テレワークの有用性やメリットは多く、広がりを見せてきていますが、さまざまな観点からテレワーク導入課題を感じ、導入を躊躇してしまったり実際に実施して課題を感じたためにテレワークの縮小を考える企業もあるようです。
テレワークの導入前と導入後に企業が抱えることの多い課題と解決策について考えていきましょう。
テレワーク導入に課題があるのはなぜか?
テレワークの導入前や導入後に課題を感じる企業がある一方で、問題なくテレワークを実施している企業もあります。
テレワークをスムーズに進められる会社の特徴には、以下のような点があげられます。
- 業務のデジタル化が進んでいる
- PCを介して活発にコミュニケーションがとれる環境が整っている
- 情報セキュリティ対策をしっかりおこなっている
- 業務内容にあった使いやすいツールを普段から利用している
逆に考えれば、デジタル化が進んでいない企業や対面のコミュニケーションに頼っている環境では、そのままテレワークを導入してもうまくいかないことがわかります。
できるだけ課題が生じないようにするためには、事前に現在の業務のあり方をしっかり把握して、課題が生じないようなフローや環境を検討する必要があるでしょう。
テレワーク導入の課題:導入前
テレワークの導入前に企業が抱えることの多い課題について見ていきましょう。
設備や環境が整っていない
テレワークをおこなうには、当然ながらPCやインターネット環境、また落ち着いて作業のできる場所の確保が必要になります。
しかし、社員全員に業務用のノートPCがいきわたっていない、社員の自宅に仕事ができるスペースがないなど、設備や環境が整っていないことが課題にあがることがあります。
この課題の解決にはある程度の費用が必要となるため、この段階で二の足を踏んでテレワーク導入をあきらめてしまう企業もあるようです。
デジタル化が進んでいない
テレワークは基本的にPCをもちいて業務をおこなうことが前提となりますが、必要なデータがPCで閲覧できない、承認申請のために用紙の記入や押印が必要になるなど、書類電子化や業務のデジタル化が進んでいない企業の場合、テレワークでできることが少なくなってしまうでしょう。
また、リアルタイムで情報やデータを共有する方法がないと、社員それぞれが孤立して業務を進めることになってしまい、オフィスと比べて大幅に作業効率が落ちてしまいます。
情報セキュリティに不安がある
これまでオフィスのみで業務をおこなってきた企業にとっては、オフィスの外に業務のデータを持ち出すことに不安を覚えることもあるでしょう。
普段から情報セキュリティ対策をしっかりおこない、社員にも教育が行き届いている場合はよいですが、テレワーク導入をきっかけにセキュリティ対策も進める場合、どのようなことを想定しどの程度の対策を講じればよいのか迷う場合もあるようです。
商談機会が減る恐れがある
これまでに比べてテレワークやリモート会議が普及しているものの、商談や契約の場はまだ対面であることを重視する企業も多いでしょう。
テレワークを導入すると商談機会が減るのではないか、対面のやりとりやオフィス勤務を重視する顧客の理解を得られないのではないかと心配する声があがることもあります。
無理にテレワークにこだわらず場面にあわせて柔軟な勤務や対応を心掛けたり、信頼関係がある相手であれば正直に事情を話し新たな商談の方法を提案することで解決できることも多いでしょう。
テレワークできない部署や社員がいる
業務内容によってテレワークできない部署や社員がいるという状況は、多くの企業で起こりえます。
テレワークできない社員の不公平感をなくすために、テレワークの導入自体を敬遠する企業もあるようです。
しかし、本当にテレワークでは不可能な業務なのか、交替勤務などで不公平感をなくす方法はないのかをきちんと考える必要があるでしょう。
準備に費用や時間がかかる
テレワークをおこなったことのない企業がテレワークを始めるには、ある程度の準備が必要です。
費用や時間もかかるため、通常業務で忙しい企業や社員にとっては負担が大きく感じられ、導入は無理だと決めつけてしまうこともあるかもしれません。
しかし、テレワーク導入の負担は、さまざまなサービスや補助を利用して軽減することが可能です。
テレワーク導入の課題:導入後
テレワークをしている企業が導入後に感じている課題として考えられるものについて見ていきましょう。
進行管理が難しい
オフィスの場合は相手の様子を見たり声をかけたりしてすぐに確認できた仕事の進捗が、テレワークになり画面越しのやりとりになることで確認しにくくなり、進行管理が難しくなったと感じることがあります。
なかには管理職と部下の信頼関係が築けていないために、ちゃんと仕事をしているのか?と疑いの目で見てしまう場合もあるようです。
コミュニケーションが不足する
オフィスでは気軽に声をかけたり雑談をしたりしてスムーズにとれていたコミュニケーションが、テレワークで文字による必要最低限のやりとりとなることで、コミュニケーションが不足して業務の連携にも影響が出る場合があります。
相手の表情やボディランゲージなど、対面だと読み取ることのできた情報がテレワークでは見えにくくなるため、やりとりが難しいと感じることもあるでしょう。
勤怠管理が難しい
テレワークでは、オフィスと異なり退勤時間を意識しにくいため、作業が長引き長時間労働になることがあります。
テレワーク中の勤怠管理は社員の自己申告制になることがほとんどのため、労働時間の過少申告が発生しやすく、管理側からは実態を把握できないという問題が起こりえます。
人事評価や人材育成が難しい
オフィスで顔をあわせて働いていることを前提として考えられた人事評価や人材育成を、テレワークでもそのまま実施しようとすると、どこかでズレが生じます。
対面で話す機会が少ないことにより信頼関係を築けていなかったり、相手の悩みや仕事の進捗をしっかり把握できないと、人事評価や人材育成はより難しくなってしまうでしょう。
生産性が低下する
一緒に業務に取り組む同僚がそばにいて衆人環視の環境があるオフィスと異なり、テレワークで自宅などでひとりで仕事をしなければいけない環境に置かれることで、生産性が低下する社員もいます。
チームの連携がうまくいかないと、チーム全体としての進捗が遅れてしまう場合もあるでしょう。
社員の心身に影響が出る
テレワークは通勤時間がなくなることによりプライベートが充実しよろこぶ社員もいますが、これまでの環境が変わることによりストレスを感じたり、運動不足から健康に影響が出たりする社員もいます。
社員の様子が変わっても周囲が気づきにくいこともあり、テレワークにおける社員のケアは独自の方法を考える必要があるでしょう。
テレワーク導入前後の課題を解決する方法
テレワーク導入前や導入後にはさまざまな課題がありますが、対策をおこなうことで多くは解決が可能です。
スムーズにテレワークを導入できるよう、テレワーク導入での課題の解決方法について知っておきましょう。
テレワーク関連の助成や補助を利用する
テレワークには、省庁や自治体がおこなっているさまざまな助成や補助があります。
厚生労働省の人材確保等支援助成金テレワークコース、経済産業省のIT導入補助金が代表的なものです。
一般社団法人日本テレワーク協会のホームページによると、東京都ではさらにコンサルティングや助成金、奨励金などを受けることができます。
自社がどのような助成や補助を受けることができるか確認してみましょう。
テレワーク環境の整備を補助する
社員がPCやインターネット回線、デスクやチェアなどの仕事環境を整えるためにかかる費用は、企業で補助をおこないましょう。
必ずしも全額である必要はないため、補助の制度や予算について考えてみましょう。
快適にテレワークができる環境を整えることで、生産性の維持や社員のモチベーションにつながります。
ワークフローシステムやプロジェクト管理ツールを導入する
紙や対面での業務を減らしPCでさまざまな手続きをおこなえるワークフローシステムや、進捗管理やスケジュール管理を効率的におこなうプロジェクト管理ツールは、テレワークにおいて必要不可欠といえます。
業務のデジタル化やテレワークに対応できる多種多様なツールが開発されているため、仕様や費用を確認しながら自社にあったものを選びましょう。
業務フローを再構築する
ツールを導入するだけでなく、全体の業務フローについても再検討、再構築をする必要があります。
オフィスや対面でおこなうことを前提としているもののなかには、テレワーク環境においてツールを効率的に活用すれば必要ないものもあるでしょう。
逆にテレワークだからこそしっかり確認の手順をはさむべき作業もあるはずです。
テレワークの導入前にあらかじめ業務フローを再構築し、混乱や無駄が生まれないよう準備しましょう。
オンラインストレージを活用する
オフィスからテレワークに移行すると、ほとんどのデータはデジタルで取り扱うことになるため、PC上でファイルの共有をおこなう機会が増えます。
このときに便利なのがオンラインストレージです。
インターネットを介してどこからでも書類やデータを閲覧、書き込みすることができます。
また、インターネット上の仮想サーバーを利用するため、PCの容量に頼る必要がなく、社員が私用PCを利用しスペックにばらつきがある場合でも問題なく業務がおこなえます。
テレワーク導入に向けて書類電子化や業務のデジタル化を進めるうえでも役に立つでしょう。
コミュニケーションツールを導入する
コミュニケーションの問題は、気軽にやりとりがおこなえるツールを導入することで解決できます。
ビジネスチャットが代表的なもので、メールと異なり会話に近い短い文章でスピーディなやりとりができます。
また、ビデオ通話機能やファイル共有機能がついているものも多く、相手の顔を見てしっかり話したいときや業務の連携をスムーズにおこないたいときにも活用できます。
情報セキュリティ教育をおこなう
社外での業務にセキュリティ上の不安を感じる場合は、ツールを導入するだけでなく、社員ひとりひとりのセキュリティ意識を高めることが不可欠です。
研修をおこなったりe-Learningを活用したりして、セキュリティに関する基本知識や対策に関する理解を浸透させ、情報セキュリティ事故を防ぎましょう。
人事評価制度を見直す
テレワークにおいて人事評価の難しさを感じるという声は多いため、導入前に人事評価制度の見直しをおこなっておきましょう。
具体的には、成果物を基準にして評価する、定期的なビデオ通話による面談を設定する、目標や過程を両者の間で具体化するなどです。
管理ツールなどで仕事の進捗をしっかり確認できるようにしておくことも大切でしょう。
オンラインストレージでテレワーク導入の課題を解決
テレワークの導入前や導入後に生じる課題を減らすためには、業務やコミュニケーションのあり方を柔軟に再検討し、その多くをPCで問題なくこなせるようにしておく必要があります。
業務のデジタル化を進める際や、テレワークにおけるスムーズな情報共有を考える際は、オンラインストレージの活用を検討してください。
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