標的型攻撃とは?標的型攻撃の種類と標的型攻撃の事例を解説

目次[非表示]
- 1.標的型攻撃とは
- 2.標的型攻撃の種類
- 2.1.スピアフィッシング
- 2.2.ビジネスメール詐欺
- 2.3.アドバンスト・ペルシステント・スレット
- 2.4.ゼロデイ攻撃
- 2.5.ウォーターホール攻撃
- 3.標的型攻撃の事例
- 3.1.ネット広告代理店の標的型攻撃事件
- 3.2.日本赤十字社の個人情報漏洩事件
- 3.3.大手製造業の標的型攻撃事件
- 3.4.ウクライナ電力会社のサイバー攻撃
- 4.標的型攻撃への対策
- 4.1.セキュリティ意識と教育の強化
- 4.2.メールフィルタリングとセキュリティソフトウェアの利用
- 4.3.二要素認証と強力なパスワードの使用
- 4.4.インシデントレスポンス計画の作成
- 4.5.セキュリティ監視と早期検知システムの導入
- 5.標的型攻撃を理解してリスク軽減に努めよう
サイバーセキュリティの脅威として注目を浴びている標的型攻撃とは何か、その種類や実際の事例について詳しく解説します。
さらに、標的型攻撃に対する対策についても確認し、標的型攻撃からのリスクを軽減するための知識を身につけましょう。
標的型攻撃とは
標的型攻撃とは、特定の個人や組織を狙って行われる高度なサイバー攻撃の手法です。
一般的なサイバー攻撃が大量の攻撃対象に対して行われるのに対し、標的型攻撃は限られた対象を狙って精密に計画されます。
攻撃者は標的の特性や弱点を徹底的に調査し、カスタマイズされた攻撃手法を用いて標的を攻撃します。
標的型攻撃は、個人の情報窃取や組織の機密情報の盗難、ビジネス上の混乱や金銭的な被害など、さまざまな悪影響をもたらす可能性があります。
標的型攻撃の種類
標的型攻撃の種類にはどのようなものがあるのでしょうか。
標的型攻撃の種類を見ていきましょう。
スピアフィッシング
スピアフィッシングは、特定の個人や組織を狙って行われるフィッシング攻撃の一種です。
攻撃者は標的の信頼性を利用し、偽のメールやウェブサイトを用いて情報をだまし取ろうとします。
メールの巧妙な偽装や社内文書の偽造などが行われることもあります。
ビジネスメール詐欺
ビジネスメール詐欺は、BECとも呼ばれていて、企業や組織の社員を装った攻撃者が、取引先やパートナー企業に対して偽の指示や支払い要求を送信し、資金を詐取する手法です。
BECは巧妙なソーシャルエンジニアリングを駆使し、標的の信頼を得ることで攻撃を成功させます。
アドバンスト・ペルシステント・スレット
アドバンスト・ペルシステント・スレットは、APTとも呼ばれていて長期間にわたって標的を監視し、情報を収集する攻撃手法です。
攻撃者は標的のネットワークに潜入し、バックドアを作成したり、キーロガーを仕掛けたりします。
APTは高度な技術と知識を要するため、国家や組織などの主体が背後にいることが多いとされています。
ゼロデイ攻撃
ゼロデイ攻撃は、まだ公開されていない脆弱性を悪用して行われる攻撃で、攻撃者は脆弱性を見つけると、その脆弱性を攻撃に利用します。
ゼロデイ攻撃は防御策が存在しないため、被害を受ける可能性が高いとされています。
ウォーターホール攻撃
ウォーターホール攻撃は、特定のウェブサイトやオンラインコミュニティなどを攻撃の仕掛け場所として利用する手法です。
攻撃者は標的が頻繁にアクセスするサイトに侵入し、マルウェアを仕込んでおきます。
標的がサイトにアクセスすると、マルウェアが標的のシステムに感染します。
標的型攻撃の事例
標的型攻撃によってどのような被害やトラブルが発生するのでしょうか。
標的型攻撃の事例を見ていきましょう。
ネット広告代理店の標的型攻撃事件
ネット広告代理店の標的型攻撃事件では、攻撃者が代理店の広告配信システムに侵入し、多数のウェブサイトにマルウェア広告を表示させました。
被害者のウェブサイトにアクセスするユーザーは、そのマルウェアに感染してしまいました。
日本赤十字社の個人情報漏洩事件
日本赤十字社の個人情報漏洩事件は2022年2月28日に発生した事件です。
寄付の決済に利用されている決済サービス会社の株式会社メタップスペイメントの決済情報データベースへの不正アクセスによる情報流出が発生しました。
クレジットカード情報の流出は、不正利用される恐れがあるため、大きな問題になりました。
大手製造業の標的型攻撃事件
大手製造業の標的型攻撃事件では、攻撃者が製造業のネットワークに侵入し、工場の制御システムを操作しました。
この攻撃により、製造プロセスが混乱し、生産停止や品質の低下などの被害が発生しました。
ウクライナ電力会社のサイバー攻撃
ウクライナ電力会社に対するサイバー攻撃は、2015年12月に実際に発生した事件です。
この攻撃は、サイバー攻撃グループ「サンドワーム」と関連付けられており、重大な影響をもたらしました。
悪意のあるコードが電力会社のシステムに侵入し、制御システムを乗っ取りました。
結果として、数つの電力供給施設が停電し、数十万人以上の人々が停電に見舞われ、社会インフラの混乱が生じました。
この攻撃は、サイバー攻撃が物理的なインフラストラクチャに直接影響を及ぼす可能性を示すものとして注目されました。
標的型攻撃への対策
さまざまな手法で攻撃を試みる標的型攻撃を防ぐことはできるのでしょうか。
標的型攻撃への対策方法を見ていきましょう。
セキュリティ意識と教育の強化
サイバーセキュリティに関するトレーニングや教育プログラムを定期的に実施しましょう。
従業員には、フィッシング詐欺や悪意のあるリンク、添付ファイルに対する警戒心を高めるための具体的な指導や事例を提供します。
そのためには、セキュリティポリシーやガイドラインを策定し、従業員に対して周知徹底することが大切です。
さらに、フィッシング詐欺や悪意のある攻撃のシミュレーションやフィッシングテストを実施し、従業員の対応能力を評価することも有効です。
これにより、実際の攻撃に対して備える意識とスキルを向上させることができます。
セキュリティ意識と教育の強化は、組織全体のセキュリティレベルを向上させるために重要な要素です。
従業員がサイバーセキュリティのリスクを理解し、正しい行動を取ることで、組織のセキュリティを強化することができます。
メールフィルタリングとセキュリティソフトウェアの利用
メールフィルタリングやセキュリティソフトウェアを導入し、不正なメールやマルウェアを検出してブロックすることで、標的型攻撃からの防御を強化しましょう。
二要素認証と強力なパスワードの使用
二要素認証を導入することで、不正アクセスやパスワードの盗難による被害を軽減できます。
二要素認証は通常のユーザー名とパスワードに加えて、もうひとつの要素を使用してユーザーの身元を確認します。
これにより、第三者が不正にアクセスを試みた場合でも、追加の認証手続きが必要となり、セキュリティを強化することができます。
また、強力なパスワードポリシーを採用し、定期的なパスワードの変更を促すことも重要です。
インシデントレスポンス計画の作成
万が一標的型攻撃を受けた場合に備えて、インシデントレスポンス計画を策定しましょう。
迅速かつ効果的な対応を行うために、組織内の担当者や手順を明確化し、適切な対処策を準備しておきます。
セキュリティ監視と早期検知システムの導入
セキュリティ監視と早期検知システムを活用することで、異常なネットワークアクティビティや攻撃の兆候を検知し、迅速な対応を行うことができます。
定期的なログの監視や脅威インテリジェンスの収集も重要です。
標的型攻撃を理解してリスク軽減に努めよう
標的型攻撃は、個人や組織に深刻な被害をもたらす危険性があります。
標的型攻撃の定義や種類、実際の事例を把握した上で、標的型攻撃への対策としてセキュリティ意識の向上、セキュリティソフトウェアの利用、二要素認証の導入などの具体的な対策を講じてリスク削減に努めることが大切です。
サイバーセキュリティを強化し、標的型攻撃からのリスクを最小限に抑えるために、これらの対策を実施しましょう。