中小企業向けクラウドファイルサーバーの選び方!比較と注意点を徹底解説
目次[非表示]
- 1.オンプレミスファイルサーバーの課題とクラウド化の必要性
- 2.そもそもクラウドファイルサーバーとは?基礎知識を解説
- 3.失敗しないクラウドファイルサーバーの選び方|7つの比較ポイント
- 3.1.【ポイント1】料金体系:ID課金と容量課金、どちらが自社に最適?
- 3.2.【ポイント2】セキュリティ:情報漏えいを防ぐための機能とは
- 3.3.【ポイント3】操作性・互換性:Windowsファイルサーバーからの移行は簡単か?
- 3.4.【ポイント4】サポート体制:国産・日本語サポートは安心につながる
- 3.5.【ポイント5】接続の安定性・速度
- 3.6.【ポイント6】導入実績・信頼性
- 3.7.【ポイント7】モバイル・アプリ対応
- 4.主要クラウドファイルサーバーサービスを比較【料金・機能・特徴】
- 5.クラウドファイルサーバー導入時の注意点|失敗事例から学ぶ対策
- 6.クラウドファイルサーバー導入で業務効率と安全性を両立する
オンプレミスファイルサーバーの課題とクラウド化の必要性
オンプレミスファイルサーバーの運用は、多岐にわたる課題を抱えています。
日々のデータバックアップやセキュリティ対策、ハードウェアの保守といった運用業務は、多くの時間と労力を要する負担となりがちです。
特に、サーバーのストレージ容量が不足した場合、追加のハードウェアを調達・増設する必要があり、計画から実行までにコストと手間がかかるというスケーリングの壁に直面します。
社内にサーバーを設置している場合、停電や故障、災害などでアクセスできなくなると、日常業務が止まるリスクがあります。
また、社外からの安全なアクセスを実現するにはVPN接続が必要ですが、接続手順が複雑だったり通信速度が遅かったりと、社員から「使いづらい」という声も少なくありません。
これらの課題に加え、オンプレミス運用からの脱却が喫緊の課題となっている背景には、二つの大きな変化があります。
一つは、Windows Server 2012のサポート終了です。
2023年10月10日をもってサポートが終了したことにより、セキュリティ更新プログラムの提供が停止し、既存のサーバーは深刻なセキュリティリスクにさらされることになりました。
もう一つは、改正電子帳簿保存法への対応です。この法改正により、電子データで保存される帳簿書類について、より厳格な要件が求められるようになり、適切なログ管理やアクセス権限設定が可能なシステムの導入が不可欠となりました。
こうした技術的な課題と法的要件が重なり、多くの企業がファイルサーバーのクラウド移行を避けられない状況に置かれています。
そもそもクラウドファイルサーバーとは?基礎知識を解説
クラウドファイルサーバーは、インターネット経由で利用できるファイル管理サービスです。物理的なサーバーを自社に置く必要がなく、ベンダーが提供するサーバーリソースを借りて運用します。
クラウドファイルサーバー導入がもたらす5つの決定的なメリット
ファイルサーバーをクラウド化することは、単なるシステムのリプレイスを超え、企業の経営基盤を強化する重要な戦略となります。
1.ITコストの劇的な最適化
オンプレミスでは、サーバー本体やストレージ、空調設備、セキュリティソフトなど、多額の初期投資が必要です。一方、クラウドサービスは初期費用が不要な場合が多く、月額または年額の利用料のみでサービスを利用できます。使われないリソースへのコストも削減でき、総コスト(TCO)の最適化が実現します。
2.運用管理負荷の劇的な軽減と生産性の向上
クラウドサービス、特にSaaS(Software as a Service)型のファイルサーバーでは、バックアップやセキュリティ対策、ソフトウェアのアップデートといった運用業務のほとんどをサービス提供事業者に任せることができます。これにより、担当者は運用管理の負担から解放され、より戦略的なIT活用や業務改善に集中できるようになります。
3.高度なセキュリティとBCP対策の両立
クラウドサービスは、データの暗号化、厳格なアクセス制御、不正アクセス対策など、専門家によって設計された強固なセキュリティ対策が標準で組み込まれています。また、複数のデータセンターでデータを分散保存・冗長化しているため、地震や停電といった災害時にも事業を継続しやすくなります。
4.場所とデバイスを問わない柔軟な働き方に対応
クラウドファイルサーバーは、インターネット環境さえあれば、自宅や外出先からでも安全にファイルにアクセスできます。これにより、場所や時間に縛られない柔軟な働き方が実現し、テレワークの推進や業務の効率化に大きく貢献します。
5.ファイルのサイロ化防止と全社的なナレッジ共有
部署や拠点ごとにファイルサーバーが分散する「サイロ化」を防ぎ、すべてのデータをクラウド上で一元管理できます。部門を超えたファイル共有やナレッジ共有がスムーズになり、全社的な生産性向上につながります。
失敗しないクラウドファイルサーバーの選び方|7つの比較ポイント
クラウドサービスには多種多様なものがあり、自社に最適なサービスを選ぶことが成功の鍵となります。ここでは、特に中小企業のIT担当者が着目すべき5つのポイントを解説します。
【ポイント1】料金体系:ID課金と容量課金、どちらが自社に最適?
クラウドファイルサーバーの料金体系は、大きく「ID課金型」と「容量課金型」の2種類に分けられます。
ID課金型: ユーザー数に応じて月額料金が変動するモデルです。ユーザーが少ないうちは安価に利用できますが、社員数が増えるごとにコストが比例して増加します。
容量課金型: ストレージ容量に応じて月額料金が変動するモデルです。ユーザー数は無制限で利用できるサービスが多く、人数の増減に左右されず定額で利用できるため、予期せぬコスト増大を防ぎます。
社員数が多い企業や今後増員が見込まれる企業は、容量課金型が圧倒的なコストメリットをもたらす可能性があります。
【ポイント2】セキュリティ:情報漏えいを防ぐための機能とは
クラウドサービスにおける情報漏えい事故の多くは、ユーザー側の設定ミスや運用不備が原因で発生しています。人的ミスを防ぐためにも、以下の機能が標準で備わっているかを確認しましょう。
2段階認証や多要素認証:不正ログインのリスクを低減します。
IPアドレス制限や端末制限:特定のネットワークや端末からのみアクセスを許可し、不正アクセスを防ぎます。
通信・ファイル暗号化:データ通信時やファイル保存時に情報を暗号化し、盗聴や情報漏えいを防ぎます。
アクセスログ管理:いつ、誰が、どのファイルにアクセスしたかという履歴を記録し、不正な操作がないかを確認できます。
自動ウイルスチェック:ファイルのアップロード時に自動でウイルスをスキャンし、社内ネットワークへの侵入を防ぎます。
【ポイント3】操作性・互換性:Windowsファイルサーバーからの移行は簡単か?
どんなに高機能なサービスでも、社員が使いこなせなければ導入は失敗に終わります。特にITに詳しくない従業員が多い中小企業では、新しい操作を覚える必要がない「使いやすさ」が導入成功の鍵となります。Windowsの「エクスプローラー」と同じ感覚で操作できるサービスは、ファイルサーバーからの移行をスムーズにし、トレーニングコストを削減します。
また、クラウドファイルサーバーの導入は、既存の業務フローを大きく変えることなく行われるのが理想的です。既存のWindowsファイルサーバーと連携し、Active Directoryのユーザー情報を引き継いでアクセス権限を管理できるサービスは、移行時の手間を大幅に削減します。
【ポイント4】サポート体制:国産・日本語サポートは安心につながる
サービス導入後の疑問やトラブルに対応してくれるサポート体制は、IT担当者にとって必須の項目です。海外サービスの場合、日本語サポートが不十分であったり、時差によって対応が遅れたりすることがあります。純国産のサービスは、日本の商習慣を理解した上で、電話やメールでの手厚いサポートを提供している場合が多く、安心して利用できます。
【ポイント5】接続の安定性・速度
クラウドサービスはインターネット環境に依存するため、安定した接続と十分な転送速度が必要です。サービスの提供事業者がどのようなデータセンターを利用しているか、通信帯域に余裕があるかなどを確認しましょう。
【ポイント6】導入実績・信頼性
サービスの信頼性を判断するうえで、導入実績は重要な指標です。特に自社と同じような規模や業種の企業での導入事例があるかを確認すると、導入後のイメージが掴みやすくなります。
【ポイント7】モバイル・アプリ対応
テレワークや出張先からの利用を想定する場合、PCだけでなくスマートフォンやタブレットからもスムーズにアクセスできるモバイル・アプリの有無と使いやすさも重要な選定ポイントとなります。
主要クラウドファイルサーバーサービスを比較【料金・機能・特徴】
市場には多くのクラウドファイルサーバーが存在します。ここでは、主要なサービスを料金モデルや主な強みで比較し、自社に最適なサービスを見つけるための参考にしてください。
サービス名 | 課金タイプ | 容量・料金 | 利用可能ID数 | 特徴 |
セキュアSAMBA (株式会社kubellストレージ) | データ容量課金 | 1GB~30TB 無料~298,000円/月 | 無料のみ2IDまで、有料版は無制限 | 操作性・サポート体制・料金プラン・専門性に優れ、中小企業を中心に導入実績あり |
KDDIファイルストレージ | 両方あり | ID単位コース:10GB、330円/月 | 1~5,000ID、プランにより上限が異なる | KDDI提供でネットワーク品質・国内保守に強み。法人利用に安心感がある |
Fileforce | 両方あり | 100GB~30TB | ID課金プランは10IDから、データ容量課金プランは無制限 | ファイルフォース株式会社が提供する日本製のオンラインストレージ。大企業を中心とした導入実績あり |
DirectCloud | データ容量課金 | 500GB〜100TB | 無制限 | 中小企業からエンタープライズまで幅広いニーズに対応した国産オンラインストレージ |
Everidays | データ容量課金 | 200GB〜2TB | 無制限 | 大人数でもコスト効率よく利用できるのが魅力の国産オンラインストレージ |
クラウドファイルサーバー導入時の注意点|失敗事例から学ぶ対策
クラウド移行は、単にデータを移動するだけの作業ではありません。移行を成功させるためには、計画的なアプローチと、潜在的なリスクへの備えが不可欠です。
・移行を成功に導くための5つのステップ
- 現状の課題把握と移行目的の明確化:オンプレミス運用の課題を洗い出し、クラウド移行で何を解決したいのかという目的を明確にします。
- サービスの比較・選定:自社の目的や要件に合致するサービスを複数比較検討し、最適なものを選択します。
- 移行計画の策定:移行対象のファイルやフォルダ、スケジュール、担当者を決定します。
- 移行作業と動作検証:データを転送し、移行後の動作に問題がないかを確認します。
- 運用開始後の定着化・評価:運用開始後も、社員がスムーズに使えるようにサポートし、定期的に利用状況を評価します。
・情シス担当者が陥りがちな「移行の失敗事例」と対策
多くの企業がクラウド移行でつまずく原因は、技術的な問題よりも、運用や管理に関する人為的なミスにあります。
【失敗事例1】コストが想定より高くなった
原因: 営業部門が先行して導入した結果、社員数の増加に伴いID課金型のコストが急増。導入前に「将来の社員数増加」を想定していなかった。
対策: 導入前に、ID課金型か容量課金型か、自社の利用状況に最適な料金モデルをしっかり見極めることが重要です。
【失敗事例2】アクセス権限の管理が煩雑になった
原因: アクセス権限設定を誤り、機密情報が外部に公開されてしまう情報漏えい事故が発生した。これは、退職した社員のアカウントが放置されたことが原因となる場合があります。
対策: 「最小権限の原則」を徹底し、各ユーザーには業務遂行に最低限必要なアクセス権限のみを付与するようにします。また、社員の異動や退職時には、速やかに権限の見直しやアカウント削除を行う仕組みを構築することが重要です。
【失敗事例3】使い勝手が悪く、定着しなかった
原因: 新しいシステムの操作方法が複雑で、社員が使いこなせず、結局以前の運用に戻ってしまった。
対策: 導入前に無料トライアルなどを活用し、ITに詳しくない従業員でも直感的に操作できるか、既存の業務フローにスムーズに組み込めるかを確認することが不可欠です。
クラウドファイルサーバー導入で業務効率と安全性を両立する
オンプレミスファイルサーバーの運用は、もはや多くの企業にとって、コストや運用負荷、セキュリティ面で限界を迎えつつあります。特にWindows Server 2012のサポート終了やテレワークの普及は、クラウドへの移行を待ったなしの状況にしています。
クラウドファイルサーバーの導入は、これらの課題を解決し、コスト最適化、運用負荷軽減、セキュリティ向上、柔軟な働き方の実現といった多くのメリットをもたらします。
サービス選定においては、料金モデルやセキュリティ機能、使いやすさ、サポート体制といった多角的な視点から比較検討することが不可欠です。
・改めて、最適なクラウドファイルサーバーを見つけるためのステップ
まずは現状の課題を洗い出し、自社の要件に合うサービスを絞り込みましょう。その上で、無料トライアルなどを活用して、実際の使い勝手を確認することをおすすめします。
・セキュアSAMBAの無料お試しで、まずは体験してみませんか?
これらの要件を満たす具体的なツールの一例として、国産のクラウドストレージであるセキュアSAMBAがあります。
ユーザー数無制限の料金モデルは、社員数が増加してもコストを抑えられ、Windowsエクスプローラー感覚の操作性は、ITに詳しくない社員でもスムーズに使い始められます。
また、強固なセキュリティ機能と国産ならではの手厚い日本語サポートは、初めてのクラウド導入でも安心です。
自社に合うかどうかは実際に使ってみるのが一番です。無料トライアルを活用し、社員がストレスなく使えるか、運用負荷が減らせるかを確認してみましょう。