多くの企業では複数のクラウドサービスを導入することも増えてきています。
クラウドサービスを導入することによって、業務効率化やコスト削減などの効果が得られます。
しかし、企業で導入しているクラウドサービスの種類や数は多岐にわたるため、適切にクラウドサービスを利用するための「クラウド管理」が必要になります。
クラウド管理とはどういうことなのか、クラウド管理のメリットや必要性について解説します。
クラウド管理とは
クラウド管理とは、複数あるクラウドサービスを、インターネット経由で管理することをいいます。
ビジネスシーンでは多くのクラウドサービスが利用されています。
クラウドサービスの種類は実に豊富で、Gmailなどのフリーメールサービス、Dropboxなどのストレージサービス、Chatworkなどのビジネスチャットなどがあり、実際にこれらのサービスを利用している企業は多いことでしょう。
また、一般ユーザーが実際に触れることはなくても、開発やインフラ環境においても、多くのクラウドサービスが利用されています。
これら複数のクラウドサービスを、「いつ」「誰が」「どれくらい」利用しているかを管理する取り組みが、クラウド管理です。
クラウド管理が必要な理由
企業がクラウドサービスを利用するうえで、なぜクラウド管理が必要になるかについて見ていきましょう。
クラウドの管理業務を効率化するため
クラウド管理が必要な理由に、クラウドサービスの管理業務の効率化が挙げられます。
企業で導入されているクラウドサービスは多岐にわたり、多くの社員がさまざまなクラウドサービスを利用している場合もあります。
管理者は、入退社などの人事異動に伴い、クラウドサービスのアカウント付与や削除をおこないます。
ほかにも、各部署がどのクラウドサービスを利用しているか、クラウドサービスごとのプランや利用料金、更新日の確認なども管理業務に含まれます。
これらの管理業務を、すべて人の手でおこなうことは大変な作業になります。
そこで、複雑化するクラウドサービスの管理業務を、一気に効率化するために、クラウド管理が求められるようになったのです。
クラウドを適切に利用するため
そもそもクラウドサービスは、コスト削減や業務効率化を目的に導入されています。
しかし、同形態サービスの過剰利用や、導入したまま使われていないサービスが、管理しきれずに放置されていた場合、無駄なコストが発生してしまいます。
また、業務効率化を目的に導入したサービスであっても、期待していた効果が得られない場合も同様にコストに無駄が生じます。
こうした無駄なコストが生じていないかを適切に管理するために、クラウド管理が必要になるのです。
安全にクラウドを利用するため
クラウドサービスはIT技術に詳しくない人でも、利用しやすいというメリットがあります。
その反面、セキュリティ対策への意識の薄さや、操作が不慣れであることから、安全性を確保できない可能性もあります。
具体例としては、アクセス権限の設定ミスや、パスワードの使い回しによる情報漏えいなどが挙げられます。
こうしたセキュリティリスクを回避するために、クラウド管理が必要になるのです。
クラウド管理によって、パスワードやアクセスログ、アクセス権限の設定などを適切に管理することで、安全にクラウドサービスを利用することができます。
多様な働き方に対応するため
テレワークなど多様な働き方が普及したことで、クラウドサービスの利用に対する意識も変化しました。
これまでは、システムの管理者や各部署の責任者など役職に応じて、クラウドサービスの利用権限を設定することで対応できていました。
しかし、働く場所や勤務形態が多様化したことで、業務をおこなう環境に応じたクラウドサービスの利用権限の変更が必要になります。
クラウドサービスを利用する際に、場所や端末が限られてしまうと、多様な働き方の推進を阻害してしまいかねません。
しかし、多くの社員が利用するクラウドサービスの権限を管理することは、複雑なうえに管理者の負担も大きくなります。
そこで、柔軟かつスピーディーにクラウドサービスの一元管理ができるクラウド管理が求められるようになったのです。
クラウド管理の方法
実際に、クラウド管理とはどのようにおこなうのかについて見ていきましょう。
クラウド管理をおこなう管理者は、最初のステップとして、自社で利用しているすべてのクラウドサービスを把握し、管理できる環境づくりをおこないます。
まずは、クラウドサービスの利用状況と発生しているコストを明確にしましょう。
これは、クラウド管理の導入前と導入後で、どのような効果があったかを比較する際の基準値を得るために必要なステップになります。
次に、各クラウドサービスの管理者権限のアカウントを、クラウド管理をおこなう担当者に集約させます。
ただし、各部署で異なるクラウドサービスを利用している場合、誰が各クラウドサービスの管理者権限のアカウントをもっているかを、そもそも把握できていないケースも少なくありません。
クラウド管理に取り組むことは、クラウドサービス利用に関して不透明だった部分を、明確にできるという意味でも、必要性の高い管理手法といえるでしょう。
クラウドサービスの管理者権限のアカウントが集約できたら、クラウド管理ツールを使うか否かで管理方法が異なります。
クラウド管理ツールを使う場合
クラウド管理ツールを利用する場合は、クラウド管理ツールと各クラウドサービスを連携させていきます。
新たにクラウドサービスを導入することになった際は、その都度、クラウド管理ツールにクラウドサービスを追加・連携させていきます。
クラウド管理ツールでは、ダッシュボード上でクラウドサービスの利用状況をユーザーやサービスごとに一覧表示させることができます。
社員数や部署、クラウドサービスを多く利用している会社では、クラウド管理ツールを利用することで、管理業務の効率化につながります。
クラウド管理ツールを使わない場合
クラウド管理ツールを使用しない場合は、主に管理ツールとして、エクセルやスプレッドシートを用います。
各部署にクラウドサービスの利用状況のヒアリングをおこない、現在のクラウドサービスで業務がスムーズに進められているか、不足している機能の有無やプラン変更の必要はないか、など、社員へのアンケートも管理業務のひとつです。
クラウド管理ツールを使わないクラウド管理は、自動化される部分が少ないため、社員数が多い、クラウドサービスを多数導入している会社では、管理者の作業負担が大きくなるリスクに注意しましょう。
クラウド管理のメリット
クラウド管理によって、どのようなメリットが得られるのかについて見ていきましょう。
クラウドの稼働状況を一元管理できる
クラウド管理に取り組むことで、利用しているクラウドサービスの稼働状況を一元管理することができます。
一元管理によって、スムーズに稼働状況を把握できれば、クラウドサービスを無駄に利用していないか、セキュリティリスクが高い部分はどの部分かなどを、効率よく特定することができます。
また、クラウドサービス利用に関する情報が一箇所に集約されていることで、情報が整理され、適切なクラウドサービス利用に対する分析もしやすくなります。
コストが抑えられる
会社で複数のクラウドサービスを利用していると管理業務が煩雑化して、管理がしづらくなってしまいます。
この原因は、クラウドサービスの管理手法が最適化されていないことにあります。
クラウド管理を導入すれば、クラウドサービスがどれくらい使われているかを明確にすることができます。
そのため、利用していないのに支払いが発生しているクラウドサービスを確認でき、無駄なコストの削減につながります。
また、クラウド管理では管理業務を効率化できることも、時間コストや人的コストも削減できるでしょう。
クラウド管理ツールの運用保守はベンダーに任せられる
クラウド管理ツールを導入すると、クラウド管理の運用保守業務をベンダーに任せられるため、業務負担の軽減につながります。
エクセルなどを用いて、自社で利用しているクラウドサービスを管理している場合、「こんな機能があればもっと効率よく管理できるのに」と感じる人も多いでしょう。
クラウド管理ツールを導入すると、機能改善によるアップデートをベンダーに任せることができます。
クラウド管理サービスのベンダーの中には、利用しているクラウドサービスに障害が生じている際に、ユーザーからの問い合わせに対応してくれるサービスもあります。
クラウド管理に関する運用保守や、障害発生時のリスクを常に意識する必要がないので、管理者の負担が軽減されるというメリットがあります。
セキュリティ性が高い
クラウド管理をおこなうことで、自社で扱うデータのセキュリティ性を高めることができます。
利用するクラウドサービスが増えていくと、パスワード管理が複雑化しがちです。
パスワードが管理しきれなくなると、パスワードを簡単なものに設定してしまったり、パスワードをどこかにメモをしたりして、情報漏えいの原因になりかねません。
クラウド管理では、ひとつのIDとパスワードがあれば、複数のクラウドサービスにログインできるため、ユーザーがクラウドサービスを利用しやすくなると共に、セキュリティ面も強化できます。
クラウド管理で効率のよいクラウドサービスの運用を
クラウド管理を取り入れることで、クラウドサービスの稼働状況の一元管理が可能になり、管理業務の効率化につながります。
テレワークやハイブリッドワークなど、多様な働き方が進化していく今後は、さらなるクラウドサービスの提供や導入が予想されます。
効率のよいクラウドサービスの運用と最適化を目指すのであれば、積極的にクラウド管理のメリットを獲得しましょう。
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