オフラインバックアップとは、システムを停止してデータのバックアップを取得する方法です。
オフラインバックアップのメリット・デメリット、オフラインバックアップの方法、オフラインバックアップを実施する際のポイントをわかりやすく解説します。
オフラインバックアップとは
オフラインバックアップとは、システムを停止させてからバックアップを取得する方法です。
また、オフラインバックアップはコールドバックアップと呼ばれることもあります。
システム運用では、災害やシステム障害、サイバー攻撃などによるデータの消失に備えて、バックアップを取得しなくてはなりません。
バックアップの取得方式には大きく、システムを停止させてバックアップを取得する「オフラインバックアップ」と、システムを稼働させたままバックアップを取得する「オンラインバックアップ」があります。
オフラインバックアップは、バックアップ取得対象のシステムが停止しているため、バックアップ取得中に業務に影響を与えたり、データが更新されたりするリスクがないのが特徴です。
しかし、オフラインバックアップよりオンラインバックアップの方が優れている点や適している場合もありますので、オフラインバックアップの特徴を詳しく理解していきましょう。
オフラインバックアップのメリット
オフラインバックアップにはどのようなメリットがあるのでしょうか。
オフラインバックアップの主なメリットを見ていきましょう。
安全性が高い
オフラインバックアップのメリットとして、安全性が高いという点が挙げられます。
ここでいう安全性とは、バックアップ取得作業がシステム稼働に与える影響の低さのことです。
オフラインバックアップは、システムを停止してからバックアップを取得するため、業務処理と切り離して安全・確実にバックアップを取得できます。
バックアップ処理によるリソース消費によってパフォーマンスが低下し、業務に影響を与えるリスクもありません。
バックアップの信頼性が高い
オフラインバックアップはバックアップするデータの信頼性が高い点もメリットです。
オフラインバックアップはシステムを停止してバックアップを取得するため、バックアップ処理中にデータが更新される心配がありません。
取得時点で確定しているデータをそのままバックアップに取れるため、ロックによる排他制御やデータの不整合などを気にすることなく、信頼性の高いバックアップが取得できます。
リストアが容易
オフラインバックアップは、復元が容易な点も特徴です。
オフラインバックアップは、システムを停止したタイミングで整合性の取れたデータのバックアップを取得できます。
そのため、災害時やシステム障害時には、データを戻すだけでバックアップ時の状態に復旧することが可能です。
また、過去のバージョンに戻したい場合なども、バックアップを世代管理していれば比較的容易に復元できます。
オフラインバックアップのデメリット
オフラインバックアップには多くのメリットがありますが、一方でデメリットも存在します。
オフラインバックアップのデメリットをみてみましょう。
システム停止による業務への影響
オフラインバックアップのもっとも大きなデメリットとして、システム停止による業務への影響があげられます。
システム停止中は業務が行えなくなるため、オフラインバックアップの作業は業務時間外の夜間や休日に行うことが多いでしょう。
24時間稼働のサービスなどの場合には、計画的にサービスを停止して作業を行う必要があります。
オフラインバックアップでは業務への影響が極力少なくなるよう、システム停止時間を最小限に抑えることが求められます。
システム停止時間オーバーのリスク
オフラインバックアップでは、システム停止時間を決めて、その時間内にバックアップの取得を終わらせる必要があります。
しかし、データ量が想定より多かったり、手順にミスがあったり、ネットワークに遅延が発生したりなどの問題が起こった場合、作業が遅れて予定のシステム停止時間を超過してしまうのがリスクです。
予定のシステム停止時間をオーバーすると、システムが使えずに業務に支障をきたしたり、サービスを提供できずに機会損失が発生したりといった影響があります。
余裕を持ったシステム停止時間設定や、問題発生時の動きなどをあらかじめ取り決めておくことが大切です。
頻繁なバックアップ取得が困難
オフラインバックアップはシステムを停止してバックアップを取得するため、オンラインバックアップのように高い頻度で定期的にバックアップを取得することは困難です。
バックアップ取得から期間が経っている場合には、災害やシステム障害などでデータ復旧する際に、バックアップ取得以降の更新データが失われることになります。
そのため、業務継続に不可欠なミッションクリティカルなシステムや、データの更新頻度の高いシステムにはあまり向いていません。
オフラインバックアップの方法
オフラインバックアップには、いくつかの方法があります。
代表的なオフラインバックアップの方法を見ていきましょう。
テープバックアップ
テープバックアップは、データを磁気テープに記録することで、安価かつ大容量のバックアップを実現可能です。
テープは読み書きが比較的遅いため、オンラインバックアップでは避けられることが多いですが、オフラインバックアップではシステムが停止しているため、読み書きの遅さが問題になりにくいメリットがあります。
また、テープは耐久性が高いため、長期間の保存に向いているのも特徴です。
ディスクバックアップ
ディスクバックアップは、外付けハードディスクやUSBメモリを利用してデータを保存する方法です。
高速で読み込みが可能で、複数のコピーを容易に作成できます。
容量の小さいファイルの場合は、CDやDVDに保存することも可能です。
一方、ディスクの寿命や物理的な破損、紛失によるデータ消失のリスクがあります。
オフサイトバックアップ
オフサイトバックアップとは、拠点となるデータセンターとは別の場所にバックアップデータを保管する方法です。
例えば、クラウドストレージや、外部サイトにデータを転送する方法も含まれます。
これにより、拠点のデータセンターが被災した場合でも、バックアップデータを失わずに復旧することが可能です。
ただし、遠隔地のデータ保管場所の確保や、データ転送のためのインフラ整備などが必要になります。
オフラインバックアップを実施する際のポイント
オフラインバックアップを実施する際には、多くの検討すべきポイントがあります。
オフラインバックアップを実施するのであればしておきたい代表的な検討ポイントを見ていきましょう。
バックアップ作業の計画とスケジュール
オフラインバックアップの作業は、システムを停止する必要があるため、作業計画とスケジュールの策定が重要です。
オフラインバックアップの実施に必要な時間を予測し、システムを停止するタイミングやバックアップ作業の手順を事前に決めておきます。
また、バックアップ作業中に発生する可能性のある問題やトラブルに対する対応策などの考慮も必要です。
リストアテストの実施
オフラインバックアップを取得した後に、復元作業が成功するかどうかを確認するためにリストアテストを実施しましょう。
リストアテストは、バックアップからシステムを復元し、復元された状態でシステムが正常に動作するかどうかを確認する作業です。
リストアテストを実施することで、バックアップの品質を確認することができます。
バックアップの保管場所の検討
バックアップの目的に応じた、バックアップデータの保管場所についても検討する必要があります。
例えば、地震などの災害時に備えたバックアップであれば遠隔地に保存するのが良いでしょう。
一方、日常のシステム障害に備えたバックアップは、早急に復旧作業ができるように、同一拠点内に保存しておくのが一般的です。
オフラインバックアップの特徴を理解しよう
オフラインバックアップは、システムを停止してバックアップを取得する方法です。
システムを停止しているため、バックアップデータの信頼性が高く復元がしやすいメリットがある一方で、システム停止が長引くと業務に影響を与えるデメリットもあります。
オフラインバックアップを実施する際にはバックアップの目的に応じて、適切なタイミングや保管場所を検討することが重要です。
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