テレワークの導入、タブレットを使った業務範囲の拡大など、働き方や業務の進め方は急激に変化しています。
業務変化の流れのひとつに、ペーパーレス化があります。
ペーパーレス化には、コスト面、業務効率、セキュリティなど様々な面でメリットがあります。
一方で、不適切なペーパーレス化の進め方の場合は、業務を複雑化させるだけになる場合もあるので注意が必要です。
具体的なペーパーレス化の方法、ペーパーレス化を効率的に進めるツールを紹介します。
ペーパーレス化とは
ペーパーレス化とは、「書類や文章を電子化した上で送信・処理をし、紙を使わないようにすること」です。
ペーパーレス化は、自然保護の観点からも、経営上の利便性を高める視点からも必要とされています。
デジタル化が必須とされる中で、企業および国をあげてよりペーパーレス化が進められています。
2025年より完全施行される改正電子帳簿保存法は、国がペーパーレス化を進めている事がよく分かる例といえるでしょう。
改正電子帳簿保存法では、電子取引として完結する取引情報について、プリントアウトせず電子データとして保存する旨を定めています。
この法律が完全施行されれば、経理書類のペーパーレス化は今以上に進むことでしょう。
ペーパーレス化のメリットと必要性
なぜ、これまで紙を使っていたのに紙をやめてペーパーレス化を進めなければいけないのでしょうか。
ペーパーレス化を進めるメリットと必要性について、具体的に見てみましょう。
印刷コストを節約するため
ペーパーレス化を進めれば、印刷コストを節約できます。
書類を紙で保存するには、プリントアウトのための紙代やインク代等がかかります。
1枚1枚のコストは小さいかもしれませんが、年間を通してみれば結構な出費になるはずです。
ペーパーレス化すれば印刷コストを節約でき、経費削減につながります。
また、印刷にかける時間を節約できるのもメリットです。
保存上の問題を解決するため
紙の書類には、物理的な保管スペースが必要です。
社内の一部を倉庫にしているせいでスペースが足りなくなったり、いくつものキャビネットを用意するのにコストがかかったりしていませんか。
書類をとじておくファイル代も、数がかさめば馬鹿になりません。
ペーパーレス化された書類は物理的な場所を取らないので、このような問題を解決できます。
ハンコ文化から脱却するため
今までの日本では、書類を承認するのにハンコを多く使ってきました。
しかし、ハンコによる承認手続きには時間がかかります。
ハンコを押すためだけに出社しなければならない、というテレワーク上の課題も指摘されています。
ペーパーレス化した書類と電子契約のシステムを組み合わせれば、ハンコ文化からの脱却を測る糸口となるでしょう。
検索を容易にするため
電子化されたデータは、検索が容易です。
例えば時系列別にファイリングされている書類を、取引先をキーワードに検索するとなると大変な手間がかかるでしょう。
電子化されたデータなら、複数のキーワードでも検索がしやすいです。
探している書類をすぐに見つけられるようになれば、業務の効率化が期待できます。
テレワーク支援が必要だから
テレワークを導入するには、遠隔の相手とファイルを共有しやすくする環境づくりが必要になってきます。
メール、チャット、クラウドストレージを使えば、ペーパーレス化された書類を共有するのは簡単です。
特にクラウドストレージなら、ひとつのファイルを複数人で参照しながら、共同作業できます。
テレワーク支援に、ペーパーレス化は必須といえるでしょう。
セキュリティリスク軽減のため
紙の書類は、保存場所を知っている誰もが閲覧できます。
そして誰が書類を見たのかは、指紋でも採取しない限り分からないものです。
一方ペーパーレス化された書類は、ログを見れば誰が閲覧したかすぐに分かります。
アクセス権の設定をすれば、閲覧のみ可能な人と編集してもよい人を区別する事も可能です。
さらにペーパーレス化した書類は、物理的な紛失を防止します。
例えばクラウドストレージに保存された書類を扱う場合、持ち出してどこかに忘れてしまったというようなミスは発生しません。
セキュリティリスクを軽減するためにも、ペーパーレス化は必要です。
環境保全活動になる
地球環境にやさしいペーパーレス化を進めることは、会社のイメージアップ戦略となります。
紙を減らせば、紙の原料となる木を節約できます。
紙ごみも少なくなります。
つまりペーパーレス化は、地球温暖化を防ぎ、SDGsへの貢献につながるのです。
また、このような点をアピールすれば、会社のイメージアップにもつながると考えられる場合もあります。
ペーパーレス化をする際の注意点
ペーパーレス化にはメリットが多いですが、計画的に進めなければ思わぬ失敗をするかもしれません。
ペーパーレス化をする際の注意点を確認していきましょう。
ペーパーレス化の目標と達成後の業務イメージを持つ
ペーパーレス化の目標、および達成後の具体的な業務イメージを最初に描いておきましょう。
大事なのは、ペーパーレス化そのものを目標としないことです。
例えば、業務効率化は目標であり、ペーパーレス化はその手段です。
各部署、各個人が各書類をバラバラに電子ファイル化すると、かえって煩雑になってしまいます。
このパターンでは、ペーパーレス化はできたものの、業務効率化という目標は失敗しています。
まず、目標を達成できるようなペーパーレス化の共通ルールを作りましょう。
さらにペーパーレス化を実現後、業務がどのように動くのかイメージすることが大事です。
優先して電子化すべき書類の選別する
すべての書類を電子化するのには、膨大な時間がかかります。
また、多くの書類をペーパーレス化してしまうと「この書類は紙の方が良かった」「原本を確認したい」となった時、後戻りしにくくなります。
まずは、優先して電子化すべき書類を選別し、小さな範囲からペーパーレス化していきましょう。
その後、問題がなければペーパーレス化の範囲を広げていくのが良いでしょう。
効率的な業務をサポートするツールの検討
ペーパーレス化した書類を効率的に運用し安全な場所に保管するには、サポートツールが必要です。
データとして出力されたまま無作為に保存すると、無くなったり盗まれたりしても分かりにくいものです。
ペーパーレス化の方法とともに、電子データを取り扱うサポートツールの導入も検討しましょう。
社内と社外への理解促進
ペーパーレス化を実現すれば、今までの業務と手続きががらりと変わります。
戸惑いを覚える社員もいるでしょう。
デジタル機器が苦手な社員にもわかるよう、手順やルールを明確化する必要性があります。
また、取引相手に対してもペーパーレス化に対応してもらえるか事前に確認を取るべきです。
「今まで紙で出していた請求書を電子ファイルで送ってよいか」といった連絡は、ペーパーレス化導入の前に済ませておきましょう。
ペーパーレス化の方法:OCRでデジタル化する
ペーパーレス化に役立つのが、OCRという技術です。
OCRはOptical Character Readerの略称で、日本語で言うと「光学文字認識機能」となります。
印刷された文字や手書き文字をスキャンし、電子データにできる技術のことです。
OCRは既存の手書き書類をペーパーレス化したい時に使えます。
例えば手書きのメモ帳をOCRが搭載されたアプリで読み込めば、手書き文字をデジタルデータの文字に変換できます。
デジタルデータとしての文字は、コピー、ペースト、修正などができるようになります。
ペーパーレス化の方法:PDFファイル化する
スキャナー、コピー機、複合機で紙の書類をデータとして取り込み、PDFファイルにするというペーパーレス化の方法もあります。
Fax機能が付いた複合機なら、PDF化したデータをそのまま送信できるでしょう。
電子ファイルにはさまざまな形式がありますが、特にPDFファイルが注目されるのは様々なメリットがあるからです。
まず、環境を選ばず閲覧できるという点です。
「Acrobat Reader」という無料のリーダーソフトがあれば、スマートフォンでもパソコンでも閲覧可能です。
特定のソフトやOSがなければ、ファイルを開けないという事態を避けられるのです。
次にファイルサイズを軽くしやすい点が挙げられます。
PDFファイルサイズを圧縮するツールはたくさんありますから、ファイルを軽くしてメールで転送したいという場合にも便利です。
パスワードを設定したり、暗号化したりできるので安全に送受信が行えるというメリットもあります。
ペーパーレス化の方法:スキャニングサービスを利用する
大量の紙書類をペーパーレス化するのは、膨大な時間がかかります。
こんな時は、スキャニングサービス業者に頼むという方法があります。
作業を外注すれば、ペーパーレス化に割く時間を本来の業務に充てられます。
業者に頼むことで、自分でスキャンするよりきれいにスキャンしてもらえるというメリットもあります。
業者の選定には、原本の保管や廃棄も一緒に頼めるか、電子化後管理しやすい状態に整理してくれるかなどを比較するのがポイントです。
ペーパーレス化された書類を活用してペーパーレス化を進める方法
そもそも紙を使用しなければペーパーレス化に向けた作業は大幅に軽減されます。
書類を最初からペーパーレス化する方法を確認していきましょう。
オフィスソフトの活用
WordやExcelなどのオフィスソフトで、最初からペーパーレス化された書類を作成する方法です。
テンプレートを用意しておきコピーしながら使いまわすと、様式が統一され0から作る手間も省けます。
ただし様々なオフィスソフトの形式があるため、人や部署によってファイル形式がバラバラにならないように注意しましょう。
社内コミュニケーションツール
社内コミュニケーションツールで情報を共有する方法です。
社内で回す掲示板やお知らせの手紙を無くすことができ、社内のペーパーレス化を進められます。
メッセージを1つ作成するだけで社内全員に通知できる上、スタンプなどでコミュニケーションをとれるので効率面でのメリットが大きいでしょう。
ペーパーレス化後に役立つツール
ペーパーレス化後には、紙の書類を扱う時とはまったく違うツールが必要になります。
ペーパーレス化後に役立つツールをご紹介します。
オンラインストレージに電子ファイルを保存や共有
オンラインストレージは、ネット上にファイルを保存できる保管庫のようなサービスです。
オンラインストレージにペーパーレス化した書類を保存すると、簡単に共有できます。
1つのファイル上で共同作業を進められるので、テレワーク支援にも必須のツールといえるでしょう。
アクセス制限をかけるのも容易で、ユーザーごとに「閲覧のみ」や「編集可能」など様々な権限を付与できます。
様々なオンラインストレージサービスが展開されていますから、導入の際にはセキュリティ機能が充実したものを選びましょう。
電子署名ツールでペーパーレスな契約書を作成
電子署名ツールを使えば、メールを通して遠隔の相手ともすぐに契約を結べます。
リモートワークや外注の効率化に大きな役割を果たすでしょう。
契約書はPDF形式などペーパーレス化した状態で保存できるので、管理もしやすいです。
ワークフローシステムと組み合わせれば、承認手続きも効率化できます。
ワークフローシステムで申請、承認を効率化
ハンコ文化からの脱却を目指してペーパーレス化を実行するなら、ワークフローシステムの導入を検討しましょう。
申請や承認手続きをワークフローシステム上で行えば、どこまで書類の申請が進んでいるかを見える化できます。
システムによって、申請プロセスが違う書類を自動で振り分けてくれるものもあります。
いちいち申請手続きを確認する必要がなく、便利です。
他にもフォーマットに入力するだけで申請書が出来上がるなど、様々な面で申請、承認手続きを効率化できます。
会計ソフトで経理書類をペーパーレス化
必要な書類を一括管理できる会計ソフトを使えば、経理作業を効率よくペーパーレス化できます。
例えば、銀行口座の情報を取り込む機能を持つ会計ソフトを使うと、通帳の紙コピーは不要になります。
クラウド会計ソフトならネット環境があればどこからでも利用できるため、テレワークにも向いています。
ペーパーレス化の方法にセキュアSAMBA
紙の書類を電子データ化するのが、ペーパーレス化です。
ペーパーレス化をするには、目標を明確にし、適切な方法を選ぶことが重要です。
セキュアSAMBAはペーパーレス化した書類を保存し、共有するのに便利なオンラインストレージです。
また、フォルダの閲覧制限やウィルスチェックなど、セキュリティ面の機能も充実しています。
業務効率化を目的にペーパーレス化を進めるなら、無料から使えるセキュアSAMBAの導入を検討してみてください。