インターネット上でデータのやりとりをした経験がある方は、「オンラインストレージ(クラウドストレージ)」という言葉を耳にしたことがあるかもしれません。
オンラインストレージを活用すれば、PCの負担軽減や社内外とのスムーズなやりとりが可能になり、業務効率の向上やテレワークの導入に効果的です。
オンラインストレージの特徴やメリット・デメリットを解説いたしますので、オンラインストレージの導入や活用の参考にしてください。
オンラインストレージ(クラウドストレージ)とは?
オンラインストレージとは、「インターネット上(online)の保管場所(storage)」を指します。
まずは、オンラインストレージの基本的な機能について見てみましょう。
インターネット上のデータ保管場所
オンラインストレージは、インターネット上にデータを保管するサービスで、クラウドストレージとも呼ばれます。
ネットワーク上(クラウド)に設置されているストレージにログインし、ファイルを保存することができます。
通常、社内のネットワーク上にデータの保存場所を作る場合は、会社が専用サーバーを設置し運用する必要があります。
オンラインストレージの場合はサーバー機能がインターネット上にあり、インターネットがつながる場所であればどこでも接続が可能です。
また、会社で機器を購入したり人材を雇って運用する必要がないので、導入・運用コストをおさえることができます。
自動保存や自動同期ができる
オンラインストレージに保存したファイルやフォルダは、いちいちダウンロードをしなくても、オンラインストレージ上で編集することができます。
この際に便利なのが、更新した内容が自動で保存される「自動保存」と、2つ以上の異なる端末で編集したデータを同じ状態に保つ「自動同期」ができる点です。
自動的にファイル更新や同期がおこなわれると、オンラインストレージには常に最新のデータがあることになります。
複数のPCやモバイル端末からデータに同時にアクセスしたり、ひとつのファイルを複数人で共有したり、リアルタイムで閲覧・編集することもできるので、情報の共有や伝達がスピーディーにおこなえます。
オンラインストレージ(クラウドストレージ)の活用方法
オンラインストレージの特徴から、従来のファイルやデータの保存や共有方法とは違いどのような活用ができるのでしょうか。
オンラインストレージの活用方法について、おもな4つの例を見ていきましょう。
書類・写真・動画の保存
多くの会社では、業務をおこなううえで、書類や写真、動画、PDFデータなどのやりとりが発生しています。
特に動画などの大容量データは、アップロードやダウンロード、送受信に時間がかかるため、メールやチャットに添付して共有しようとすると、作業効率が落ちる原因になります。
オンラインストレージの場合は、オンライン上に保存されている場所、つまりURLを共有するだけで、それぞれ各自でアクセスして閲覧や編集ができるため、大幅な時間短縮ができます。
また、会社でサーバーを運用している場合、業務上必要なデータの蓄積によりPCやサーバーの容量を圧迫してしまうことがありますが、オンラインストレージの場合は簡単な手続きで容量を増やすことができます。
データのバックアップ
オンラインストレージの機能はすべてインターネット上にあるため、一般的にデータを失う原因となる、ハードディスクの破損やメモリ不足、災害、パソコンの盗難などによる影響がありません。
「通常はPC上にデータを保存し編集したい、けれど万一の時に備えてインターネット上にもデータを保存しておきたい」という場合にも有効で、バックアップ機能に優れています。
日ごろの業務での利用だけでなく、データの保全やBCP対策の一環としてオンラインストレージの活用が増えています。
社内外のファイル共有
オンラインストレージでは、フォルダやファイルごとにアクセスできる人を制限できるので、セキュリティ面でも安心です。
今までメール添付などで転送していたデータも、オンラインストレージならURLを伝えれば瞬時に簡単に共有することができます。
メールやファイル転送サービスでのやりとりが不要になり、作業効率が上がります。
複数のデバイスから同時作業
オンラインストレージでは、複数のデバイスから1つのファイルに同時にアクセスし、編集や閲覧をおこなうことができます。
リモート会議をしながら同じ資料を見たり、話し合いながら編集するというリアルタイムのやりとりが可能になります。
オフィスではPCから、外出先ではモバイル端末からそれぞれアクセスできる点も利便性が高いでしょう。
オンラインストレージ(クラウドストレージ)の特徴
オンラインストレージには、業務の負担を減らすことにつながるさまざまな特徴があります。
- 複数デバイスからアクセスできる
- 場所や時間を問わずにアクセスできる
- ファイル共有や共同作業が簡単にできる
- 複数人や拠点間で共有できる
- データを一元管理できる
- 自動バックアップ機能がある
- サーバー管理が不要でコスト削減できる
- バージョン更新など運用が不要
- 導入コストが安い
- 容量の拡張性がある
- 災害などトラブル時のリスクヘッジ
- アクセス制限を設定できる
- ログが残る
- ローカルディスクと同期できる
インターネット上のサービスの特徴である利便性・柔軟性・拡張性を備えており、コストも安いことから、オンラインストレージは会社の規模を問わず導入しやすいサービスであるといえるでしょう。
オンラインストレージ(クラウドストレージ)のメリット
オンラインストレージの導入によって会社が得られる具体的なメリットを紹介します。
業務のデジタル化や書類電子化の大きな助けになる
環境への配慮から近年推進されているペーパーレス化のために、紙で保存されていた資料をデジタルデータに変換したり、社内の承認申請をデジタル化してワークフローシステムを導入している会社もあるでしょう。
業務のデジタル化や書類電子化を進めるにあたって必要になるのが、デジタルデータの保存場所です。
この保存場所が十分に確保されていない場合、電子化が必要な書類のすべてを電子化できなかったり、社内でサーバーを導入・運用するために多くのコストが必要です。
しかし、オンラインストレージがあれば、必要な容量の保存場所を安価で確保でき、容量を増やしたい場合にも簡単に対応ができます。
業務のデジタル化や書類電子化を推進する手間やリスクをオンラインストレージの利用によって減らすことができるでしょう。
働き方の多様化に対応できる
働き方の多様化や感染症対策などを理由に、テレワークやリモートワーク、オンライン会議を推進している会社も多いでしょう。
このとき、紙資料が必須な業務が残っている、デジタルデータの共有に時間や手間が多いなどの状態では、出社の必要が出てきたりスムーズな作業ができないので、柔軟な働き方が難しくなってしまいます。
この点をサポートできるのがオンラインストレージです。
電子化した書類の保存場所をオンラインストレージにすることでどこにいても資料の参照が可能になり、テレワークやオンライン会議中に資料を共有したいときにもスムーズにおこなうことができます。
災害やトラブルに対応しやすい
災害時に業務の継続をさまたげる恐れがあるのが、サーバーやPCの破損です。
オンラインストレージならインターネット上にデータが保管されているためサーバーの破損を心配する必要がなく、ログイン情報があれば他の端末からでもアクセスできます。
また、バックアップ機能に優れているので、間違った編集をしてしまったときに前の編集状態に戻したり、編集履歴を参照することもできます。
PCの盗難対策として、PCのローカル上にはデータを残さず随時オンラインストレージ上で作業をするようにし、パスワード管理をしっかりおこなえば、万が一のときも社外秘のデータを見られることはありません。
災害時のバックアップやBCP対策としてや情報漏洩やデータ紛失のリスク回避としても、オンラインストレージは活用できます。
人手やコストを削減しつつ柔軟で快適な利用が可能
社内でデータの保存場所を確保するためにサーバーを導入する場合、機器代や設置場所の賃料、運用を担うIT人材の人件費などが必要となります。
また、容量が足りなくなった場合はさらに機器を導入することとなり、短期的・長期的にコストがかかるでしょう。
これらの手間や費用を、オンラインストレージの導入で大幅にカットすることができます。
インターネット上のサービスなので機器や場所などの物理的な負担がなく、運用もオンラインストレージを提供する業者がおこないます。
容量や機能の拡張も簡単かつ柔軟におこなえるため、リソースが少ない中小企業でも導入しやすく、快適に利用できるでしょう。
オンラインストレージ(クラウドストレージ)のデメリット
オンラインストレージには多くのメリットがある一方、いくつかのデメリットもあります。
適切にオンラインストレージを運用するにはデメリットとその対応策の把握が必要です。
カスタマイズがしにくい
オンラインストレージのサービスによっては、初期には基本的な機能しか提供していない場合もあります。
自社の業務内容にあわせて「こんな機能がほしい」と感じることがあっても、社内でサーバーを運用している場合と比べると、すぐに思い通りにカスタマイズすることは難しいかもしれません。
オンラインストレージは幅広い企業に対応する設計のため、大幅なカスタマイズには適していないからです。
しかし、特に有料サービスの場合は、ビジネスに必要な機能を実装しているため、大きな不便を感じることはないでしょう。
一般的にはシステムや機能がパッケージ化されており、オプションで機能を追加できます。サーバー容量やユーザー発行数など、必要な機能を備えたサービスを選択しましょう。
障害時の対応がベンダー任せになる
製品やサービスをユーザーに提供する会社をベンダーといいます。
オンラインストレージはインターネットを介して提供するサービスのため、ネットワークの障害などが起こる可能性もあり、起こった場合に対応するのはユーザーではなくベンダーです。
障害が起きたとき、緊急性が高いため今すぐに解決したいと思っても、ユーザーができることはありません。
このような障害が起こった場合の対応策として、サポート体制についてあらかじめ確認しておきましょう。
夜間や休日の障害に対応できるよう、運用監視サポートがあると便利です。
万が一の事態に備えて、データの復旧が困難になる前に、日頃からデータのコピーを残しておくのもひとつの方法です。
情報漏えいのリスクがある
オンラインストレージにアクセスするにはIDとパスワードが必要なため、ストレージ上のファイルの場所を示すURLが漏えいしたとしても、基本的にアクセスはできません。
しかし、IDとパスワードの管理にはより一層の注意が必要です。
万が一URLとID・パスワードが同時に流出した場合、インターネットに接続することのできる人であればだれでも閲覧や編集ができてしまいます。
情報漏えいを防ぐには、IDとパスワードは関係者以外に漏らさず、頻繁にパスワードを変更するなどの徹底した管理が必要です。
セキュリティ事故の大半は過失や故意によるものであるため、各社員のセキュリティ意識を高めるよう、定期的にチェックや研修をおこないましょう。
自動同期によるデータの書き換えで混乱が生じる
自動同期はファイルを常に最新のデータにするうえで便利な機能ですが、複数の人が同時編集をする際、相手が書いた部分を気づかないうちに上書きしてしまい、混乱が生じる場合もあります。
また、ファイルの更新頻度が高いため、インターネットの接続が重くなる場合や、ネットワーク切断による更新漏れが起こる場合もあります。
オンラインストレージは自動同期をおこなうサービスが多いですが、中には非同期型のものもあります。
非同期型であれば、ファイルの同時更新による混乱は起こりにくく、データの信頼性は確保されます。
自社の業務には同期型と非同期型のどちらが適しているのか、しっかり考えたうえで導入しましょう。
オンラインストレージは無料・有料どちらを選ぶべき?
オンラインストレージとは無料と有料サービスがあり、料金もさまざまです。
一般的な無料と有料のオンラインストレージサービスの違いを比較してみましょう。
無料のオンラインストレージは個人におすすめ
無料のオンラインストレージは、個人利用に向いているサービスです。
- Google社:「Google drive」
- box社:「box」
- Dropbox社:「Dropbox」
- Microsoft社:「OneDrive」
などには無料プランもあります。
また、法人向けオンラインストレージの「セキュアSAMBA」にもフリープランがありますので、オンラインストレージを試したい場合は無料版から利用してみるといいでしょう。
有料のオンラインストレージは法人におすすめ
有料のオンラインストレージは、法人利用に向いています。
ビジネスでは安全な運用が求められるため、セキュリティ対策が万全な有料サービスがおすすめです。
無料版と比べて使用できるデータ容量も大きく、機能も豊富なため、ストレスなく運用できる点でも大きなメリットがあるでしょう。
たとえば、4,000社以上の企業が導入している国産オンラインストレージ「セキュアSAMBA」では、アップロードされるすべてのファイルをスキャンできるウイルスチェック機能や、保存したデータの全文検索をおこなう機能などを、オプションで追加することができます。
手書きの書類や帳票を読み取りデータ化するAI-OCR連携や、画像のAI検索など、高度な利用方法に対応できる点も有料のオンラインストレージならではの機能でもあります。
ビジネスでオンラインストレージを利用しようと考えているのであれば、有料であっても法人向けのサービスを利用した方がいいでしょう。
オンラインストレージ(クラウドストレージ)選びのポイント
オンラインストレージには数多くのサービスがあるため、評判だけで判断するのではなく、自社に最適な機能を検討する必要があります。
法人利用に適したオンラインストレージの選び方を紹介します。
データ容量を確認する
オンラインストレージの導入前に、必要な容量を確認しましょう。
サービスによっては、無制限や大容量のプランがあったり、容量が不足したときに増量できるものもあります。
データの保存容量のほか、ファイルの送受信に必要な容量が別途必要なサービスもあるので、事前に確認しましょう。
料金を考える
利用できる機能数や容量、人数が増えるほど、オンラインストレージの料金も高額になります。
サービスによって課金形態が人数なのか容量なのかで異なるため、自社に最適なプランやサービスを選びましょう。
安易に安価だからという理由でサービスを取り入れると、セキュリティ対策が不十分であったり、利用できる機能数が少ないなどの落とし穴もあります。
フリープランがある場合は、実際に試してから有料版へ移行するなど工夫しましょう。
セキュリティ対策の内容を見る
オンラインストレージは、ログイン認証や共有する際のURLを複雑化していることで、通常は安全に取り扱うことが可能ですが、最近ではハッキングや情報漏えいが問題となることがあります。
リスクを回避するためには、セキュリティ対策に優れたサービスの利用がおすすめです。
具体的には、ファイル情報を暗号化するSSLに対応しているか、定期的にサーバー内のウイルスチェックを実施しているか、サーバー上の行動を記録するログ機能が付いているか、などを確認しましょう。
使いやすさはどうか
外出先やリモートワーク時には、スマートフォンのアプリでデータを確認できると便利です。
活用シーンを想定し、操作性や機能などが使いやすいかを確認することも、サービスの選択時には重要でしょう。
使い方が分からなかったり、トラブルが起こったりした際に、どのようなサポート体制があるのかもあわせて確認しておくと安心です。
オンラインストレージなら無料から使えるセキュアSAMBA
オンラインストレージには、安価で導入できる、自動保存や自動同期ができるなどのメリットがあり、業務のデジタル化や書類電子化、災害時の対応などに役立ちます。
社内外とのデータのやりとりが多い業務や、リモートワークの推進には、いまや欠かせないサービスともいえるでしょう。
会社が法人向けのオンラインストレージの導入を検討する際には、セキュリティ対策やサポート体制をしっかりとチェックしましょう。
オンラインストレージの「セキュアSAMBA」は、多くの中小企業に選ばれている法人向けオンラインストレージサービスです。
全てのプランがユーザー数無制限で利用できる点が特長で、アクセス経路とファイルは全て暗号化されているのでセキュリティの面でも安心です。
オンラインストレージを導入する際は、ぜひ無料から使えるセキュアSAMBAをご検討ください。