ITリテラシーが欠如していると、思わぬトラブルに巻き込まれ、企業の信用を失う事態に陥ることもあるでしょう。
企業だけではなく、従業員もITリテラシーについて熟知しなければならず、さらに企業には従業員へのITリテラシーを高めるための取り組みが必要になっています。
ITリテラシーを向上させるためには、ITリテラシーについて知らなければなりません。
ITリテラシーをなぜ向上させる必要があるのか、ITリテラシーを高めるための策や理由について、しっかりと確認しましょう。
ITリテラシーに重要な4つの要素
ITリテラシーを高めるには、そもそもITリテラシーがどのようなものかを理解する必要があります。
ITリテラシーとは、ネットや通信などのIT技術を使いこなす能力のことを指し、インターネットの普及が当たり前となった現代において大切なスキルとされています。
これまでは、ITリテラシーに定まった概念や定義がありませんでした。
しかし、近年は国全体としてもアナログの廃止やデジタル化推進の傾向にあるため、改めてITリテラシーの見直しがされています。
2017年に厚生労働省が発表した「平成29年度基礎的ITリテラシーの習得カリキュラムに関する調査研究報告書」によれば、
「現在入手・利用可能なITを使いこなして、企業・業務の生産性向上やビジネスチャンスの創出・拡大に結び付けるのに必要な土台となる能力のこと。」
と、ITリテラシーは定義されています。
つまり、パソコンやパソコンに関連するツールが使いこなせることがITリテラシーに繋がるのではなく、IT技術を正しく使いビジネスに利益をもたらせることがITリテラシーである、という意味です。
また、ITリテラシーは4つの要素から成り立っています。
しっかりとITリテラシーについて把握するためにも、4つの要素について確認しましょう。
情報基礎リテラシー
情報基礎リテラシーとは、情報を正しく活用することを指します。
SNSなどの普及により、あらゆる情報がありふれている現代、正しい情報を選択するための能力が必要です。
誤った情報を選択してしまうと、企業の信頼を失うことにもなるでしょう。
スマートフォン、パソコンの普及が広まっている現在、たくさんの情報の中から本物の情報を見きわめることはどのような人にも求められていることです。
情報基礎リテラシーについて、しっかりと学習するようにしましょう。
コンピュータリテラシー
コンピュータリテラシーとは、コンピュータを操作する技術や能力、知識を指します。
業務において、パソコンを使用しない企業はほとんどないでしょう。
Word、Excel、PowerPointを始めとするビジネスツールだけではなく、プログラミング言語などの知識も、今後は必要となってくるかもしれません。
どのような業界に所属するかでコンピュータリテラシーの水準は異なるため、確認するようにしましょう。
ネットワークリテラシー
ネットワークリテラシーとは、ネットワークに関することだけではなくセキュリティ面に関する技術を指します。
ネットワークは、正しい使い方をしなければ、顧客の情報や機密情報などの漏洩に繋がる可能性が高いです。
セキュリティ面が整っていないと企業の信頼を下げる可能性もあるため、より適切な知識が必要とされてきています。
インターネットリテラシー
インターネットリテラシーとは、SNSなどのインターネットの使い方に関する知識です。
企業SNSなども運用が活発化しており、広報活動としても多く使用されています。
しかし、誤った情報を流してしまったり、不快に思わせる言い方を使ってしまったりなど、信頼度を下げる行為に繋がる可能性も否定はできません。
インターネットは、一度炎上してしまうとすぐに消すことはできず、一生残り続けてしまいまう可能性もありますし、炎上が大きなトラブルに発展するケースも少なくありません。
SNSやインターネットを利用するのは当たり前になっている反面、少しの誤解やミス、安易な行動がリスクをもたらすという認識が必要でしょう。
ITリテラシーを高める必要性とは?
ITリテラシーを高める必要性とは具体的になんなのでしょうか。
ITリテラシーを向上しなければならない理由について確認しましょう。
生産性を上げるため
ITリテラシーを高めることで、手間のかかっていたアナログな対応を省くことができるため、生産性を上げることができます。
FAXや紙の文書でのやり取り、印鑑など、業務が滞るツールを廃除することにも繋がり、労働時間の節約にもできるでしょう。
業務をスムーズに進めるためにもITリテラシーの向上を目指しましょう。
コミュニケーションを増やすため
ビジネスチャットツールは、多くの人と同時にやり取りができるため、時間をかけずにコミュニケーションをとることが可能です。
アナログな対応をメインにしていると、同時進行できる業務が限られてしまいます。
また、遠方にいる取引先との会議なども、デジタルを利用すれば容易におこなうこともでき、円滑なコミュニケーションの実現やビジネスチャンスを広げることも期待できます。
テレワークへの移行をスムーズにするため
新型コロナウイルス感染の影響や政府の推奨もあり、テレワークを標準化する企業が増えています。
適切な環境を整えることができればテレワークはメリットが多く、人件費や交通費の削減に繋がります。
テレワークは柔軟な働き方のひとつであり、働き方改革により働き方が見直されている現代、重要視される事柄にもなっています。
また、日本はたびたび海外と比較すると、形骸化された風習が多く、ルールが厳しいと指摘されることも否定できません。
テレワークが、形骸化した日本の企業における硬派な考えを柔軟にするわけではありませんが、少しでも良い転換ができる一助になるのは間違いないでしょう。
セキュリティリスクを軽減するため
ITリテラシーを高めることで、情報セキュリティリスクを軽減することができます。
デジタルやIT危機を不適切に利用や管理していたことで、セキュリティにおける問題が発生した場合、大きなトラブルに発展する可能性が高くあります。
企業の信頼度を保つためにも、情報セキュリティへの対応や知識の向上は必須です。
情報漏洩を阻止するため
セキュリティリスクを軽減することで、情報漏洩や流出を阻止することができます。
コンピュータウイルスやフィッシングメールにより、企業が顧客の情報を流出する事件が多く発生しています。
企業の信頼を下げかねない事態を未然に防ぐためにも、ITリテラシーを高めて未然に情報漏洩を阻止する必要があるでしょう。
間違ったSNS運用をしないため
広告活動のために、SNSを活用する企業は増えています。
SNSは簡単にユーザーへ告知することもできるため、非常に便利なツールと言えるでしょう。
しかし、言葉の使い方や告知の方法などを間違えると、炎上に繋がる可能性が非常に高いです。
TPO、モラル、ルールや情報、コンプライアンスなどを守るためにも、ITリテラシーをしっかりと把握しておきましょう。
ITリテラシーを高めるメリット
ITリテラシーを高めると、どのようなメリットがあるのでしょうか。
ITリテラシーを高めるメリットについて確認していきましょう。
正しい情報の取捨選択ができる
ITリテラシーを高めることで、情報の真偽性を見きわめることが可能です。
ITの技術が発展したことにより、精巧なフェイク動画やフェイクニュースが世の中に溢れており、正しい情報を選択することがネットユーザーには求められています。
間違った情報を選択することはデメリットやリスクでしかなく、トラブルに発展する可能性も否定はできません。
常に正しい情報かどうかを判断できることがビジネスにおいても求められます。
生産性や業務効率が向上する
新しい事業を始めたり業務効率を上げるには、IT技術の使用が必要不可欠です。
メールだけではなく、オンラインストレージなどのデジタルツールを活用することで生産性を上げることができるため、さまざまな機能を利用することが求められています。
ITリテラシーを向上させるためには、アナログからデジタルへ移行することも大切です。
そのため、ITリテラシーを高めることで生産性や業務効率を上げることが可能になるでしょう。
情報漏洩の防止につながる
ITリテラシーを向上させることで、ネットワークや情報の扱い方が正しくなります。
その結果、大切な顧客の情報や機密情報を流出させることなく保管することができるようになるでしょう。
情報を適切に管理することは、企業の信頼度を保つことにも繋がるため、ITリテラシーの向上がいかに重要なのかがわかります。
ネットの炎上を防ぐことができる
ITリテラシーを向上させることで、ネットに特異的なコンプライアンスやモラルをわきまえることができ、炎上を未然に防ぐことが可能です。
ネット上に流れた情報や不祥事は、一生消すことができません。
一度炎上しただけで、企業の信頼度は著しく下がるため、不祥事を起こさないためにもITリテラシーは必要不可欠な常識と言えます。
企業ができるITリテラシーの向上策
企業ができるITリテラシーの向上策は、どのようなものがあるのでしょうか。
個人でおこなうのは困難でも、企業だからこそおこなえる向上策について、確認しましょう。
IT環境を構築する
IT環境の構築をおこないましょう。
パソコンやクラウド、ネットワークの整備は企業でおこなうことができます。
出費も増える一方、従業員一人ひとりに統一した環境を提供することができるため、重要な投資と言えるでしょう。
IT関連の資格を取得させる
従業員一人ひとりがIT関連の資格を取得すれば、ITリテラシーを周知させることができます。
しかし、学習するのは個人の力量によるため、企業でできることは限られています。
従業員が資格取得に積極的になれるよう、学習サポートや資格取得に関する費用を支給するなど、企業側でおこなえることを検討するのも良いでしょう。
ITリテラシーが欠如したことによる結果を予測させる
従業員一人ひとりが、ITリテラシーの必要性について考えられるよう研修をおこなうのも向上策としてあげられます。
いくらITリテラシーの重要性を説いても、自分で理解しなければ必要性は伝わりません。
パソコンさえあればどこでも受講可能なウェビナーも豊富にあるため、積極的に受講を勧めるようにしましょう。
個人ができるITリテラシーの向上策
個人ができるITリテラシーの向上策には、どのようなものがあるのでしょうか。
個人が積極的にITリテラシーを高めることができるような向上策について見ていきましょう。
SNS運用方法について熟知
SNSの運用方法について、モラルやコンプライアンスを確認しましょう。
たとえば、公開して良い情報としてはならない情報について、しっかりと区別することも大切だと言えます。
広告だけではなく、個人でSNSを利用する人も多いはずです。
企業の情報を少しでも公開したり、プライベートについて公開しすぎることは企業の信頼を下げる行為に繋がる可能性もあります。
企業は関係なくとも、個人が起こした不祥事により、企業の信頼度を下げることは多々あります。
そのため、一人ひとりが帰属意識を高めて、正しいSNSの使い方ができるよう、徹底させる必要があるでしょう。
Youtubeなどを使用した広告の仕方を徹底させる
企業の広告を運用することになった場合は、運用方法を徹底させる必要があります。
たとえば、コメントには返信をしない、広告を出すときは一人だけではなく複数人体制で確認をするなど、モラルを守った広告運用を心がけましょう。
広告活動を一人に任せる企業も多いとは思いますが、一人のみに任せると主観が入ってしまい、トラブルに繋がりやすくなります。
できる限り第三者の意見も通し、無難な広告活動ができるようにしましょう。
ITリテラシー確認テストを受けてみる
ITリテラシー確認テストを受けて、個人の意識を高めましょう。
確認テストには、具体的には以下のようなものがあります。
どれも無料で受講が可能なので、従業員に受講させるのも手です。
また、IT関連の資格試験の過去問を解かせることで、ITリテラシーの確認をおこなう方法もあります。
ITリテラシーを高めるための向上策を実施しよう
インターネットの普及が広まっている現代において、ITリテラシーは必要不可欠な常識と言えます。
ITリテラシーが欠如していると、不祥事に繋がる可能性も高くなるため、企業だけではなく従業員、また、個人までもが向上させる必要があるでしょう。
アナログの廃止が今よりも進むことで、デジタル化の推進は積極的になるはずです。
業務効率やリスクマネジメントの観点からも、ITリテラシーの向上は怠らないようにしましょう。