社外とのやりとりや表計算にPCは使うものの、まだまだ紙での申請や資料保管などアナログでの業務が残っていて、現状で特に不満はないという会社もあるでしょう。
IT化という言葉は耳にするものの、自社とは関係がないものと感じている人もいるかもしれません。
しかし、IT化を進めないまま会社の運営を続けて問題はないと考えるのは危険かもしれません。
IT化のメリット・デメリット、IT化を適切に進める方法から、自社で実現可能なIT化について考えてみましょう。
IT化とは
IT化とは、IT技術を活用し、アナログでおこなっていた作業をデジタルに移行することを指します。
IT化が必要とされている背景には、少子高齢化による人手不足への対応が必要なこと、テレワークなどの働き方改革が推進されていることなどがあげられます。
IT化により本来アナログでおこなっていた作業を自動化したり、より効率的におこなえるよう改善したりすることで、業務効率化や人件費削減などの効果が見込めます。
人手不足はどの業界、地域でも避けては通れない課題であるため、どのような会社であってもIT化の必要性は高いといえるでしょう。
適切なIT化と不適切なIT化の状態とは
IT化は、どのような状態であってもとにかく進めればよい、というものではありません。
業務フローの洗い出しや全体的な改善をおこなわないまま「便利なシステムがある」という理由だけで導入したり、導入だけで満足して明確なゴール設定やその後の改善をおこなわないままでいたりすると、IT化が失敗に終わる恐れすらあるでしょう。
適切なIT化とは、IT技術を取り入れ業務フローを変革することによって、課題の解決や新たな価値の創造につなげることであると考えられます。
業務の一部にシステムを取り入れただけで従来の課題が解決していなかったり、社員の業務範囲が広がり内容が煩雑になったりしてしまうことは、不適切なIT化の状態といえます。
適切なIT化を進めるためには、「IT化すること」を目的やゴールにするのではなく、IT化することにより何を成し遂げたいのかを明確にしておく必要があるのです。
IT化のメリットとして考えられるもの
業務をIT化するメリットには、主に以下の4つがあげられます。
生産性向上
業務フローを洗い出し、システムを取り入れて作業の一部を自動化したり短縮したりすることで、業務効率化と生産性の向上が見込めます。
自動化できる業務の領域は、AIの発達により今後も広がっていくことが予想されています。
人手不足への対応
人手不足により労働力が確保できず事業の継続が難しい、新たなビジネスの展開ができないなどの課題を抱えている会社は少なくないでしょう。
IT化により人の手が必要な業務を減らすことができれば、人手不足の解消に役立ちます。
従来より少ない人数でも業務を継続できる環境や、新たな価値を生み出せる環境を整えることで、人手不足に対応し会社の可能性を広げることができます。
事業の新たな発展に不可欠
これまでと違い発注や商談、販売や顧客サポートなど、従来アナログでおこなわれていた業務やサービスのほとんどがデジタルでおこなえるようになっています。
顧客の利便性を確保し、会社の競争力を高めてビジネスチャンスを広げるために、IT化は欠かせないものとなっているのです。
多様な働き方実現のため
テレワークの推進をはじめとした働き方改革が進められているなか、IT化している会社としていない会社では、多様な働き方の実現にも大きな差が生まれてしまいます。
オフィスにいなくても従来と同様のスピードでスムーズに業務をおこなうには、IT化が不可欠です。
適切なIT化を進めることで、生産性向上とあわせて多様な働き方を実現することができ、離職を防いだり遠隔地にいる有能な人材を確保したりすることが可能になります。
IT化のデメリットとして考えられるもの
IT化にはメリットが多くある一方で、いくつかのデメリットもあります。
IT化のデメリットを確認していきましょう。
時間や費用がかかる
アナログでおこなっていた業務をデジタルに移行するためには、業務フローの洗い出しや標準化、導入するシステムの選定やシミュレーションなどにある程度の時間がかかります。
その間の人件費や、機材・システムの購入費用なども必要になります。
IT化を適切に進めることで、業務効率化による人件費の削減やサービス向上による収益の増加が実現できるまでは、一時的もしくは長期的にコストがかかることが想定されます。
新たな情報セキュリティ対策が必要
業務の多くをアナログでおこなっている場合、情報の流出は紙の持ち出しをできないようにすれば防げるため、それほど難しくありません。
一方、業務をIT化した場合、デジタルデータの持ち出しにはさまざまな方法があるため、そのすべてを防ぐために多角的な対策をおこなう必要があります。
また、データの持ち出しだけでなくウイルス感染に対する対策やパスワード・アカウント管理の徹底など、セキュリティのためにおこなうべき対策が多くあります。
これらの対策を手間に感じ、デメリットと受けとめる人は少なくないでしょう。
場合によっては専門的な知識が必要
より効果的なIT化を推進したい場合、または高いセキュリティ性を確保したい場合には、IT知識をもった人材が必要になります。
しかし、IT人材の不足は近年問題となっており、有能な人材を確保することは難しい状況にあります。
サポートが充実したシステムを導入する、IT知識が必要な作業は外部に発注するなどの方法を検討しましょう。
IT化を適切に進める方法
IT化を適切に進める具体的な方法について紹介します。
ITシステムを導入し利用をすればIT化というわけではなく、効果的なIT化には適切な進め方が必要になります。
なぜIT化するのか理由を明確に考える
まずはなぜIT化をおこなうのか、どのような状態を作り出せれば成功といえるのかをしっかり考え、理由とゴールを明確にしておきましょう。
IT化を進める理由があいまいなままでは、システムを導入するだけで満足してしまい、業務効率化を進める、新たなビジネスチャンスにつなげるなどの本来の目的を果たせないまま終わってしまう可能性があります。
IT化する業務の範囲や順番を決める
IT化を着実に進めるためには、事前にしっかりと計画を練る必要があります。
一度にIT化する範囲を広げすぎると、現場に混乱が生じたり全体の質が下がってしまう可能性があるため、IT化する業務の範囲は順番をあらかじめ決め、段階を踏んで着実に進めていけるよう考えましょう。
IT化に必要なサービスやシステムを選定する
IT化する業務を決めたら、自社に適したサービスやシステムを選定します。
このとき、業務フローの洗い出しを十分におこないまま検討に入ってしまうと、本当に自社に合ったものを選ぶことは難しくなります。
自社の業務をよく理解したうえで適したものを選び、実際に利用を始めてからでももっとよいものがあると感じたら変更できるよう柔軟に考えられるとよいでしょう。
専門的な知識が必要な場合は、外部の助けをかりるのもひとつの方法です。
補助金の利用を検討する
必要なサービスやシステムの導入にかかる費用の負担を減らしたい場合は、補助金の利用を検討しましょう。
経済産業省がおこなっているIT導入補助金では、ソフトウェア購入費やクラウド利用料などを対象に、補助率1/2以内、最大450万円までの補助をおこなっています。
条件によって補助率や上限額は異なるため、IT導入補助金HPにある補助金シミュレーターを利用してシミュレーションをおこなってみましょう。
シミュレーションや教育をおこなう
IT化をスムーズに進めるためには、事前に十分なシミュレーションをおこなうことが重要です。
また、業務フローが大きく変わるにあたって、社員の意識変革は欠かせません。
ITツールを役立てられるような柔軟な考え方で事業の可能性をのばすことはもちろん、データ流出やウイルス感染などのリスクを減らせるよう、セキュリティ教育をおこなうことも必要でしょう。
運用開始後も効果の検証や改善を続ける
適切なIT化をおこなうためには、新しいシステムやフローを導入して終わりにするのではなく、運用開始後も効果の検証や改善を続けることが大切です。
事前のシミュレーション通りにうまくいかない場合、早めに改善をおこなうことで、現場の混乱を解消し、より効果的なIT化につなげることができます。
また、導入したシステムが自社のフローに合わないと判明した場合は別のシステムへの乗り換えを考えるなど、柔軟な対応をおこなうことも必要でしょう。
IT化が実現できたら次にすべきことは?
IT化が実現できたら次におこなうべきは、DX(デジタルトランスフォーメーション)です。
DXとは、デジタル技術を活用して製品やサービス、業務や組織を変革し、企業の競争力を高めることを指します。
IT化とはDXという目的を果たすための手段であると考えることができ、DXでは社内だけではなく顧客にとっての新たな価値を生み出すことが求められます。
すぐに解決したい目の前の課題だけにとらわれず、大局的にものごとを見て企業のビジョンやミッションを定め、それらを実現するための道具としてIT技術を活用していきましょう。
IT化のメリットとデメリットを理解し効果的なIT化を実現しよう
IT化には生産性向上や人手不足への対応ができる点など、多くのメリットがある一方で、費用や時間がかかること、新たな情報セキュリティ対策が必要なことなどがデメリットにあげられます。
システムを導入することや業務フローの一部を改革することだけをIT化の目的にしてしまうと、十分な効果を得ることはできません。
適切にIT化を進めるために、なぜIT化するのか理由を明確に考えたうえで、運用開始後も効果の検証や改善を続けましょう。
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