです。
メールの機密情報の注意書きの構成に沿った内容の例文を2つ紹介いたします。
メールに機密情報の注意書きを記載する必要があるのはどのようなときか、そもそも機密情報の注意書きを記載することにどのような意味があるのかという視点からも、解説します。
メールの機密情報の注意書きの要点を押さえ、より安全に機密情報のやりとりができるようにしてください。
メールの機密情報についての注意書きとは何か
メールの機密情報についての注意書きとは「免責文言」や「メールの免責事項」とも呼ばれ、メール内容の取り扱い方法について示唆する文章のことです。
メールの文末に記載されている「この情報には機密事項が含まれているため・・・」など、数行や場合によっては数十行にも渡り、以下のような内容が記載されています。
- メール本文や添付資料が機密情報である旨
- 転送・公表・複写・転用禁止の旨
- 無関係な内容を受信したら、送信者に返信のうえメール破棄を促す旨
送信者が誤送信してしまった際に、受信者が情報漏えいをするなどのトラブル抑止効果に期待でき、法的措置をおこなうために必要になるのが、メールの機密情報注意書きだといえます。
メールに機密情報の注意書きが必要になるときとは?
メールに機密情報の注意書きを記載する必要があるのは、機密情報(秘密情報)が記載されている本文や添付物を取り扱うメールの際です。
特に秘密保持契約を結んでいる事業者間でのやりとりの際には、記載が必要になる場合が多いと考えられます。
秘密保持契約の多くには「機密情報だと表示してから開示すること」や「秘密情報には、秘密や機密情報・秘密情報などと明確かつ明瞭に示さなければならない」となっている場合が多いためです。
記載がないと、もし情報漏えいなどのトラブルに発展した場合に、機密情報の取り扱いであると証明できなくなってしまう場合があります。
- 秘密保持契約を結んでいる相手とのやりとりの場合
- 機密情報を含んでいる本文や資料などをメールで送る場合
以上の場合には、メールに機密情報の注意書きの記載が必要な可能性があると、認識しておけるのがよいでしょう。
メールに記載する機密情報注意書きの例文
メールに記載する機密情報注意書きは、世界共通で記載されている主な内容や構成は、同じものがほとんどです。
- 機密情報を含んでいる旨
- 転送・公表・複写・転用禁止の旨
- もし受信したら、送信者にその旨返信したうえで、内容の破棄を促す旨
以上を適切に含んだメールの機密情報注意書きの例文を紹介します。
簡易的な例文
必要最低限の内容を含んだ、機密情報の注意書き(免責事項)の例文です。
当社から送信されるメールのメッセージ及び添付物には、機密情報を含んでいる場合がございます。
当社から送信されたメールに心当たりがない場合、速やかに送信元へその旨をご連絡いただき、本メール及び本メールの添付物をすべて破棄していただけますようお願い申し上げます。
誤って着信したメールを、自己のために利用することや、第三者への開示は固く禁止いたします。
ウイルスについて明言されている例文
必要最低限の内容に加えて、ウイルスについて明言されている例文を紹介します。
当グループからのあらゆる電子メール及びすべての添付ファイルは、所定の受信者にのみ配信することを意図しています。
電子メールの内容は、機密情報(秘密情報)や占有情報、法律上の秘匿特権、そのほか保護対象になっている情報が記載されている可能性があります。誤送信などにより、機密性や特権が失われたり放棄されたりすることはありません。
当グループから電子メールが誤送信された場合、当グループ(送信者)へその旨をご連絡いただき、お使いのメールシステムやほかハードにコピーされた電子メール、添付ファイル等を破棄いただけますようお願い申し上げます。
当該電子メール及び添付ファイルについて、閲覧・再配布など第三者への開示は禁止しておりますことにご注意くださるよう、重ねてお願い申し上げます。
また、当グループからの電子メールには、発信者や宛先となっている受信者の認識しないところで、コンピューターウイルスやそのほかの欠陥が含まれている可能性があります。
受け取った電子メールまたは添付ファイルによるウイルス、システムの中断、破損、干渉、不正アクセスなど、あらゆる損失に関して、当グループでは一切の責任を負いかねます。
法律で認められる自己のシステムにて、送受信される電子メールの管理、監視する権利を留保することにご注意ください。
ウイルスについて明言されている機密情報の注意書きは、少々高圧的になりやすく「勝手に誤送信しておいて責任逃れの文章だけ送りつけられた」のようなイメージになりやすい傾向にあります。
そのため、慎重に利用を検討することが望ましいでしょう。
メールに機密情報の注意書きを記載する意味はある?
メールに機密情報の注意書きを記載する意味は、以下のように示されていることが多くなっています。
- 受信者が悪用した場合には、機密情報であるという注意書きは意味がある
- 受信者が悪意なく情報流出などした場合には、法的効力はなく意味がない
さらにくわしく解説します。
受信者によって記載内容の悪用があった場合
受信者によって記載内容の悪用があった場合には、機密情報の注意書きは記載しておく意味がある場合が多いとされています。
情報を悪用されるなどして損害を受けた場合、不正競争防止法に基づいて法的措置をおこなう可能性があるためです。
不正競争防止法上、文書や資料などが営業秘密とされるには3つの要件があります。
- 秘密管理性
- 有用性
- 非公知性
要件の中の秘密管理性の内容は「秘密として管理されていること」とあります。
すなわち、情報に接している人間が、秘密だとわかる程度の措置が必要になります。
メールで機密情報のやりとりをしている際に、機密情報(秘密情報)である旨の記載がなければ、要件となっている秘密管理性を満たさない可能性があります。
万が一、受信者によって記載内容の悪用があり、不正競争防止法などの法的措置を講じるとなった場合には、機密情報を取り扱っている旨の記載は意味がある可能性が高まるといえるのです。
受信者が悪意ない情報流出をおこなった場合
受信者が悪意なく閲覧や情報流出などをおこなった場合には、メールの機密情報の注意書きは意味がないとされています。
そもそも誤送信などにより、機密情報を受け取った受信者により悪意のない情報閲覧や流出がおこなわれた場合には、機密情報の注意書きをしていても、法的に罰する効力はもたないという見解がほとんどです。
機密情報(秘密情報)の取り扱いが事業者間でおこなわれる場合には、秘密保持契約などを交わしていることが多いことでしょう。
しかし、この秘密保持契約は、双方が合意してはじめて効力のあるものとなります。
誤送信により受信した内容に機密情報が取り扱われていたとしても、受信者に守秘義務違反などの責任はないと考えられるのが一般的です。
- 受信者による閲覧や情報流出の際に、法的に罰することは難しい
- 閲覧される可能性は拭いきれない
など、メールへの機密情報の注意書きは、多少の抑止効果に期待できても「基本的なセキュリティ対策として意味はない」と考えるのが無難だといえるでしょう。
メールに機密情報の注意書きがあっても安全ではない
メールの機密情報の注意書きは、状況により必要になる場合はあっても、セキュリティ対策としての効果は期待が薄いと考えられます。
そのため、企業の機密情報(秘密情報)の取り扱いをする際には、セキュリティ対策がおこなわれているツールを活用し、注意書きだけではなく誤送信や情報漏えいなどに対しての防止策を講じることが大切だといえるでしょう。
メール以外の情報共有方法として、インターネット上で情報管理が可能なオンラインストレージがあります。
オンラインストレージ「セキュアSAMBA」では、資料は暗号化され、権限者のみしか閲覧できない、管理ツールへのログイン方法が強固につくられています。
また、セキュアSAMBAは、修正などのログが管理でき、万が一誤った情報をアップロードしてしまった場合でも、情報の削除が容易におこなえる点もセキュリティ対策につながります。
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